フィリピンのデルロサリオ外相は30日、記者会見し、中国による南シナ海の領有権主張が違法だとして国際司法機関に請求した仲裁手続きをめぐり、フィリピンの主張を盛り込んだ陳述書を提出したことを明らかにした。
中国は仲裁手続きを拒否し、手続きを取り下げるようフィリピンに再三要求しており、一層の反発が予想される。
フィリピンは昨年1月、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所に仲裁を請求。南シナ海の大半の領有権を訴える中国の主張は同条約上、根拠がないとした訴えが柱だった。陳述書の提出は手続きの一環。
陳述書は約4千ページ。フィリピン側の主張の基となっている関連資料や国際法規、地図、南シナ海での中国とのトラブルなどが盛り込まれているという。仲裁裁判所が今後、手続きを進めるかどうかの管轄権について判断する。(共同)
産経ニュース(2014.3.30 22:49)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140330/asi14033022520002-n1.htm
筆者考:
南シナ海の領有権問題 フィリピンが中国を提訴
産経新聞2013.1.22 20:04【シンガポール=青木伸行】
産経新聞2013.1.22 20:04【シンガポール=青木伸行】
フィリピンのロサリオ外相は22日、南シナ海の領有権を争う中国を、国連海洋法条約に基づき国際裁判所に提訴したと発表した。これにより領有権問題は新たな局面を迎える。
外相は「フィリピンは平和的な交渉のための政治、外交的なあらゆる手段を尽くしてきた。手続きが永続的な解決をもたらすことを望む」と述べた。
提訴の内容は「中国の南シナ海の(領有権)主張と、フィリピンの領有権を侵害する違法な活動に異議を申し立てる」というもの。フィリピン側は同日午後、マニラの中国大使館を通じ、中国政府に提訴した事実と内容を通告。外相は中国に「提訴に応じることを希望する」と促した。
《領土的野心の塊の支那》
「2013年、海洋強国に向け断固、歩み出す」(中国共産党機関紙、人民日報)。中国は、東シナ海や南シナ海で海洋監視船、漁業監視船や海軍艦艇の活動を強化して、「多彩なパンチを繰り出している」(同国国家海洋局)。
中国共産党は中国本土を制圧すると同時に朝鮮戦争に介入し、台湾の島を攻撃し、チベットを占領した。1960年代になると国境をめぐりインドやロシアと軍事衝突し、70年代に入るとベトナムからパラセル(西沙)諸島を奪い、さらにはベトナム国内に侵攻し、「懲罰」作戦を行った。80年代には南シナ海でベトナム海軍の輸送艦を撃沈し、90年代にはフィリピンが支配していた島を奪った。
中国共産党は戦争を躊躇する政権ではない。彼らにとり、国境紛争のような小さな戦争は平和時の外交カードの一つに過ぎない。
中共は、核心的利益である「固有の領土」を守るためには戦争も辞さないと主張している。それでは、中国の固有の領土とは何であろうか。中国の領土について次のように説明されることがある。
「一度、中華文明の名の下に獲得した領土は、永久に中国のものでなければならず、失われた場合には機会を見つけて必ず回復しなければならない。中国の領土が合法的に割譲されたとしても、それは中国の一時的弱さを認めただけである」(Francis Watson、1966)。中国の教科書では、領土が歴史的に最大であった19世紀中葉の中国が本来の中国として描かれ、「日本は中国を侵略し、琉球を奪った」(『世界知識』2005年)との主張が今でも雑誌に掲載されている。
≪ミスチーフ礁を奪った手口≫
フィリピンが支配していたミスチーフ礁を中国が占拠した経過を見れば、中国の戦略が分かる。
中国がミスチーフに対し軍事行動を取れば、米比相互防衛条約に基づき米軍が介入する可能性は高かった。そうなれば、中国はフィリピンを屈服させることはできない。時のベーカー米国務長官は、「米国はフィリピンとの防衛条約を忠実に履行し、フィリピンが外国軍隊の攻撃を受けた場合には米国は黙認しない」と述べていた。
したがって、1974年の鄧小平・マルコス会談、88年のトウ・アキノ会談で、鄧は問題の棚上げを主張したのである。軍事バランスが中国に不利である場合、中国は双方が手を出さないように主張する。将来、ミスチーフ礁を獲得するために当面は問題を棚上げし、相手の行動を封じたのである。
91年9月、フィリピン上院が米比基地協定の批准を拒否し、92年11月に米軍がフィリピンから撤退した。第二次大戦中に建造された旧式駆逐艦1隻を有するフィリピン海軍は中国海軍の敵ではない。フィリピンのマゼタ国防委員長は「フィリピン海軍としては軍事力による防衛は不可能で、戦わずに撤退せざるを得ない」と発言している。中国はミスチーフ礁問題に米軍が介入する可能性が低いと判断し、問題の棚上げを放棄して95年にミスチーフ礁を占領した。
産経新聞2013/01/22 03:13【正論】
(防衛大学校教授 村井友秀=むらい・ともひで)
フィリッピンは昨年(2013年1月22日)に国連海洋法条約に基づき南シナ海の領有権問題で国際司法機関(国際裁判所)に提訴したが支那は応じずで現在に至っている。
支那が応ぜずでは、どうにもならずとなり、フィリッピンは支那の領有権主張は根拠がないとの陳述書提出で裁判の進展を進める事を目的としているが、国際裁判所は管轄権がどちらの国に帰属するかを判断し仲介手続きをすすめる事になる。
提出された陳述書を国際裁判所精査してどちらの国に正当な管轄権があるのかを判断するは言わば欠席裁判になる。 たとえ裁判官が「フィリッピンに正当な管轄権があると判断しても支那は欠席裁判を理由に仲裁を応じないのは目に見えている。
おそらく裁判所は陳述書だけで仲介手続きをするのは無理!と判断を下すのか、或いは欠席裁判を続行するのか?興味深い。
日本国も竹島、尖閣諸島,北方領土問題を抱えているので殊更にフィリッピンと支那の南シナ海での領土紛争が国際司法機関で争われるはひとごとではなく、裁判の結果は重要な物となる。
《欠席裁判などは意味がないのでは》・・・
竹島領有権問題に関して、これまで日本政府は4度、国際司法裁判所 (ICJ) への付託を韓国側に提案してきたが、いずれも韓国は拒否し続けている。
相手国が出席しないと開廷しない国際司法裁判所って存在価値ないのでは?
確かに、強制管轄を否定したICJ規約には問題がある。これは、米ソ対立などいろいろな事情があったわけであるが、今やそのような社会的問題は解消されているわけである。しかも、今の規定を厳格解釈してては、とうてい被害国の権利救済を図れぬから、国際法の法律家たちによって「付託」が拡大解釈されているわけである。判例もこれを認め、通説となっている。
提出された陳述書を国際裁判所精査してどちらの国に正当な管轄権があるのかを判断するは言わば欠席裁判になる。 たとえ裁判官が「フィリッピンに正当な管轄権があると判断しても支那は欠席裁判を理由に仲裁を応じないのは目に見えている。
おそらく裁判所は陳述書だけで仲介手続きをするのは無理!と判断を下すのか、或いは欠席裁判を続行するのか?興味深い。
日本国も竹島、尖閣諸島,北方領土問題を抱えているので殊更にフィリッピンと支那の南シナ海での領土紛争が国際司法機関で争われるはひとごとではなく、裁判の結果は重要な物となる。
《欠席裁判などは意味がないのでは》・・・
竹島領有権問題に関して、これまで日本政府は4度、国際司法裁判所 (ICJ) への付託を韓国側に提案してきたが、いずれも韓国は拒否し続けている。
相手国が出席しないと開廷しない国際司法裁判所って存在価値ないのでは?
確かに、強制管轄を否定したICJ規約には問題がある。これは、米ソ対立などいろいろな事情があったわけであるが、今やそのような社会的問題は解消されているわけである。しかも、今の規定を厳格解釈してては、とうてい被害国の権利救済を図れぬから、国際法の法律家たちによって「付託」が拡大解釈されているわけである。判例もこれを認め、通説となっている。
日本が竹島についてICJに付託した50年とは事情がまるで異なる。今の判例・通説の考えに従えば、韓国は管轄権を否定するなら、「裁判所の管轄権の基礎とされるべき法的根拠をできる限り記載する。」(裁判所規則38条2項)ことが必要であり、これが提出できなければ「付託」があったとみなされ、ICJは、上記判例のように、相手国欠席のまま無理やり審理を進めることができる。
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