専門家は、警察庁が管轄する『小型無人機等飛行禁止法』というドローンの飛行に関する規制が自衛隊のドローン活用を妨げる問題を指摘している。
これと別に総務省の管轄する『電波法』も聳え立っている。
この規制によって、何が起こるかといえば!〜、
■ 自衛隊のドローンが、有事でも数百mしか飛ばせない、■ ドローン本体を目視しての操縦を強いられる!・・・
このような実態があるにもかかわらず、なぜ広く話題にも問題にもならなかったのか。これまで自衛隊のドローン運用に関する一部の専門家の過去のコメントを拾う限り、どうやら自衛隊もウクライナ軍と同じような運用ができる、自衛隊は遅れていないと思い込んでいた節がある。
その言説が多くの人に広まったことが、人々の無関心さにつながった可能性は否定できない。恐らく兵器の専門家といえども、民生用ドローンの知識はカタログ程度で、操縦の経験も少ない、… あるいは経験がないことから、規制とその影響を考慮できなかったと思われる。彼らは自衛隊が外部向けに広報の一環として示すドローンを飛ばす姿だけを見て『やってる』と判断していたのだ。
だが、実態は『数百mの距離であれば、ドローンを飛ばすより自撮り棒にカメラを付けて走った方が速い!』と現役の陸上自衛官に言わしめるほど、がんじがらめに規制し、自衛官の身動きを取れなくしている。
では、この規制の正体は何なのか?・・・
▶︎ 日本のドローン利用を20年も遅らせた電波法:一般的なドローンの規制には、国土交通省が管轄する航空法で定めるドローン飛行ルールと、警察庁が管轄する小型無人機等飛行禁止法というドローンの飛行に関する規制がある。
問題は総務省の管轄する電波法である。電波法はドローンとそれを操縦するコントローラーを結ぶ電波に関する規制と、電波を使用する機器に対する電波法に基づく基準認証(技術基準適合証明、いわゆる技適)という総務省管轄の無線通信全般に関する法律だ。
この適用範囲はドローンだけでなく無線機、携帯電話、スマートフォン、Wi-Fiといった通信機器全般に及んでいるが、これが日本をデジタル後進国にする宿痾となっている。
ドローンだけ見ても、世界でも日本だけの異常に厳しいドローン規制として、小型無人機等飛行禁止法と相まって大きな障壁として立ちはだかり、日本のドローンの発展や普及を20年近く遅らせている。
▶︎ 電波法によって自衛隊のドローン導入コストが割高に:
✦〚無線技士免許の取得や操縦ライセンス取得などさまざまな条件をクリアすれば5.7GHz帯や5.8GHz帯といった伝送容量と速度にたけた、いわゆる5GHz帯の周波数を使用する産業用機体などの利用も可能ではあるが、それにはコストや手間がかかる〛、・・・
✦〚現在、自衛隊が所有している小型ドローンは災害用と位置付けてはいるが、一般向けに市販されている民生用の機体が主で、利用可能な電波は2.4GHz帯の周波数に限られている〛、・・・
✦〚欧米や支那など多くの国では主に5.8GHzを含む5GHz帯を使用する機種が標準的で、この効率的パ通信環境を生かしたドローン利用が盛んとなっている。だが、たとえ海外メーカー製で外観が同じ機種でも、日本で販売する際には電波法によって使用する電波の仕様を2.4GHz帯の周波数に改められ技適を受けた日本仕様となる〛、・・・
✦〚この仕様変更で生じた費用は必然的に販売価格に上乗せされ、
ドローン本体を目視しないと操縦は危険:
さらに技術的な観点から見ると、前述した通り日本では2.4GHz帯の電波を使用するのはドローンだけに限らず多くの人が日常的に使用するスマホ、WiFi、Bluetooth機器なども同じ、あるいは近い周波数の電波が使用されている。この影響で電子機器同士の電波の干渉や障害が発生しやすい実態がある。
身近な例として挙げるなら、近年特に普及したBluetoothイヤホンが満員電車内や電子レンジが動作する環境で音が途切れたり遅延が発生した経験はないだろうか。それこそが電波の干渉による障害であり、同様の現象がドローンにも当然発生するのである。
そもそも2.4GHz帯は機動性が高く途切れにくいという特性もあり、入り組んだ構造の室内等では有効とされているが、… 屋外での使用が主になるドローンに関して言えば、5.8GHz帯をはじめとする5GHz帯に比べて伝送容量も少なく伝送速度も遅い。そのため、ドローンのカメラから手元のコントローラーに送信される映像にも遅延が発生するので、映像を見ながらの操縦にもリスクが伴うなど、デメリットが多い。
電波干渉で操縦不能に:
電波の強弱によって影響を受けるのは!〜、
なんと6km飛ぶドローンが、日本では20分の1になっているのではら笑えな喜劇である。ただ、他のメーカーの中には、電波障害のほとんどない開けた場所における最大飛行距離の数kmを飛行可能距離として記載するなど基準も曖昧模糊の体たらく。
2.4GHz帯の機体操縦経験者の説明では、電波干渉がほとんどない山岳地帯では500m以上の距離を飛ばせたのに対して、WiFiルーターが複数設置された都内にある大学の室内では数mの至近距離にもかかわらず、操縦不能になるといったこともあったそうである。
最も印象に残っている自衛官のコメントは!〜
近隣諸国に目を向ければ、昨年の8月末から数件発生した支那本土から数キロの距離にある台湾の金門島にドローンが飛来したが、、… この飛距離を飛ばせるのも支那のドローンが5GHz帯の電波を使用しているからこその結果であることは間違いないでしょう。
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