最新の合計特殊出生率のデータはまだ算出されていないが、日本総研が出した2月14日時点の推計報告とその数字は過去最低であった2022年の1.26を下回り、1.20程度になる見通しであるとしている。
日本や韓国の出生数、出生率の低下については、欧米のメディアも注目している。CNNについては、この状況を報じたうえで、プリンストン大学の社会学・人口学の専門家であるジェームズ・レイモ教授の見解を紹介。教授は、単なる出生率の低さが課題ではなく、日本における出生率の低さが、石油ショックとそれに伴う不況の時代以降、長年続いてきたという事実が大きな課題であり、この状況から回復することはなかなか難しいと示唆。つまり、今女性がより多くの子供を産むようになったとしても、出産期の女性の母体数が少なく、かつ年々減少しているという状況が続くため、出生数は減り続けるということだ。レイモは、出生率の低下の背後にある、婚姻数の減少という課題についても解説を付け加えている。これらはもちろん日本だけの問題ではない。
AP通信は、出生数低下の背後にある婚姻数は過去90年で初めて50万人以下になったということを伝えたうえで、「日本では、父権主義的な伝統に基づく家族観があるため、婚外子はまれである」と説明する。また、経済的な不安や共働きが難しい企業文化、若い親が感じる孤独などといった状況についても補足する。AP通信の報道内容は、ガーディアンやオーストラリアの公共放送ABCにも転載されている。
一方、セマフォーについても婚姻数の低下に着目。他メディアの報道を紹介しつつ、育児サポートよりも所得が低い若者に対する支援が必要である点などを伝える。同時に、韓国においては政府がさまざまなインセンティブ政策に予算をつぎ込んでいるにもかかわらず、婚姻数も出生率も減少しているという状況を伝えている。
また、フランスのレゼコーは、「韓国と日本の人口減少は止まらない」とし、両国の統計データを並べて紹介。一方で、日本の状況に関しては特に婚姻数の減少を取り上げ、前述のAP通信の報道に呼応するように、「いまだに社会が保守的である日本においては、結婚しないイコール子供がいないということである」と伝えている。
ほかにも、世界各国の国内総生産(GDP)ランキングにおいて世界3位から4位に転落したことや、伝統的な裸祭りに初めて女性が参加したというようなニュースも、しばしば日本の人口減少の課題とともに伝えられている。経済先進国の多くが直面している少子高齢化。大幅な機械化や移民政策によって均衡を保つことができるのかどうかについての結論はない。世界は、日本が今後空っぽになって衰退していくだろうということを危惧しているのではなく、日本という社会が人口減少にどう適応し、どのようにポジティブに変化していくことができるかという点に期待を寄せているのではないだろうか。
参考文献:
■【海外メディアの報じる日本の人口危機「結婚しない=子供なし」「育児支援より若者支援を」】:
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