2024年8月17日土曜日

フィリピンが支那と南シナ海での緊張緩和へと動く 米国への信頼が揺らぎからか?


フィリピンは、南シナ海で最も危険な発火点になっている係争環礁における前進基地への物資供給に関する『暫定的アレンジメント』を支那合意した。

21日にフィリピン外務省が声明で述べたところでは支那/フィリッピン両国の外交官は第二トーマス礁における古い沈没船シエラ・マドレに対する補給活動に関し、ここ数週間に何度となく行われた協議の末に、取引に合意した。

    南シナ海の緊張緩和に向け!〜、
  支那と暫定的に合意を決めた
     フィリピンのマルコス大統領!・・・

 支那外交部は真夜中過ぎに発表された声明で、支那がフィリッピンの人道的補給ミッションを『許可する』ことに合意したと確認したが、同時に領有権の主張とフィリピンがその前身基地になっている沈没船を撤去すべしとの要請を繰り返した。
同時に支那外交部は、現地での確認を行うとの条件を繰り返し、各補給活動を監督すると述べた。

 合意が維持されれば、1年以上続く暴力の悪循環を断つことになり得る。支那の沿岸警備隊は、同環礁に駐留する少人数の比海兵隊員に対する補給を行うために比軍により委託された船舶の航行を妨げてきた。


   セカンド・トーマス礁巡る支那の暴挙!〜、
   米中衝突の新たな火種に急浮上!・・・

 支那側の最も攻撃的な対応としては、6月に支那沿岸警備隊が比側船舶に体当たりし、乗船し、銃器を押収し、槍を使ってフィリピン側船舶に穴をあけ、乗員を脅したことが挙げられる。
 この衝突で、この睨み合いがフィリピンの同盟国であり、米比相互防衛条約が第二トーマス礁にも適用されることを保証した米国と支那との直接衝突の引き金になりかねない、との懸念が高まった。

この環礁はフィリピンの排他的経済水域に位置し!〜、
    国連海洋法条約に基づけば
     フィリピンが使用する権利を持つ場所!・・・
支那は、南シナ海のほとんど全てに対して権利を主張する一環で、…この環礁に対しても主権を主張しているが、支那の南シナ海に対する主張は、2016年の仲裁裁判で否定された。

 双方は、南シナ海における緊張を下げ、対話と協議を通じて立場の相違を解決することの必要性を引き続き認識する〙、…とフィリピン外務省は述べ、さらに、この合意は南シナ海における双方の立場に影響を与えるものではない!、と付言した。

 関係者によれば、この合意が争いの緊張を緩和することに成功するかどうかには疑問が残る。
 マニラ駐在の外交官は、第二トーマス礁に対するフィリピンのコントロールを阻害しようとする支那の決意が弱まる兆しは無い〙、…
と言っている。

■ フィリピンが取り決めへ動いた背景:
内容次第ではあるが、大局的に見れば!〜、
 支那/フィリピン間で現在の緊張を緩和する
  取り決めが合意されたのは良かったと言うべきだろう!・・・
ここ数週間、国際的には(特に米国では)、インド太平洋地域では、
南シナ海の本件事象が台湾海峡問題や北朝鮮問題にも増して、一番の懸念事項だった。

 まず、フィリピン側が今回の取り決め形成に動いた背景は何だろうか。米国は、米比安保条約が第二トーマス礁にも適用される(つまり、同礁に対する武力攻撃は同条約に基づく米国のフィリピン防衛義務の引き金を引く)ことを明確にした。
尖閣諸島に比べ第二トーマス礁が防衛対象だと表明するのはそれなりに勇気のいることだっただろうが、支那との関係で一定の抑止になることを意図したのだろう。

 然し、支那側の挑発はほとんど収まらなかった:
これは典型的なグレーゾーン事態であり、そもそも、支那の海警は軍隊では無く、体当たりや放水銃自体は武力攻撃では無いので、米国は対抗行動を取らなかったし、それを正当化する理由も無い。
それでも、フィリピン側には米国の抑止の実効性と信頼性への信頼に揺らぎが生じただろうことは、想像に難くない。

米側が対応しない事への落胆に加えて!〜、
  支那側が米側の足元を見ていると感じただろう!・・・
 今回の中比の暫定合意成立には米国もホッとしているだろうが、フィリピン側から見れば、やはり自助努力をしないと状況は変わらない(米国は頼りにならない)という冷徹な現状認識があったのだろう。

■ マルコスの〘バランス〙外交:
第二に、マルコス政権の対支・対米政策をどのように見るべきなのだろうか。実際、前任のドゥテルテ大統領と異なり、米軍の展開場所の拡大や日米比首脳会談、日本との円滑化協定締結、豪州やベトナムとの関係強化など、日米に相当近い立ち位置を取っているとように見える。

 然し、フィリピンも、平時には米支のどちらともことを構えたくないという、他の東南アジア諸国と同様の立場が基本だと理解すべきであるように思われる。
 マルコス大統領が22年6月30日に就任した後、初めての二国間訪問の先は23年1月の中国だった。同年2月には訪日、5月に訪米という順番だ。

 マルコスは、習近平に対して、南シナ海の緊張緩和に向けた対応を要請してきたのだと思われるが、支那側の圧力は逆に強まった。
 それを受けてマルコスとしても、主権について安易な妥協はできず、結局、前任者と異なり第二トーマス礁の状況をプレスに公開し、日米への接近を強め、それが支那側の一層の反発を招く、という悪循環に陥ったという流れのように見える。

 今後支那側の対応が大きく変わらない限り(実際変わらないだろう)、現在のフィリピン側の日米側への接近という方向性は変わらないが、それはマルコス大統領が『親米』だからではなく、支那とのバランスでそうなっているということは十分踏まえておく必要があるということだ。これは、台湾危機を巡るフィリピンの役割への期待値を奈辺に置くかにも関わる問題だ。

                                          

フィリピンのマルコス大統領は!〜、
  南シナ海の緊張緩和に向け
    支那と暫定的に合意を決めた!・・・

合意の全容は未だ発表されず、現時点は憶測に過ぎないが、業界雀(アジア政治専門家)の間では、…
❝❝米国は頼みに非ず!❞❞、〘いざ有事の際はフィリッピンを護る為に、支那との全面軍事衝突を避ける〙と米国に対する信頼が揺らぎ始めたのではないか?…
憶測が独り歩きしている。
    

参考文献:

■【<アメリカへの信頼の揺らぎ?>フィリピンが中国と南シナ海での緊張緩和へ動いた背景】:

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/34682

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