2013年6月25日火曜日

南水北調プロジェクト、水源地の汚染が深刻化で「完成すれば糞尿の水を飲む」



    汚水で真っ黒に変色した神定河(ネット写真

中国当局が北部地区の厳重な水不足問題を解消するため、2002年から着工した「南水北調(南部の水を北部に引く)プロジェクト」。国営テレビCCTVはこのほど、その水源地である丹江口ダムの深刻な汚染状況を明らかにした。来年秋に同プロジェクトの完成が予定されているが、河南省、河北省、北京市、天津市などの20以上の都市の住民はこの著しく汚染された水を飲用することになる。

丹江口ダムは中国の湖北省、河南省にまたがるアジア最大の人工淡水湖。漢江の中上流に位置し、水源は漢江と丹江。

漢江は、長江の最大の支流であり、総長は1532キロ。丹江は河南省や、湖北省、陝西省の辺境一帯を流れる漢江の最長の支流。

CCTVの番組「経済半小時」は漢江沿岸の水汚染を取材し、18日の番組で放送した。
河南地区 河は住民のゴミ捨て場、有毒産業廃棄物は山積み河南省南陽市淅川県香花鎮の宋港埠頭の下流10キロのところには、「南水北調プロジェクト」の用水路のスタート地点がある。

今、宋港埠頭は現地住民のゴミ捨て場と変貌した。生活汚水のほか、生ゴミも当たり前のように河に捨てられている。記者が訪れていた100人規模の水上レストランでは、トイレの下水道から排泄物が直接、川に排出されている。従業員は裁いたばかりの魚の内臓をほうきで川に掃き捨てた。このような水上レストランが約20軒ほどある。

住民たちは取材に対して、「ここの水は飲めない。野菜を洗ってもいけない。皆が地下水を汲み取るポンプを設置し、飲用水もほかの所から調達している」と話した。
同県の九重鎮陶岔村では、記者はさらに驚くべき光景を目にした。現地の大型バナジウム製錬工場で放置されている有毒産業廃棄物を発見した。「すでに約高さ30メートルの丘となり、刺激臭を発していた」という。

2005年にも地元紙「河南日報」はこの工場の汚染問題を取り上げた。住民は「状況は全然改善されていない。政府はまったく対応しないのだ」と話した。

廃棄物の丘の付近に南水北調プロジェクトの用水路をつなぐ川が通っている。その下流では水草も生えておらず、現地農民は「この河の水には毒があり、田植えにも使えない。魚介類はとっくに全滅した」と記者に話した。

湖北地区 年間5千万トンの汚水が漢江に流入河北省十堰市から4キロ離れた神定河流域では、水面にあらゆるゴミが浮いており、動物の死骸が至るところにあった。川底には真っ黒な泥、川全体に異臭が漂っていた。
 現場で住民に聞き取り調査すると、市の汚水処理工場が未処理の汚水を神定河に排出していることが明らかになった。住民の案内で、記者は隠された排水口三ケ所を発見した。
住民によると、汚水は週に2、3回の頻度で夜間に排出される。「下流の水はあっという間に真っ黒に染まってしまう」と住民は話す。

一部報道によれば、神定河から漢江に流れる汚水は年間で5千万トンを超えている。
付近の村民は「南水北調が完成すれば、北京の人たちはこの汚水を飲むのだ」と冷ややかだった。
 
✦陝西省地区 30万人の「糞尿の水」が漢江に流れる

 陝西省紫陽県内の漢江沿いでは、両岸に住む30万人以上の住民は生活ゴミと汚水をほとんど処理せずに漢江に流している。記者が調べたところ、漢江沿いで汚水排出口が数百メートルの間隔で設置されている。県内の鉄道の駅では、公衆トイレの配管が破裂し、漏れた糞尿がそのまま漢江に流れていた。ある大型観光フェリーの従業員は、船の汚水を全部漢江に流していると証言した。

同県環境保護局の責任者は記者に対して、「生活汚水が直接漢江に排出されるのは、確かによくあることだ」と認めた。県内唯一の汚水処理工場はいまだに操業していない。
一部の住民は、「漢江は紫陽県の糞尿の池と化した」と記者に話した。

関連当局の報告書データーの信憑性記者が現場で見た漢江の汚染状況と対照的に、今年5月に発表された政府の最新報告書は、丹江口ダムの水質が良いとしている。「6年続きでⅡ類※、特に直近の3カ月間は(最も優良ランクの)Ⅰ類に達した」という。
 中国環境科学院研究院の趙章元氏はCCTV記者に対して、丹江口ダムの水質はⅢ類にも届かないと示唆し、「その水質の悪化を食い止めるのは非常に困難」と指摘した。その理由として、現地行政の怠慢、汚染排出企業との官民癒着、環境保護体制の欠陥をあげた。
 
※注:中国の国家水質基準では、Ⅰ類水質は、簡単な消毒処理を終えて飲用できる水。Ⅱ類水質は、汚染度が軽微で、通常の浄化処理を行えば飲用できる水。Ⅲ類水質は、遊泳に適する水、Ⅳ類水質は、農業用または噴水などの景観観賞に適する水、劣Ⅴ類水質は、一般的には使途がないと定義されている。

 【大紀元日本6月24日】               (翻訳編集・叶子)

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  •                                       


    筆者考:


    ★【南水北調(中:南水北調工程)】・・・


    中国南方地域の水を北方地域に送り慢性的な水不足を解消する構想(プロジェクト)の事。2002年12月27日、当時の首相朱鎔基によって着工を宣言された。第10次5カ年計画の一つで、総投資額は約5,000億元。規模、難度共に、三峡ダム工事を超える。西気東輸、西電東送、青蔵鉄道とともに、西部大開発の目玉プロジェクトとして位置づられる。

    南水北調の始まり


    1952年10月30日毛沢東主席は“南方水多,北方水少,如有可能,借點水來也是可以的”(南方は水が多いが、北方は水が少ない。できるのであれば、南方の水を借りればよい)と大胆な構想を発表した。それ以来、中国政府は多くの専門家を集め50年間にわたり調査・研究を行ってきた。

    そして、数々の案を検討・議論した結果、南水北調は長江の上流、中流、下流からそれぞれ取水し、西北地区と華北地区の各地に引水する東線、中央線、西線の3ルートの案を決定した。


    【東線工事⇔工事の概要】・・・

    東線工事は3期に分けて実施され・・・2002年12月27日に着工された
    長江下流の江蘇省揚州市より長江の水を引いて、京杭大運河とその平行の河道を利用してポンプで揚水して北方に送水する。洪沢湖、駱馬湖、南四湖、東平湖とも連結して水を蓄えたり水量調節を行う。
    東平湖を出た後、水路は2つに分かれ一つは北方に向かい、位山の付近にてトンネルを経て黄河に合流して河北省から天津市にまで到達、長さは1,156kmになる。もう一つは東に向かい、山東省済南市を経由して煙台市、威海市まで達し長さは701km

    主要工事:

    輸水工事/輸水水路建設工事/ポンプハウス建設工事/黄河横断工事/貯水工事/
    電力供給工事

    メリットとデメリット・・・

    メリット⇒取水口が長江の下流にあるため、取水量が期待でき、また生態環境の影響も少ない。既にある河道や湖が利用できるため、建設費用が少なくて済み、工期も短縮できる。

    デメリット⇒取水に大量の電力が必要になり、運転コストがかかる。汚染を受けているため水質が悪い。

    【中央線工事⇔工事の概要】・・・2003年12月31日に着工された

    長江中流の支流である漢江の丹江口ダムより取水して、唐白河平原北部、黄淮海平原の西部を経て、鄭州市西部の孤柏嘴で黄河を横断し北上。経路は伏牛山と太行山山前平原を通り、長江、淮河、黄河、海河を越える。
    中央線の最初の水門は南陽市の陶岔渠で、・・・新しく立体交差式の水路を建設し、全線は自然流下法を採る。最終的には北京市と天津市まで伸び、全長は1246Km。そのうち黄河より南が462kmを占め、黄河より北が774kmとなる。黄河を横断する部分は10kmになる。また天津市内の主水路は144km。

    主要工事:

    水源地区工事/丹江口水利施設接続工事/漢江中流下流補足工事/輸水工事/
    輸水水路建設工事/黄河横断工事

    メリットとデメリット・・・

    メリット⇒水質がよく、供給範囲が広い。地形の南高北低を利用して、自然流下させることができるため、運転コストが節約できる。
    デメリット⇒長い輸水路を建設する必要があり、多大な労力が必要になる。

    【西線工事】・・・検討段階中

    長江上流の通天河と支流の雅礱江、大渡河上流地域にてダムを建設して、長江と黄河の分水嶺・巴顔喀拉山脈(バヤンハル山脈)に輸水トンネルを掘り、長江上流の水を黄河上流に引く。この工事により青海省、甘粛省、寧夏回族自治区、内モンゴル自治区、陝西省、山西省等の黄河上中流域と渭河関中平原の水不足解消が見込まれる。
    ただし、長江と黄河の高低差が80m - 450mあり、長江から水を送るためには高さ200m以上の規模のダムかポンプによる水の汲み上げが必要であり、長さ100kmのトンネルを開削しなければならない。さらに海抜3,000~5,000mの高原地帯に水路が位置しており工事作業者の高山病が心配される。また断層地帯に重なるため地震の危険などもあり、最も困難な工事になることが予想されるため、現在もまだ検討段階である

    【南水北調工事の論争と対策】・・・

    南水北調工事が発表されてから、多くの論争を巻き起こした。
    反対者は主に、巨額の工事費がかかり、多くの住民の移動問題にかかわり、供水量の少なかった場合の経済効果、供水量の多かった場合、渇水期の長江の水不足、またそれに伴う長江河川の船の航行の影響、長江河口の潮の塩分濃度の増加、さらに生態系への影響を懸念する。
    賛成者は、長江の水量は毎年海に大量に流れ込むほど豊富にあり、一部分の水を北の渇水地区に回せば、渇水の問題は解決し、またマイナス面での影響も防止策や、補償、総合的な整備を行うことによって、最低限に抑えることができるとみている。
    以上はウイキペディア引用
                                          

    いやはや!~、流石は大陸人!、スケールがでかい!!!・・・。
    人類史上最大のプロジェクトと喧伝された山峡ダム建設を遥かに凌駕する、史上最大の『南水北調(中:南水北調工程)プロジェクト』と言える。
     
    皮肉な物で、!・・・

    ✦南水北調(中:南水北調工程)・・・用水路のスタート地点がある宋港埠頭は現地住民のゴミ捨て場と変貌した。住民たちは取材に対して、「ここの水は飲めない。野菜を洗ってもいけない。皆が地下水を汲み取るポンプを設置し、飲用水もほかの所から調達している」と話した。
    同県の九重鎮陶岔村では、記者はさらに驚くべき光景を目にした。現地の大型バナジウム製錬工場で放置されている有毒産業廃棄物を発見した。「すでに約高さ30メートルの丘となり、刺激臭を発していた」

    ✦2005年にも地元紙「河南日報」はこの工場の汚染問題を取り上げた。住民は「状況は全然改善されていない。政府はまったく対応しないのだ」と話した。

    ✦湖北地区 年間5千万トンの汚水が漢江に流入河北省十堰市から4キロ離れた神定河流域では、水面にあらゆるゴミが浮いており、動物の死骸が至るところにあった。川底には真っ黒な泥、川全体に異臭が漂っていた。

    陝西省地区 30万人の「糞尿の水」が漢江に流れる】・・・

    この至上最大規模を誇る『南水北調(中:南水北調工程)プロジェクト』が完成した暁には住民達は狂惨党北京政府から言葉に尽くせぬ最大で、素晴らしい贈り物を受ける。

    素晴らしい贈り物!・・・糞尿、重金属や有害物質で汚染された香ばしい水をたらふく飲めるとは素晴らしい!、羨ましい限りです。


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