事故多発のJR北海道は事実上の国鉄と言える!・・・。毎年大赤字でも経営が維持できているワケは?。
JR北海道で列車事故が相次いでいる件で、菅官房長官は9月24日の記者会見において「極めて悪質である」と強く批判した。国土交通省は同社に対し、鉄道事業法に基づく特別保安監査を実施しているが、監査の範囲を大幅に拡大することを決定した。
JR北海道ではこのところ列車事故が相次いでいる。4月から特急電車の火災・発煙事故が4回連続で発生したほか、潤滑油漏れ事故も起こしている(本誌記事「火災事故対応から、速度低下と本数減少に踏み切ったJR北海道の決断は妥当か?」参照)。
8月に入ると今度は貨物列車の脱線事故が相次いだ。車両に問題がある事故と線路の保線に問題がある事故の両者が同時に発生しており、部分的な原因ではないことをうかがわせる。補修が必要な線路について同社は97カ所も放置していたことがすでに明らかになっており、全社的な安全軽視の体質が問題となりつつある。
安全軽視は民営化による利益追求が原因との声も聞かれるが、現実問題としてJR北海道が置かれている状況はもっと深刻であり、民営化の是非を議論する以前の状況といってよい。
ニュースの教科書(2013年9月25日)
8月に入ると今度は貨物列車の脱線事故が相次いだ。車両に問題がある事故と線路の保線に問題がある事故の両者が同時に発生しており、部分的な原因ではないことをうかがわせる。補修が必要な線路について同社は97カ所も放置していたことがすでに明らかになっており、全社的な安全軽視の体質が問題となりつつある。
安全軽視は民営化による利益追求が原因との声も聞かれるが、現実問題としてJR北海道が置かれている状況はもっと深刻であり、民営化の是非を議論する以前の状況といってよい。
JR北海道は基本的に自力経営とはほど遠い状況にある。同社の2013年3月期の鉄道事業の売上げは約780億円だが、経費はなんと1100億円である。赤字額は300億円を超えており、毎期大量の赤字を垂れ流している状況である。これで同社が倒産しないワケは、国鉄民営化の際に提供された「経営安定化基金」と呼ばれる資金を保有しているからである。現在、同社はこの基金の運用益である300億円を赤字補填に回すことで、何とか経営を維持している。つまりJR北海道の収益の半分近くはファンドの運用益なのだ。
だがこの運用益にも問題がある。2013年3月期の基金の総額は約7300億円。だがこの基金からの運用益は300億円あり、4.1%もの高利回りで運用されている。この超低金利時代に4%の運用などどう逆立ちしても無理である。
このカラクリは、実質的な国庫補填にある。安定化基金の多くは、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に貸し付けられており、この貸し付けについては4%近い特別な高金利となっている(他の民間からの借り入れは1%以下)。つまり、この独法に対する貸し付けは事実上のJR北海道救済資金であり、当該独法の性質上、最終的には国の特別会計が負担していることと同じになる。
このカラクリは、実質的な国庫補填にある。安定化基金の多くは、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に貸し付けられており、この貸し付けについては4%近い特別な高金利となっている(他の民間からの借り入れは1%以下)。つまり、この独法に対する貸し付けは事実上のJR北海道救済資金であり、当該独法の性質上、最終的には国の特別会計が負担していることと同じになる。
つまりJR北海道は民間企業などではなく、形を変えた国鉄であり、しかも鉄道事業としてまともに継続できる状況にはないのだ。この状況を考慮せずに「民営化の弊害」と捉えると本質を見誤る可能性がある。
最近は車両の軽量化が進み、保線頻度を下げることが可能となっているが、これが行き過ぎれば当然事故につながる。JR北海道のトラブルは、こうした技術的側面と、経営体質や企業体力という全体的な問題が相互に絡み合っている。単純な問題解決策が出てくるような話ではない。今後の公共交通機関のあり方をどうするのかといった大局的な議論の中で解決策を考えていく必要があるだろう。
最近は車両の軽量化が進み、保線頻度を下げることが可能となっているが、これが行き過ぎれば当然事故につながる。JR北海道のトラブルは、こうした技術的側面と、経営体質や企業体力という全体的な問題が相互に絡み合っている。単純な問題解決策が出てくるような話ではない。今後の公共交通機関のあり方をどうするのかといった大局的な議論の中で解決策を考えていく必要があるだろう。
ニュースの教科書(2013年9月25日)
筆者考:
補修が必要な線路について同社は97カ所も放置していたことがすでに明らかになっており、全社的な安全軽視の体質が問題となりつつある。
安全軽視は民営化による利益追求が原因との声も聞かれるが、現実問題としてJR北海道が置かれている状況はもっと深刻であり、民営化の是非を議論する以前の状況といってよい。
安全軽視は民営化による利益追求が原因との声も聞かれるが、現実問題としてJR北海道が置かれている状況はもっと深刻であり、民営化の是非を議論する以前の状況といってよい。
北海道のJR千歳線を走行していた特急スーパーおおぞらの配電盤の出火事故
出火した特急スーパーおおぞらの配電盤を調べる消防署員ら=16日、札幌市手稲区の札幌運転所
その他のJP北海道が引き起こした車両事故:
✦JR函館本線で札幌発函館行き特急〈スーパー北斗2号〉(気動車列車)が床下からの白煙噴出事
(2011年6月6日8時30分頃)
✦JR函館本線で札幌発函館行き特急〈スーパー北斗2号〉(気動車列車)が床下からの白煙噴出事
(2011年6月6日8時30分頃)
✦JR函館本線八雲駅で特急スーパー北斗(気動車列車)の床下から発煙事故
(2013年4月9日)✦特急スーパーカムイ(電車列車)の車軸付近からの出火事故
(2013年5月5日)
✦JR函館本線の山崎~鷲ノ巣間を走行中の札幌発函館行き特急〈北斗14号〉(気動車8両編成)の4号車床下のエンジンから出火
(2013年7月6日15時45分頃)
慄然とするほどのJR北海道の安全軽視の姿勢で、如何なる言い訳も通用はせず!・・・人間として、社会的地位にある人間ならば進退を潔いものにするのが正道ですが、残念ながらJR北海道社長の野島誠は前社長(中島尚俊)の悲惨な自殺事故が今でも暗い影を落としていおり、之を払拭出来ないでいる。
中島尚俊元JR北海道社長は多発する事故の責任の重圧に押しつぶされ自殺で清算する方法で身を処したが!・・・その後もJR北海道の運営の無責任や安全軽視の印象は全く改善してはおらず、かえって改善処か悪化の一途を辿っている。
✦JR北海道の2013年3月期の鉄道事業の売り上げは約700億円で経費はなんと!、1100億円!・・・赤字額が300億円を超えている。【毎年大赤字でも経営が維持できる秘密!・・・《経営安定基金⇔国鉄民有化の際に提供された》】
この基金の運用益である300億円を赤字補填に回すことで何とか経営を維持しているのが実情であり!・・・詰まりJR北海道の収益の半分は「経営安定基金」の運用益。
2013年3月期の基金の総額は7300億円!・・・
今までは大きな基金運用の失敗もなく基金は目減りもせずに現今の低金利時代に年間4.1%もの高利回りで運用されているカラクリは!・・・実質的な国庫補填にある。安定化基金の多くは、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に貸し付けられており、この貸し付けについては4%近い特別な高金利となっている(他の民間からの借り入れは1%以下)。つまり、この独法に対する貸し付けは事実上のJR北海道救済資金であり、当該独法の性質上、最終的には国の特別会計が負担していることと同じになる。
つまりJR北海道は民間企業などではなく、形を変えた国鉄であり、しかも鉄道事業としてまともに継続できる状況にはないのだ。この状況を考慮せずに「民営化の弊害」と捉えると本質を見誤る可能性がある。
いみじくもニュースの教科書(2013年9月25日)の記事がJR北海道の本質を鋭く抉っており!・・・JR北海道の経営建て直しかつ列車の安全運転の基本に戻る困難さが鮮やか浮き彫りにされている。
詰まり「経営安定基金」が逆にJR北海道の健全運営の障害になっているのは皮肉としかいい様がありません。
いみじくもニュースの教科書(2013年9月25日)の記事がJR北海道の本質を鋭く抉っており!・・・JR北海道の経営建て直しかつ列車の安全運転の基本に戻る困難さが鮮やか浮き彫りにされている。
詰まり「経営安定基金」が逆にJR北海道の健全運営の障害になっているのは皮肉としかいい様がありません。
参考記事
JR北海道:レール異常放置97カ所…過半数が旅客線