2026年4月10日金曜日

大学教授らが開発したAIは商業用に開発されたChatGPTなどとは決定的に異なる。

AIをどう活用するのかは世界中の教育現場でも悩ましい課題だろう。
米国の一部の大学では!〜、
教員たちが独自に設計した
   AIが導入されはじめている!・・・
具体的な取り組みを、米紙『ワシントン・ポスト』が取材した。


推進派はこの新技術を最良の形で活用すれば、教育の理想に立ち返ることができると主張する。


2022年の秋、コロンビアビジネススクールの
         ダン・ワン教授の教室で!〜、
          ある変化が起きた!・・・
学生たちの多くが、ビジネス上の意思決定について説得力のある議論を準備してくる代わりに、ChatGPTにケーススタディの要約をさせていたのだ。

宿題をより効率的に終わらせたいという学生の心理は理解できるとワンは言う。
だが、そのせいで教室での議論は以前よりも難しいものになった。

現在も、学生たちは授業の準備のためにスマートフォンを取り出す。
だが、学生たちが対話するのは、ワンが設計したAIアプリだ。教授やクラスメートから厳しい質問を投げかけられる前に、学生たちは自宅で「ケイシー」と議論を戦わせる。ケイシーとは、ワンがこのアプリに付けたニックネームだ。ワンは言う。

《教育分野のAIツールの多くは、物事をより効率化するために設計されています。しかし、ケイシーはその真逆の能力を活用している。つまり、学生の思考をあえて『減速』させ、集中を促し、問いに対する非常に多様な考え方を検討させるのです》、… 

AI頼みで学生の思考力が低下することを危惧する声も多いなか、一部の教員はこのテクノロジーを逆手に取り、学生が学ぶための新たな方法を生み出そうとしている。学生専用の特化型アプリを設計する者さえいる。

教員の専門知識を組み込んだAIツールは、答えをただ提示するのではなく、…
学生がアイデアを掘り下げ、洗練させながら、解決策を自ら考え抜くのを手助けすることを目的としている。

AIアプリの背後にある考え方:
推進派は、この新技術を最良の形で活用すれば〜、
     教育の理想に立ち返ることができると主張する!・・・
ワンによれば、ケーススタディの議論を支援するこのアプリの背景にある考え方は、けっして新しいものではない。

むしろ数千年の歴史があり、1〜2人の学生が教師と深く思索的な対話を交わす、…オックスブリッジ(英オックスフォード大学とケンブリッジ大学)のチュートリアル制度に根ざしたものだという。

AIが登場する以前、これほど濃密で刺激的な体験を大規模に展開させるのは困難だったとワンは振り返る。いまやワンは、教員たちが自身の教え方自体を再考している様子を目の当たりにしている。

教授たちによるAIツールの活用は!〜、
      いまや多岐にわたる分野で進んでいる!・・・
ジョージア工科大学では、ある教授が、電気工学の学生が難解な課題を解くのを助けるアプリを設計した。

アリゾナ州立大学でも!〜、
     教員の専門知識を反映させたAIが活躍している!・・・
保健科学の学生には模擬患者との診察を体験させ、外国語学習者には会話の練習相手となり、生物学の学生には基礎固めから教材の枠をはるかに超えた高度な学習のガイドまでと、幅広く学生を支えている。

こうした試みが進められている一方で!〜、
    一般に普及する生成AIが学生に
     及ぼす影響について懸念する教授たちもいる!・・・

バージニア大学ビジネススクールのある授業では昨秋!〜、
   クラスの約3分の2が小テストで同じ誤答を出した!・・・
それは、無料版のChatGPTが導き出した回答と同じものだった。

(※「ワシントン・ポスト」紙は、ChatGPTの開発元である「OpenAI」とコンテンツ・パートナーシップを提携している。)


スタンフォード大学教育大学院のハリ・スブラモニヤム准教授は!〜、
非常に多くの学生が大規模言語モデルに論文の要約を頼むため、クラスでの議論が
表面的なものになっていると指摘する!・・・
                
《難問を突きつけられたとき、『これについて深く考えよう』という衝動が起きないのです。『ChatGPTに聞いてみよう』となってしまいます》、…

然し、ブルッキングス研究所が2026年初頭に発表した研究分析では!〜、
安全策を講じたうえで注意深く設計されたAIツールであれば、学生に大きな学習効果をもたらす可能性があると結論づけられている!・・・

学習用のAIツールを設計しているスブラモニヤム准教授は!〜、
《認知科学に基づいた設計であれば、安易に答えを出してプロセスを回避させるのではなく、むしろ学習を促進できると語る》、…
《学習には能動的な関与が必要であり、プロセスをショートカットすることは、知能の退化を招きかねない》、…とスブラモニヤムは指摘するが、《だが適切に設計されたAIツールは、学習を助けると同時に、人間らしさの本質、つまり『思考すること』を維持できる》、・・・と言う。

『ケイシー』との対話:
あるケーススタディ(事例研究)では!〜、
『Netflix』がオリジナル作品にさらなる投資をすべきか、あるいは他社からのライセンス提供に頼るべきかについて議論していくとその声は説明する!・・・

それから、まずは議論の口火を切るための、簡潔な主張を述べるよう学生に促す。

学生が答えると、ケイシーは丁寧に反論を試みる。ライセンス契約のほうがコスト効率は高いかもしれないが、独占コンテンツのほうが長期的な価値を生む可能性があるのではないか──。ケイシーはこう語りかける。
                 
《オリジナル作品への投資は、顧客のロイヤリティを高めるかもしれません。
『ザ・クラウン』のようなヒット作が、
        いかに解約を防いでいるか考えてみてください》、…

こうした議論の応酬が続いたあと、最後にケイシーは学生の主張の利点を認めつつ、改善できる点を指摘して締めくくる。

教授には学生との対話の記録と要約、そしてクラス全体がどのような立場を取ったかのまとめが届く。ワンは授業中、学生たちの説得力のある例を挙げて議論を深めることもある。

ワンの技術戦略の授業を履修しているアレクサ・カバンは、《ものすごく役立つツールだと感じています》と話す。カバンによれば、ケイシーは彼女の回答に合わせてリアルタイムで対応を変え、事実関係を細かく理解したうえで議論を展開するという。

15分ほどの対話を通じて、カバンはまったく新しい視点に気づかされることが多いという。自分の考えを声に出して言語化することは、論文を書くよりも実際の教室での議論に近い体験だ。そして対話の最後には、主張をより強固にするための証拠や分析も提案してくれる。

ワンによれば、この授業で学生が習得すべき主要なスキルの一つは弁論術だ。批判的思考と洞察力を駆使して、ビジネスの重要な意思決定について議論し、説得し、影響を与える能力が求められる。

学生にも大好評のケイシー:
ワンは2025年の春にこのアプリを試験的に運用しはじめた。
現在では、コロンビア大学をはじめ、カリフォルニア大学バークレー校、ペンシルベニア大学、バージニア大学のビジネススクールなど計16校、数千人の学生がケイシーを利用している。

ワン率いるチームは、何を教え、何を読ませ、何を議論させたいかという、ほかの教員のニーズに合わせてツールを個別に調整している。

       ラフル・バンダリ特別上級講師

《教室での非常に豊かな交流の代わりになるものではありません》と語るのは、…
バージニア大学ダーデン・ビジネススクールでAIと戦略を担当するラフル・バンダリ特別上級講師だ

だが、自信を持って授業に臨み、より明快で構成のしっかりした議論を展開するための準備としては、きわめて有効だとバンダリは言う。

ケイシーの共同創設者の1人で、コロンビア・ビジネススクールの元学生でもあるジル・コーエンは、2025年にワンの授業のパネルディスカッションに登壇した。

終了後、複数の学生がコーエンのもとに駆け寄り、このアプリが大好きで、使っていてとても楽しいと伝えてくれたことに衝撃を受けたという。

《宿題が大好きだった記憶なんてありません。宿題が大好きだなんて言う子供がどこにいますか?》、…

ジョージア工科大学の寮で、ある夜、宿題に行き詰まったイーライ・ストッドヒルは、ChatGPTを開かなかった。代わりに、同大学の教授が設計したツールを立ち上げ、助けを求めた。

AIチューターは、回路解析の問題を解くためのステップを提案した。
この宿題も、ストッドヒルが受講する電気工学のほかの課題と同じく、講義で学んだ内容をはるかに超え、学生に一段上のレベルの思考を求める設計になっていた。

ストッドヒルが自力で答えを導き出して入力すると、アプリはこう返した。
『おしい』
そして、間違いを見つけるためのチェックポイントをいくつか提示した。
『ものすごく助かっている』とストッドヒルは言う。
アプローチが間違っていれば、『正しい方向へと軌道修正してくれる』のだ。

『商用AI最大のリスク』を回避する:
ジョージア工科大学電気・コンピュータ工学科で上席副学科長を務めるイン・ジャン教授によれば、このAIチューターのアイデアは、学生たちが深夜に宿題で苦労しているという声から生まれた。

教員側は、答えではなく、24時間いつでも頼れる『助け』となる存在が必要だと考えていた。自力で解けない学生が、安易に大規模言語モデルに頼ってしまうことを知っていたからだ。

一部のAIアプリにも『学習ガイド』や『教育』モードはあるが、教員設計のAIはカリキュラムに関する教員の専門知識を直接反映させて指導の形を作っている。

ジャンは、きわめて難解なことで知られる科目の教材を使って、ジョージア工科大学の『スマート・チューター』を設計した。これは学生にフィードバックを与えるだけでなく、教員が学生のつまずきやすいポイントを特定し、そこに合わせて指導を調整できるようにする。

2025年春の試験運用では、学生たちはリアルタイムで指導とフィードバックが得られることを高く評価し、役立つと感じて、より多くの授業に導入してほしいと望んでいた。

2年生のニディ・クリシュナは、自分が同じ間違いを繰り返していることに気づかされ、その理由と回避策を理解する助けになったという。

2年生のストッドヒルは、2025年は深夜に難しい授業の宿題で行き詰まると、一般向けの大規模言語モデルに頼ることもあった。
だが、その回答は不正確なことが多かった。教員設計のAIなら、
       常に自力で正解に辿り着くことができる。
              
      
《試験への備えができていると感じるし、内容をよりしっかりと学べています》、…

商用AIの最大のリスクは、5×5を計算する代わりに電卓を使うような『認知の丸投げ』だとストッドヒルは考えている。
クラス専用のAIには、それを防ぐためのガードレールがあるという。
           ストッドヒルは言う。
              

《こうしたプロセスを経て課題に取り組むことは、知性を鋭敏に保ち、
   より有能な人間であり続けるために必要だと思います》、…

参考文献:

【大学教授たちが開発したAIがChatGPTなどと決定的に異なる理由】:

https://courrier.jp/news/archives/441366/?utm_source=editors_choice&utm_medium=top&utm_campaign=article_id_441366