2026年5月7日木曜日

河川に溶け出したコカインで“ハイ”になったサケの異常な行動

《人が“ハイ”な状態から脱した後も、違法薬物は環境中に長い間残り続ける》、…科学誌『サイエンス』は記載している。



実際、世界中の湖や河川の水には人間の廃棄したゴミや排泄物などから流れ出た薬物の残留物が含まれている。
《そして、受動喫煙にさらされる子供たち同様に、汚染された水域に生息する生物は──小さな甲殻類から魚類、サメまで──その影響を逃れることはできない》のだと、…
科学誌『サイエンス』は続ける。

そんな自然環境における薬物汚染の魚への影響を初めて検証したのが、学術誌『カレント・バイオロジー』に掲載された研究である。



「人が“ハイ”な状態から脱した後も、違法薬物は環境中に長い間残り続ける」。科学誌「サイエンス」はそう書いている。実際、世界中の湖や河川の水には人間の廃棄したゴミや排泄物などから流れ出た薬物の残留物が含まれている。

「そして、受動喫煙にさらされる子供たち同様に、汚染された水域に生息する生物は──小さな甲殻類から魚類、サメまで──その影響を逃れることはできない」のだと、同誌は続ける。

そんな自然環境における薬物汚染の魚への影響を初めて検証したのが、学術誌「カレント・バイオロジー」に掲載された研究だ。

豪グリフィス大学のマーカス・ミケランジェリとスウェーデン農業科学大学のジャック・ブランドは、アトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)とコカインに注目した。「コカインは現在、世界中の水生環境で最も多く検出されている薬物の一つ」だと彼らは国際メディア「カンバセーション」の記事で説明している。

彼らが明らかにしたのは、コカインはサケの寿命を縮めはしないものの、彼らを「とにかくたくさん泳がせる」ということだった。

サケにコカインを投与:
実験にあたってミケランジェリとブランドの研究チームは、生後2年の若いサケ105匹を3つのグループに分け、インプラント(埋め込み器具)と追跡装置を装着した。

1つ目のグループのサケに着けたインプラントからはコカインが放出され、2つ目のグループのインプラントからはコカインの主要代謝物であるベンゾイルエクゴニン(元の薬物同様、体外に排泄される)が放出される。残り3分の1のグループは、何も放出されないインプラントを装着した対照群とした。コカインの投与量は自然界で検出される汚染レベルに相当する量に設定された。



その後、サケはスウェーデンで2番目に大きな湖であるヴェッテルン湖に放たれ、研究者らは8週間にわたってその移動経路を分析した。

その結果、「何も投与されなかった対照群の個体の多くは、放たれた地点から約20キロ離れた場所に定着した。一方で、コカインを投与されたグループはもう少し離れた場所に、そして、ベンゾイルエクゴニンを投与されたグループは、32キロ離れた場所に定着した」とサイエンスは伝える。

研究者らが特に重要視した発見は、代謝物質であるベンゾイルエクゴニンがコカイン自体よりも強い作用を持つという事実だ。

「これは予想外の結果でした。環境リスクの評価は通常、代謝物よりも元の物質(親化合物)に基づいておこなわれるため、これは重要な意味を持ちます」とブランドは「サイエンティフィック・アメリカン」誌に語る。彼によると、水生環境におけるベンゾイルエクゴニンの濃度はコカインの濃度よりも高いという。


『どこまでも泳ぐ』に潜む危険性:
だが、なぜ長距離を泳ぐことが問題視されるのか? ミケランジェリは「IFLサイエンス」に対し、こう答えている。「不自然な行動の変化は、決して良い兆候ではありません」

「おそらく、連鎖的な影響や個体群の動態の変化が生じるでしょう。薬物への曝露が生殖行動や捕食者との関係にどういった影響を与えるかはまだわかっていません」と彼は説明する。

魚たちは繁殖を犠牲にして泳ぐことに全エネルギーを費やしているのだろうか? 遠くまで泳ぐという冒険によって、未知の捕食者に遭遇したり、餌不足に陥ったりするような場所に行き着いてしまうのだろうか? すでに生息地の喪失や気候変動の影響が指摘されるなか、これは懸念すべき問題だ。

更に、コカインにさらされたサケを食べることで引き起こされる人体への影響も気になるところだ。ブランドによると、サケに含まれるコカインやベンゾイルエクゴニンの濃度は、人体に影響を与えるレベルより遥かに低いという。サイエンティフィック・アメリカンは、《ローストしたサケやスモークサーモンは食べても大丈夫》、…
だと纏めている。

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