2025年5月13日火曜日

アメリカ西部の古代と神秘のメディスン・ホイール!…


アメリカ北西部の風景に点在する100基もの石造建築物は、無知な人々から『メディシン・ホイールズ』と呼ばれ、エジプトのピラミッドよりも5000年前の建造物である可能性もある。一見原始的に見えるかもしれないが、星座と一列に並んでおり、失われた文明が天の位置を正確に定めていたことを示しているのかもしれない。

アメリカの開拓者たちがミシシッピ川を渡り!〜、
広大な北西部の草原へと足を踏み入れ始めた時、
彼らは奇妙なほどに石が密集しているのを発見した!・・・

それは、少なくともヨーロッパ文化に慣れ親しんだ人々にとっては、車輪のスポークを模したものだった。
彼らは数千年もの間この地に暮らしてきた人々に、それが何なのか尋ねた。『分からない』と答えが返ってきた。《我々がここに来た時からそこにあったんだ》、…

  Big Horn Medicine Wheel (CC BY-SA 2.0)

先住民たちは本気だったのか、それとも白人が聖地を詮索するのを阻止する為に、ただ無知を装っていただけだったのか。
白人たちは聖地を詮索し、理解できないようで、おそらく蹂躙したり、台無しにしたりするだろう。いずれにせよ、1800年代後半のどこかで、ワイオミング州のビッグホーン・メディシン・ホイールを皮切りに、新しい入植者たちはこれらの石組み『メディシン・ホイール』と呼び始めた。これは決して『インディアン』用語ではなかった。
然し、その輪郭は車輪のように見え、先住民たちは明らかにそれらを神聖なもの(白人用語で『メディシン』)と見なしていた。
その為、この名称は定着し、今日まで使われている。上から見ると、中央の核からスポークが伸びた自転車の車輪のように見える。

※『メディシン・ホイール』:
ネイティブ・アメリカン(インディアン)の間でとても神聖なものとされていたシンボルの一つであり、お守り的な要素があるもの。 
円形の輪の中の十字は方角(東西南北)を示しており、その4つの方角には其々意味があるとされている。

◼︎  メディシンホイールの年代と定義:
考古学的手法でメディシンホイールの年代を特定する確実な方法は、残念ながらありません。石材に関しては炭素年代測定は役に立たない為、…その年代は誰にも分かない。
ビッグホーン・メディシンホイールは4000年から5000年前まで遡る可能性があると考える考古学者もいる。これは、建設時期がエジプトのピラミッドとほぼ同じ時期であることを意味する。
一方、より大胆な見方をする考古学者は、100万年前まで遡る可能性を唱えている。然し、この地域に氷河の影響が及んでいる事を考えると、これはおそらく無理!と言える。

      考古学者ジョン・ブラムリー

西部のアメリカ・インディアン遺跡の研究で知られる
     考古学者ジョン・ブラムリーは!〜、
メディシンホイールを識別するための定義を考案し、
     それが公式基準となっていいる!・・・
ブラムリーによると、メディシンホイールには以下の3つの特徴のうち少なくとも2つが含まれます。

● 中央に石のケルンがある!・・・
● 1つ以上の同心円状の石の環状列石がある!・・・
● 中心点、つまり『ハブ』から放射状に伸びる2本以上の石の線、
      または光線がある!・・・

彼の基準を考慮すると、歴史的なメディシンホイールは少なくとも100基、おそらくは200基近く、今日でも現存していると考えらる。
更に多くのものが破壊されており、この地の先住民がこれらの聖地の未来を予見していたことが証明されている。

現存するホイールの番号は様々である事は、… 
小さな円の中には、古いティピーリングである可能性が高い為である。
そのほとんどはアルバータ州とサスカチュワン州に存在しているが、ノースダコタ州、ワイオミング州、モンタナ州、コロラド州といった北アメリカ諸州にも所在している。

         Stonehenge

メディスン・ホイールはイギリスのストーンヘンジのように巨大で威厳のあるものではない。何百万トンもの巨石を運ぶ必要もなかったからである。然し、メディシンホイールは、同じように神秘的な魅力を放っている。まさにこの神秘的な雰囲気こそが、いわゆるニューエイジから現代のウィッカやペイガンに至るまで、あらゆる人々にメディシンホイールの建造をこれほどまでに人気に押し上げたのである。
彼らの多くは、メディシンホイールの意味を独自のスピリチュアルな解釈思考で解釈している。

然しながら、現代におけるこうした関心の復活だからこそ、ある基本的な点を強調しておく事が重要となる。
多くのネイティブアメリカンの伝統主義者が、このような古代の慣習を現代風に一般化することに抱く軽蔑は、いくら強調してもし過ぎる事はない。彼らの目には、白人文化は、非常に神聖で神聖なものに白人の名前(『メディシン』と『ホイール』』という、どちらもインディアンの精神性とは全く関係のない名前)を与え、それを学術的な還元主義という唯物論的な基準で定義づけ、物体の全体性を認めるのではなく、部分に分割し、そしてそれがどのように『使われた』のかを解明しようとした!と言える。
祖先の神聖な伝統を重んじるネイティブアメリカンが、このような神聖な空間の目的を知っていても、沈黙を守るのは不思議ではない。
たとえ善意の『インディアン/ネイティブアメリカン』の共感者が現れ、誠実な共感を示しているように見えても、彼らの表面的な知識と態度は、古代の人々の精神的なDNAを血に受け継いだ者たちにとっては不快感を与えるだろう

◼︎  ピラミッドに挑戦:
現在現存する最大のメディシン・ホイールは!〜、
アルバータ州南部のメジャービル近郊に位置している!・・・
中央のケアンから放射状に伸びる29本のスポークが、直径約90フィート(27.43メートル)の外輪を形成しています。遺跡で発見された尖頭器と、付近で発見された現存する骨の放射性炭素年代測定が正確であれば、この遺跡は約5,000年前に建造されたと推定され、おそらく現存する最古のメディシン・ホイールとなります。建設時期は、エジプトのピラミッド建造時代とほぼ一致することになります。

    メディシンホイール国定歴史建造物

         ゴードン・フリーマン:

アルバータ大学化学名誉教授。

450以上の科学論文と3冊の著書を出版。


ゴードン・フリーマンの専門書でありながら非常に読みやすい著書『Hidden Stonehenge(隠されたストーンヘンジ)』の中で、…
ゴードン・フリーマンは!〜、
   この遺跡がピラミッドやストーンヘンジよりも
 古い古代の太陽神殿の遺跡であると結論づけている!・・・

フリーマンの調査によるとこの遺跡の『聖なる輪』は!〜、
冬至と夏至、つまり一年で最も昼が短い日と最も長い日の日の出の
方角に向いている事が判明!・・・
これは、直径80フィート(24.38メートル)でほぼ同じ大きさの28本のスポークを持つビッグホーン遺跡と似ている。
フリーマンは、巨大で複雑な天文台であった事を示す多数の視線計
と数学的データを提供している。

◼︎  メディシンホイールの隠された目的:
『何故?』という疑問は依然として残る。
数多くの説があるが、その殆どは、その価値よりも確信を持って提示されている。例えば、スタンフォード太陽エネルギーセンターの説などである。

《1974年、ジャック・エディという考古天文学者が(ビッグホーン)メディシン・ホイールを訪れ、その配置、つまり岩、ケルン、スポークの配置を研究した。彼は、その配置が夏至の太陽の昇り降りの位置、そして牡牛座のアルデバラン、オリオン座のリゲル、おおいぬ座のシリウスの昇り位置を示していることを発見した。
これらは全て夏至に関連する重要な明るい星です。
後に、別の天文学者ジャック・ロビンソンが、夏至の28日後に明るい星フォーマルハルトの太陽の昇り位置を示すケルン対を発見した》、…

この説明には何ら誤りはなく!〜、
   科学的な検証によって間違いなく
       真実であることが証明されている!・・・
然し、それは核心的な疑問に答えていない。何故、これらの特定の星の位置を特定することが、労力、時間、そして苦労を費やしてまで、特に困難な環境で生き残るために多大な努力が必要だった時代に、…それほど重要なのだろうか?
この遺跡を建設した人々は、明らかに、私たちの時代からは失われた文明の一員であった。彼らがどのように考え、何を大切にし、何故このような傑作を建設したのか?、誰も知らない。

 メディスン・ホイールは、米国ワイオミング州にある
  アメリカ先住民の聖地であり、国定歴史建造物。

おそらくサンドラ・ラフランボワーズとカリーン・シェルビナは、ダンシング・トゥ・イーグル・スピリット・ソサエティに寄稿した記事の中で、人が見出し得る最も深い洞察を伝えていると言える。

《これらの儀式から、メディシン・ホイールは私たちのスピリチュアルなエネルギーの物理的な顕現と言えるでしょう。言い換えれば、創造主(神)と内なる精神との内なる対話を外に向けて表現したものと言えるでしょう》、…

      ロビン・ウォール・キマーラー:

1953年9月13日生まれ(71歳)

ニューヨーク州立大学環境科学森林学部(SUNY-ESF)先住民環境センター所長。

科学者でありネイティブ・アメリカン、西洋の科学と先住民の環境知識の両方から情報を得て仕事をしている。


ロビン・ウォール・キマーラーは!〜、
美しい著書『スウィートグラスを編む』の中で、伝統的なポタワトミ族のブラックトネリコ編み籠の作り方を解説しながら、古代の精神性への扉を開いた!・・・
彼女の講師は、編み始めに必ず2本のトネリコの細片を直角に並べ、対称的な十字を描くように教えた後、…生徒たちにこう言い渡した。
              ⬇︎⬇︎⬇︎
《さあ、自分が何をしたか見てみましょう。
 目の前の四方から始めました。それが籠の核心です。
 残りの全ては、それを中心に構築されます》、…
 この簡潔な教えから、彼女はこう結論づけている。
《私たちの人々は、四つの神聖な方位とそこに宿る力を尊重していま
 す。二つの籠の帯が交わる場所、つまりその四つの方位が交差する
 場所こそ、私たち人間がそれらのバランスを見つけようと努めるま
 さにその場所です》、… そして、指導者は彼女の考えを締め括る。《ほら、人生で私たちが行うすべてのことは神聖なのです。
 四つの方位こそが、私たちが築き上げていくものです。
 だからこそ、私たちはこのように始まったのです》、…

メディシン・ホイールの導きの原動力は、四つの基本方位を指し示し、神秘的な天空の様々な興味深い地点を特定するという意図が加わっているのだろうか?
それとも、失われた文明にとって明らかに大きな意味を持っていたものの、今では人目につかない現実に、現代の教えが重ね合わされているだけなのか?結局のところ、同じ教訓を二枚の黒いトネリコの帯で伝えられるのであれば、何百もの岩を地面に引きずり回すのは、少し馬鹿げているように思える。

    バスケットを編むホピ族の女性

実の処、誰も分からないん。
然し、十字架のイメージには深く揺るぎない意味がある。
それはローマとキリスト教の繋がりよりも古くから存在する古代の
シンボルであり!、… そのルーツは象徴思想の始まりにまで遡り、天と地、男と女の結婚、そして全てが中心で一つになる様子を描いている。古代の人々も同じような考えを持ち、神聖な風景にこの偉大な神秘を再現したのでしょうか?もしそうなら、彼らは『御心が天に行われるように、地にも行われますように』というよく知られた祈りの意味を石に刻むよりも前から存在していた事が考察できる。
彼らは、エジプトからメソアメリカにかけて見られる古代の教義!…
『上にあるものは下にも』と完全に調和していた。

十字架の象徴性が、円形に配置され、広大な中央平面に立って広大な地平線を眺めると、終わりのない時間の『輪』が見えるという形でさらに強調されるならば、その意味はさらに深まる。
失われた文明の忘れられた知識の中でも、彼らが現代とは全く異なる方法で天を研究していたという事実は、深い謎に包まれている。
コンピュータ解析と電波望遠鏡のおかげで、宇宙の物理的メカニズムについては、彼らよりも遥かに多くのこ事が分かっている。
然し、謎に包まれているのは、なぜ彼らが、かつて世界が目にしたことのないほど壮大で、天文学的に精密でありながら、謎めいた石造建築物を建造したのか?との疑問に包まれて仕舞う。
夜空を研究し、その魔法を地上に齎す事を目指していたのだろうか?何故それが彼らにとってそれほど重要だったのだろうか?

        はくちょう座地図

◼︎  白鳥座:
古代人にとって重要な星座の一つは!〜
 世界中で何度も石に複製された事からも明らかなように、
       北十字星を含む白鳥座である!・・・

       アンドリュー・コリンズ

アンドリュー・コリンズは!〜、
   天の川の背骨を形成するこの星座について、
       多くの著作を残している!・・・

古代において、白鳥座は『鳥』の星座として知られていた。
晴れた夜に白鳥座を見ると、その背後に私たちの銀河系、天の川面を構成する輝く星の帯を見る事ができる。
白鳥座はこの光景を際立たせています。
コリンズの主張は、世界中の多くの宗教が、生命の源であり死の行き先でもある天国を、白鳥座が覆う北天の同じ部分に定めているというものである。彼の問いは、何故なのか?という事です。

彼の著書『白鳥座の謎』や『ギョベクリ・テペ:神々の起源』は、…アメリカのメディシン・ホイール建設よりはるかに前の時代を正確に指し示している。
然し、それでも彼は説得力のある議論を展開している。

《神聖なものと見做されたこの宇宙的影響の記憶が、宗教、芸術、そして知性の出現の背後にあったことは明らかである。
これは抽象的に認識され、保存され、最終的には、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンドゥー教など、今日でも様々な世界宗教に見られる象徴主義の背後にある古代宇宙論の基盤となった》、…

これは、アメリカ西部のメディシン・ホイールが白鳥座を描こうとした試みだと言っているのではない。然し、星座の骨格を成す北十字星は、初期の宇宙論とその後の哲学的世界観に重要な影響を与えた可能性が高い。一つ確かな事は、これらの議論や理論を、現代社会にとってもはや重要ではない無関係な関心の領域に追いやるならば、…
人類自身の深く根付いた信念構造の多くを無視してしまう事になる。
私たちの言語そのものが、これらの概念の記憶を保存しているのだ。

例えば、白鳥座が私たちの祖先に、天の鳥が北の彼方から私たちを地上に運んでくれると告げたとすれば、私たちは子供たちに『コウノトリ』が私たちを家に置いてくれたことで生まれたと伝えるたびに、その神話を語り継ぐことになる。
 そして私たちが死ぬ時、天国への最後の旅に出る直前に、比喩的にオペラ的な『白鳥の歌』 を歌う。

                                     

考察から新たな洞察が生まれる。
問題は、十字架が古代の祖先にとって何を象徴していたかという点ではなく、そもそもなぜ古代人たちが十字架にそれほど興味を唆られたのか?と言う事である。

彼らは何を考えていたのだろうか?
どのような答えを求めていたのだろうか?
夜空を見上げ、重要な星々の通過点を刻んだ時、彼らの心の中には何があったのだろうか?
何か新しいものを探していたのだろうか?
それとも、忘れていた古いものを思い出していたのだろうか?
心の奥底で揺らめき、かつて存在し、再び存在するかもしれない文明を思い起こさせる記憶。
これらは全て、控えめに言っても状況証拠に過ぎないが!、… 然し、月明かりの夜に空を見上げ、人生の輪に思いを馳せ、遠い昔の人々に思いを馳せるとき、何故か全身が慄きに似た厳粛、荘厳さに包まれて仕舞う。

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