来日して「音姫」のファンになったというドナ・バークは、オリジナルの擬音装置の開発も手掛ける。そのド派手な音とは? Photo: Hiroko Masuike / The New York Times
■ 日本のトイレの『音」:
日本の公衆トイレの個室に足を踏み入れると!〜、
高確率でサウンドスケープ(音の風景)に包まれる!・・・
それは、トイレと聞いて一般に想像されるような音ではない。
聞こえてくるのは川のせせらぎ、時には陽気な鳥のさえずりも混じり、トイレ空間を聴覚的な「疑似自然空間」へと変える。まさに『自然の呼び声』に応えるのに最適の環境だ。
日本では、トイレ使用中の音を周囲に聞こえにくくする為の『擬音装置』が広く普及している。定番はTOTOが製造する『音姫』だろう。
これは日本特有のトイレエチケットで、川の流れる音をはじめとする自然の音によって、排泄時の『気まずい音』をかき消すというものだ。
主に日本の女性用トイレに標準装備されてきた!・・・
不快な音を消すだけでなく、節水にも大きな役割を果たしている。TOTOの調査によると、女性がトイレで水を流す回数は、擬音装置がない場合は平均2.3回だったのに対し、装置がある場合は1.5回に減少したという。
そしていま、この装置は性別の枠を超えて、全国の公共施設で新たな利用者を獲得しつつある。さらに普及に伴い、その『音』自体が不可思議な進化を遂げている。
そしていま、この装置は性別の枠を超えて、全国の公共施設で新たな利用者を獲得しつつある。さらに普及に伴い、その『音』自体が不可思議な進化を遂げている。
輸出を手掛ける業者やプログラマーたちが、よりニッチな層に向けて音のカスタマイズを進めているのだ。
《女性にとって、『音姫』の使用はもはや当たり前になりました》、…と、
《女性にとって、『音姫』の使用はもはや当たり前になりました》、…と、
TOTOで同装置の開発を担当する松山司は言う。
《最近は若い男性もトイレの音に気を配るようになり、男性用トイレでの設置も進んでいます。公共トイレを設計する際、ジェンダーによる区別を設けない動きも高まっています》、・・・
暖房便座、人感センサー、温水洗浄機能といった!〜、
日本の『未来的』トイレ機能は、かつて海外では
『馬鹿げた贅沢品』と一笑に付されていた!・・・
然しいまや、アリ・ウォン、ドレイク、ジミー・キンメルといったセレブリティも愛用者に名を連ね、TOTOの北米向け輸出は近年飛躍的に増加している。
その次なる開拓分野が擬音装置であり!〜、
これは日本のトランスジェンダーコミュニティでも
新たなユーザーを獲得している!・・・
TOTOの広報担当者であるハシタニ・トモエによると、同社はトランスジェンダーの人々が公共トイレで直面する問題について調査を実施し、その知見を設計会社と共有しているという。
一方で、トイレは『遊び心のあるプログラマー』たちの実験場にもなりつつある。
一方で、トイレは『遊び心のあるプログラマー』たちの実験場にもなりつつある。
彼らはあらゆる類いの音をトイレにアップロードしている。
キノシタ・アキフミは、コロナ禍に、趣味で『音将軍』と名付けたユニークな装置を製作した。これは『暴れん坊将軍』の勇壮なテーマ曲を絶妙なタイミングで流す装置で、ネット上で大きな話題となった。
《市役所の男性用トイレで『音姫』を見つけ、これは面白いと思って、手持ちのジャンクパーツで自作してみたんです》、…と、個人的な楽しみの為に『音将軍』を製作したキノシタは語る。
《トイレは一人で過ごす空間です。BGMやいろいろな音を流す事は、…エチケットという本来の目的とは別に、『プライベート感』を演出する手段として人気が出ているのではないでしょうか》、・・・
《市役所の男性用トイレで『音姫』を見つけ、これは面白いと思って、手持ちのジャンクパーツで自作してみたんです》、…と、個人的な楽しみの為に『音将軍』を製作したキノシタは語る。
《トイレは一人で過ごす空間です。BGMやいろいろな音を流す事は、…エチケットという本来の目的とは別に、『プライベート感』を演出する手段として人気が出ているのではないでしょうか》、・・・
■ トイレで『爆弾投下!』:
東京を拠点に活動する声優で起業家のドナ・バーク(61)も!〜、
『音姫』の熱烈なファンの一人だ!・・・
オーストラリアで育った彼女は、高校時代、恥ずかしさから頻繁にトイレで『二度流し』をしていたという。
1996年に来日すると、すぐさま『音姫』を愛用するようになり、なぜ海外で販売されていないのか不思議に思った。
そこで2024年、彼女は日本のメーカーと提携し、独自の製品『ロイヤル・フラッシュ』を開発した。
手をかざすと川のせせらぎや鳥のさえずりが流れる壁掛け式の装置だ。
現在、シェアハウスやAirbnbの宿泊施設をターゲットにオンラインで販売しており、クラシック音楽や砲撃音など、音をカスタマイズできる新バージョンのリリースも計画している。
《ベーシックモデルがヒットしたら、次はプレミアムモデルを投入します》、…
現在、シェアハウスやAirbnbの宿泊施設をターゲットにオンラインで販売しており、クラシック音楽や砲撃音など、音をカスタマイズできる新バージョンのリリースも計画している。
《ベーシックモデルがヒットしたら、次はプレミアムモデルを投入します》、…
東海道新幹線の英語アナウンスを担当するバークはそう意気込む。
《新しいサウンドには、ベートーベンの交響曲第5番『運命』の冒頭(ダダダダーン!)や、ロッシーニの『ウィリアム・テル』〈序曲〉などを入れる予定です》…
彼女は人気ゲーム『メタルギアソリッド』の声優を務めており!〜、
《新しいサウンドには、ベートーベンの交響曲第5番『運命』の冒頭(ダダダダーン!)や、ロッシーニの『ウィリアム・テル』〈序曲〉などを入れる予定です》…
彼女は人気ゲーム『メタルギアソリッド』の声優を務めており!〜、
主題歌も歌っている!・・・
それが「砲撃音」を選んだ理由でもある。《『爆弾投下!』の意味がありますし、勇ましい『トイレへの爆弾投下』を戦争のサウンドトラックでかき消すなんて面白いでしょう? 『メタルギアソリッド』ファンにもアピールできますしね》、…
■ 200年以上前の擬音装置:
こうした装置はいかにも現代的な発明に思えるかも知れないが!〜、
そのコンセプトは日本で何世紀も前から存在する!・・・
この壺はかつて殿様が使用したトイレの近くに置かれていた。
壺には蛇口がついており、下に置かれた瓦に水を落とす事で音をかき消す仕組みになっている。蓮台寺の資料によれば、こうした壺は江戸城をはじめ、日本各地で使用されていたという。
この基本的なコンセプトが刷新されたのは!〜、
この基本的なコンセプトが刷新されたのは!〜、
1970年代のことだ!・・・
当時、日本は全国的な水不足に直面していた。
1979年、東京が深刻な水不足に見舞われるなか、都内でトイレ製造販売を手掛ける折原製作所が、日本初のトイレ用電子擬音装置『エチケットーン』を発売。
1979年、東京が深刻な水不足に見舞われるなか、都内でトイレ製造販売を手掛ける折原製作所が、日本初のトイレ用電子擬音装置『エチケットーン』を発売。
女性向けに消臭芳香機能も兼ね備えたこの製品は爆発的な人気を博し、東京都議会で緊急の節水対策として紹介されたほどだった。
然し、折原製作所は特許を取得できなかった為、その後の十数年でTOTO、松下電工(現パナソニック)、INAX(現LIXIL)といった競合メーカーが次々と独自のバージョンを投入することになった。
《女性は単に音を消すだけでなく、トイレ使用時に心安らぐ音を求めている事がわかりました》…と、TOTOの松山は語る。これが『音姫』進化への道を開いた。
北九州市にあるTOTOミュージアムには!〜、
1988年に発売された壁掛け式の初代『音姫』が展示されている!・・・
大きなボタンを押すと、25秒間にわたって凄まじい流水音が鳴り響く仕組みだ。
『音姫』の人気が高まるにつれ、TOTOは徐々に音源をアップデートし、電子合成音から自然界にある本物のせせらぎの音へと切り替えていった。
2009年頃、松山氏は理想的な音を求めて日本中を旅した。海の波、滝、洞窟、川、小川など、あらゆる音を録音し、フォーカスグループ(少人数グループでの意見交換会)でテストを重ねた。
2009年頃、松山氏は理想的な音を求めて日本中を旅した。海の波、滝、洞窟、川、小川など、あらゆる音を録音し、フォーカスグループ(少人数グループでの意見交換会)でテストを重ねた。
そしてついに、TOTO本社からほど近い九州のとある場所で、求めていた小川のせせらぎに出会い、それをスズメやウグイスのさえずりと組み合わせた。
消費者から『川の場所を知りたい』との声も寄せられているが、その場所は秘密にされている。
《小川のせせらぎがベストだと判断し、なかでも、この小川こそが最高のノイズ低減効果を発揮しました。音姫』を利用するみなさまには、『秘密の場所とはどこだろう』と、想像を膨らませて楽しんでいただければと思っています》、… 松山氏は語る。
TOTOは特注のバージョンもいくつか製作しており、女性用トイレ向けの琴の音や、岐阜県の道の駅にある男性用トイレ向けの、戦国武将が使う法螺貝の音などがある。
ライバル企業のLIXILは2018年、『音姫』に対抗すべく!〜、
電子楽器メーカーのローランドと手を組み、
音響信号処理技術を活用した装置を開発した!・・・
その結果生まれたのが、人感センサー付きの壁掛けユニット『サウンドデコレーター』だ。これも流れるのは小川のせせらぎや鳥のさえずりだが、トイレ使用時の音に合わせて音の周波数を自動的に調整するという機能がある。
《同製品のマスキング機能は、カクテルパーティ効果に似て、特定の音に集中することで他の音を無視できるようになるのです》、…と、ローランドのソフトウェア開発マネージャー、ワクダ・サトシ氏は説明する。
《アルゴリズムが必要な周波数を増幅し、不要な周波数を抑えることで、トイレ使用時の音を効果的に隠すことができるという訳です》、…
《同製品のマスキング機能は、カクテルパーティ効果に似て、特定の音に集中することで他の音を無視できるようになるのです》、…と、ローランドのソフトウェア開発マネージャー、ワクダ・サトシ氏は説明する。
《アルゴリズムが必要な周波数を増幅し、不要な周波数を抑えることで、トイレ使用時の音を効果的に隠すことができるという訳です》、…
参考文献:
■【米紙が日本のトイレの「次なるフロンティア」、進化し続ける「音姫」に迫る】:
https://courrier.jp/news/archives/425845/utm_source=daily+item+free+announce&utm_medium=email&utm_content=editors-choice
425845&utm_campaign=2025-12-21-17036&courrier_mail_session_id=17036
これが他の人種が絶対に真似できない!と言っても決して言い過ぎではないでしょう。
日本のトイレ文化は、今後も破竹の勢いで世界を席巻するでしょう。
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