2025年1月21日火曜日

マスク氏に買収されたツイッター その日から『青い鳥が』消えた!


ツイッターを買収したイーロン・マスクは「言論の自由」の抑圧に関連すると見られる内部文書を公開し、一部で検閲がおこなわれていたことを明るみにした。だが、それらの行動の背後には元経営陣たちへの復讐心があったという。その内情を描いた『TwitterからXへ 世界から青い鳥が消えた日』から抜粋でお届けする。

コンテンツの取り締まりに関するイーロン・マスクの見解は、ツイッターが慣れ親しんできたものとは異なっていた。そしてマスクは、前任者とはまったく比べ物にならないほど、介入的なアプローチを取った。言い換えれば、現場へ出て細かく口を出したのだ。



ジャック・ドーシー元CEOが、特定のアカウントを追放あるいは停止すべきかどうかの決断を自ら下すことはめったになく、直属の担当グループにその判断を任せていた。このようなプロセスは、ポリシーの決定が長引き、厄介な問題になり得ることを意味した。ツイッターの幹部が言論の自由の微妙なニュアンスを巡って会議を開き、神経をすり減らしながら議論を重ねることになったからだ。

アカウントの追放や停止にまつわる決定と責任を誰か特定の1人に負わせることはまずないと言ってよく、あくまでも会社あるいはチームによる決定だと位置づけていた。


これとは対照的に、マスクは重大な決断を自ら下すことにまったく抵抗がないように見えた。チーフ・ツイットは即断即決で物事を進め、しかもその決断を下したのが自分であることを隠そうとしなかった。責任の所在を、誰の目にも明らかにした。

これらの変化の理由をすべてマスクの性格に帰すことはできない。
 ツイッターのためのセールスピッチの一環でもあった。マスクはツイッター2.0では、前体制を思い起こさせるものを葬り去り、イメージも使い勝手も刷新させたいと考えていた。マスク同様、ツイッターがネット上の言論の検閲に踏みこんでいると考える保守派ユーザーを呼び戻すのも、その戦略の一部だった。

 「ツイッターファイル」の公開:

トランプのアカウント復活は楽勝だった。ウェストの復帰を支持することも(少なくも当初は)同様だ。だが、物事を前に進める変化だけでは、物足りなかったようである。マスクは、ツイッター1.0を跡形もなく破壊すること、そして法廷でマスクと争い、買収を強要した元幹部全員に復讐を果たすことにも執念を燃やしているようだった。

そのためにマスクは、ツイッターの内輪の恥を公開することにした。数人のジャーナリストを招き、メールやスラック、グーグルのメッセージなど、従業員同士のやり取りを含む、ツイッター社内でのコミュニケーションをしらみ潰しに調べ上げ、ツイッターの過去の主要なコンテンツモデレーションに関する意思決定について記事を書かせたのである。

長年リベラルに偏っていると考えられてきたツイッターの偏向を暴く計画の一環だった。「殺菌には太陽の光が一番だ」とマスクは説明した。呼び寄せたジャーナリストたちに、彼らが望む内部文書への「制限のないアクセス」を許可した。「北朝鮮のガイド付きツアーのような状況にはならない」と、機上から冗談を言っている。

ジャーナリストたちは、「どこでも好きなところへ、好きなときに、好きなように行ける」のだ。このプロジェクトはその後「ツイッターファイル」として知られるようになり、マスクはこれを恥さらしではあるが、ツイッターが信頼を取り戻すための重要な方法なのだと喧伝した。

他のソーシャルネットワークよりも「正直」であることが、ツイッターが長期的にユーザーベースを拡大するための差別化要因になると考えていた。

マスクがガルフストリームの機内で人々の注目を一身に浴びていたとき、最初のツイッターファイルが公表されてからまだ24時間も経っていなかった。マスクがフォロワーに大々的に喧伝し、さらにジャーナリストのマット・タイービがシェアした最新情報をリツイートしていたこともあり、広く期待が高まっていた。

マスクは報道関係者をツイッターのオフィスに招待し、ファイルの内容を確認させた。しかし、単に招待状を送るだけでなく、自らもっと多くのことに関与していたことがうかがえた。「我々は今、いくつかの事実をダブルチェックしているところだ」と、マスクはツイッターファイルの公開前にツイートしている。

ツイッターファイルの1弾では、2020年の米大統領選直前のハンター・バイデンのノートパソコン事件に関するツイッターの対応が調査対象となった。続編のファイルでは、トランプのアカウント凍結に関連して社内で交わされたメッセージ、アカウントの停止とツイートの削除に関するツイッターと司法当局とのやり取りなど、他のトピックがカバーされている。

この調査の目的は、ツイッターが腐敗し反保守に偏向しているように見せることであり、それは大部分において奏功した。ツイッターファイルは、同社幹部がしばしば政府機関と裏ルートで交渉したり、FBIや大統領選挙の選対本部から指摘されたアカウントを削除したりしていたことが暴かれた。

また、ツイッターが物議を醸す一部のユーザーのツイートの拡散を抑制し、それらのアカウントがトレンド入りしないよう操作していたことも明るみに出た。厳密にはシャドウバンではなかったが、一部のユーザーのツイートの配信に、本人が気づかぬうちに影響をおよぼしていたのだ。

 メディアに対しても攻撃:

とはいえ、大半の主流メディアにとっては、ツイッターファイルにはさほど目新しい情報は含まれておらず、当初発表を待ち望んでいた人々も、第3弾が公表される頃までにはほとんど関心を失った。ツイッターのポリシーに関する意思決定を丹念に追っていた人々にとって、これらのファイルは、すでに知られていることの多くを追認するだけのものに過ぎなかった。

すなわち、コンテンツモデレーションにまつわる判断は、厄介で、複雑で、しばしば不完全なものであるということだ。

メールの履歴からは、取るべき対応について従業員たちの意見が対立している様子や、アカウントの一時凍結が本当に所与のルールの範囲内に収まるのか疑義を呈する声などを読み取ることができた。
 ハンター・バイデンのノートパソコン記事の検閲が、ツイッターの判断ミスであったことに異論を唱える人はほとんどいないだろう。

ツイッターの幹部が、この出来事の直後に公式に謝罪しているぐらいだ。世界のために言論を取り締まるのは一筋縄ではいかない大変な仕事であり、ツイッターの幹部たちが折あるごとにその責任を重く受け止め、苦悩していたのは紛うかたなき事実だ。

しかしマスクは、ツイッターの旧経営陣と彼らが犯した過ちがおおやけに、そして確実に罰せられるように、情熱を注いでいるように見えた。多くのメディアがツイッターファイルの破壊力を軽んじる姿勢を取るやいなや、マスクは怒りをあらわにした。

「自分たちもアメリカ国民を欺くことに加担してきたものだから、ツイッターファイルを取るに足らないものと言って片づけようとしている。恥を知れ」とメディアを罵倒した。

新オーナーに就任してから最初の数週間のツイッター関連ニュースの大半は、マスクのビジネス上の決断に焦点が当てられていたが、彼が他の何よりも、ツイッターのコンテンツにまつわる意思決定に与えたインパクトを通して人々に記憶されたいと思っていることが徐々に明らかになった。

ガルフストリームから参加したライブチャット中に、そもそもなぜツイッターを買ったのか、と質問を受ける場面があった。マスクは、バビロン・ビーの件に限ったことではなく、以前から高まっていた感情故だった、と述べた。「私たちは言論の自由を抑圧する道を進んでいる。私はそのことが心配でならない」と答えている。

※ この記事は『TwitterからXへ 世界から青い鳥が消えた日』からの抜粋です。

参考文献:

■【ツイッター買収後にイーロン・マスクが企てた“元経営陣への容赦なき復讐”】:

https://courrier.jp/news/archives/386738/?utm_source=daily+item+free+announce&utm_medium=email&utm_content=post-386738&utm_campaign=2025-01-21-14708&courrier_mail_session_id=14708



非常に違和感に纏わり付かれた参考文献でした!。
マスク氏のツイッター買収とその後の進展を評価しているようで内実は貶して、前経営陣を賛美しているかのような文脈には嫌悪感を抱きました。

著書『TwitterからXへ 世界から青い鳥が消えた日』は買ってまで読む気にはなれません。



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