2024年10月10日木曜日

日本流のリーダーシップ(経営術)企業を成長させる秘訣‼️…

 


『断固たる日本──企業を復活させるリーダーたち』(未邦訳)の著者である早稲田大学の池上重輔教授、
 そして米ウォートン・スクールのハービル・シン教授とマイケル・ユジーム教授は、日本の大企業のCEOや幹部たち100人以上にインタビューを実施し、成功の秘訣を尋ねた。

めざましい成長を遂げたビジネスリーダーたちのエピソードから浮かび上がる『持続可能な会社を創るリーダーシップ』とは?

   
池上重輔教授    ハービル・シン教授  マイケル・ユジーム教授

➤  長期の目標に短期の目標を組み合わせる:

『断固たる日本──企業を復活させるリーダーたち』(未邦訳)のなかで、池上たちは次のように書いている。
            ⬇︎⬇︎⬇︎
【【私たちが出会った強い意志を持つ日本のリーダーたちは、欧米に比べてより長期的な計画に集中しつつも、短期の目標設定を組み合わせていることがわかった。
 同時に彼らは、投資家だけでなく顧客たちを重視している。
一方で米国企業は、投資家によって支配されている。日本のリーダーたちは、リスクを恐れず若手の育成に力を入れ、機敏に指示を出す。自社の人材を見直すことで、個々の社員が才能を発揮できる場に配置され、会社により大きな利益が出るようになるのだ。

また、彼らは両利きのように器用で、あらゆるプランを同時にこなしている。ステークホルダーとの関係を維持し、短期で得られる利益と長期的な目標を管理し、そして企業を安定させつつも、臨機応変に対応しているのだ」

欧米をはじめとする海外企業のリーダーたちは、遠くの目標よりも目先の成果を重視する傾向にある。未来は予測不可能だし、会社としてはすぐに利益がほしいのだから、当然のことかもしれない。

然し、きちんと秩序が整ってさえいれば、未来の目標を重視し慎重に行動するという日本企業のビジネススタイルこそ、のちに大きな利益を生むのだという事がよくわかる
】】、・・・

➤  旭化成やカインズに学ぶ「待ち方」とは:


本書で紹介されるリーダーの1人に、旭化成株式会社の代表取締役会長、小堀秀毅がいる。化学製品や建材、繊維などを扱う大手総合化学メーカーである旭化成は、世界市場で活躍している。

2016年に代表取締役に就任した小堀氏は!〜、
成功を見込める10地域で売り上げを伸ばすという自身の計画が、
   1年や5年で達成できるのものではなく、
  10年はかかるものであることを強調した!・・・

小堀氏が見込んだ地域での売り上げシェアは現在35%だが、2030年までには倍の70%に増えると予想される。
小堀は、このプランに長い時間が必要な理由をこう説明する。
            ⬇︎⬇︎⬇︎
【【私の使命は、旭化成が100年の歴史を持つ企業だということを人々
 に伝えることです。そして、旭化成が次の100年も繁栄し続け、
 社会に貢献し続けられるよう、その土台を整えることです】】、・・・

建材やペット用品、ガーデニング用品など、
    幅広い商品を扱う大手小売企業のカインズも!〜、
小堀と同じく、コストをかけてでも
    将来の目標達成を重視するビジネススタイルだ!・・・


カインズは全国に200店舗をかまえ、従業員数は1万3000人以上にものぼる。同社は家族経営だが、2019年、血のつながらない高家正行をCEOに迎えた。高家は当初から、就任初年度は自社の利益を縮小することを堂々と宣言してみせた。
 高家は、カインズ経営者一族と幹部に対し、従業員の育成にコストをかければ、のちに何倍もの利益になって返ってくると説明していたのだ。

損して得(徳)取れ!〜、
町人文化が栄えた江戸時代に使われて言葉!・・・
これぞ正しく日本流の経営方針!と言えるでしょう。

カインズに長く勤めてきた幹部たちは!〜
高家に、このままではCEOを外されてしまうと警告した!・・・
しかし高家は、『私が何年CEOでいられるかはわかりません。しかし、カインズがこの先も長く繁栄していけるかどうかは、私がどれだけ優れた社員をたくさん育てられるかにかかっています』と返した。

そして、その育成には5年が必要だということも、高家は付け加えた。こうして高家は、『できるだけ早く』目標を達成するため、行動を開始した。

高家はまず、昇進したいと望む有能な管理職の社員たちに注目した。『できる限り、次世代の優秀な人材たちに上位のポジションを与えたいと思っています』と、高家は語る。優秀な人材を昇進させることで『社員に権力を与えつつ、社員を訓練することもできる』というわけだ。

➤  味の素が「テクノロジーに頼りすぎない」理由:


たとえ目標が将来の成功だとしても!〜、
長期的なプランには、短期の目標を設定することが必要だ!・・・
従って、短期の目標を達成する実行力が不可欠になってくる。

味の素の西井孝明CEOのケースを見てみよう。味の素は、主に冷凍食品や調味料などを手がける世界的な食品メーカーとして成功を収めてきた。その従業員数は、2023年時点で3万4000人にものぼる。

長期の目標を達成するために!〜、
   西井は従業員に対しアンケート調査を実施し、
    自身も含めた幹部たちの問題点を特定した!・・・
更に西井は、既存のテクノロジーに頼りすぎてはならないことを強調した。テクノロジーは、事業にとって恩恵にもなれば、妨害にもなりうるリスクを秘めているからだという。

【【自分たちのテクノロジーを過信しすぎると、
      悲惨な結果を生みかねません】】、・・・

デジタル社会が当たり前になったいま、競合他社の数が爆発的に増えていることを踏まえての警告だ。

長期的なプランを達成したいのであれば、経営陣が現状の『すばやい変化』に対応できることが重要だと、西井は考える。長期的な目標の達成に向け、この変化を加速させるためには、『マネジメントがきわめて重要になってきます』と西井は言う。

だからこそ、自社の長期的な『目標』が不可欠だということを、西井は強調し、…『私たちの理想は、食料や健康の問題を解決できる企業になること』だと西井は語る。おいしく栄養豊富な食品を作ることが、味の素の理念だという。


西井は、長期的な目標に向けたマインドセットをはぐくむため、従業員への年次アンケート調査を導入した。最新の調査によると、自分が企業の長期的な目標に貢献できていると感じている従業員はわずか55%。西井の目標である80%にはまだ遠い。

西井はこの調査に加え、自社をさらに盛り上げるべく、顧客価値やブランドイメージ、そして時価総額を高めるための計画にも取り組んでいた。

全固体電池やオール電化などの革新的なテクノロジーは、2035年までに完成するだろうと予想されていた。
だからこそ西井は、『長期的な目標から目を離さないようにすることが重要』と語る。

その姿勢なしには、企業は「夢と収入をむなしく追いかけているだけにすぎない」状態になってしまうと、西井は警告する。

➤  中外製薬の合併はなぜ成功したのか:

長期的な目標達成へのチャンスは、思いがけない形でやってくる。時には思っていたよりも早く訪れることさえあるが、それでも、そのチャンスをつかむことが重要だ。中外製薬のケースがこれに当てはまる。

1925年に創業し、2023年には7000人以上の従業員を擁する大企業に発展した中外製薬は、2023年の時価総額で8960億円をマークし、武田薬品工業と第一三共を抜いて、日本最大の製薬会社となった。中外製薬に抜かれた大手2社は、どちらも歴史ある大企業だ。中外製薬はライバル2社よりもずっと短い期間でトップに立つこととなった。

            
 
永山治

中外製薬の永山治・名誉会長は!〜、
     未来を見据えたビジネススタイルこそ
 中外製薬をトップに押し上げた原動力だと考えている!・・・
日本ではきわめて珍しいケースだが、中外製薬は2002年、絶好調のさなか、スイスの大手製薬会社エフ・ホフマン・ラ・ロシュとの戦略的提携契約に基づき、日本ロシュと合併し、… これにより、ロシュ社は中外製薬の株式の過半数を獲得することとなった。

ロシュは、中外製薬の名を残すこと、中外製薬の株式上場を継続すること、そして中外製薬が独立した企業であることに同意した。
この合併により中外製薬は、売り上げを伸ばし規模を拡大させるだけでなく、自社の意向でプロモーションを進めることができるようになった。

永山は、ロシュと合併したことで、『両社が製薬業界で生き残り、長期的に発展し、強いビジネススタイルを確立できるようになるだろう』と語った。この決断は、ソニーと東芝での取締役会議長時代も含めた永山の長いキャリアのなかでも最も重要なものだったという。

結局、戦略的提携契約と言う名の海外企業に身売りではないか?
現在、好調で業界トップと言うが、この先100年間その座を維持することが確約されている訳ではない!。
ソニーと東芝での取締役会議長時代で辣腕を振るった事で、東芝、ソニーはどうなったか?東芝は消滅!、ソニーは米国のエンタメ業界のお裾分け、ソニーのシンボルだった家電は消えた。これが成功といえるのか?

➤  『歴史を学べば視野は広がる』

          
筒井義信

日本生命保険相互会社CEOの筒井義信は、長期の目標達成には時間がかかるという教訓をうまくまとめている。

【【
日本生命は過去130年間にわたり、人々に安心をお届けしてきました。私たちの未来に向けた目標と戦略もまた、長い時間を必要とするものです例えば、30年もかかる長期債券、これこそ企業が長期と捉える10年分のビジョンを取り入れ、最前線で日々の活動を分析して試行錯誤を繰り返しながら、プランを実行することです。

10年先、30年先の未来を考えるにあたり、未来の情報を調査することも重要ですが、過去の歴史を探ることもまた不可欠です。歴史を学べば、視野が広がります。
 トップに立つリーダーたちは、未来に向けた長期的な戦略を練りたいならば、歴史に基づいた視野を持つことの大切さ、そして、過去・現在・未来の間を行ったり来たりして試行錯誤する大切さを知るべきなのです
】】、・・・

余り、ピンとこない(共感を覚えず)目標ですね!。
人々の不安感!、恐怖心!!〜、
不慮の事故、不慮の災害!、などに根ざした商売ではピント来ないのは当然かもしれません!。
然し、歴史を学べば自ずから視野が広がる!には賛同せざるを得ません!。

参考文献:

【企業が長期的に成功するためには

       「日本流のリーダーシップ」が必要だ】:

https://courrier.jp/news/archives/378735/?utm_source=daily+item+announce&utm_medium=email&utm_content=post-378735&utm_campaign=2024-10-10-14035&courrier_mail_session_id=14035