漁民を利用して権益確保…中国の悪辣な海洋支配戦略とは? 組織化された「民間人」の脅威
NewSphere(2016年4月22日)
中国の漁船はしばしば重大な国際問題の引き金になっている。2010年には尖閣諸島付近で海上保安庁の巡視船に体当たりする事件があった。南シナ海では最近、他国の排他的経済水域(EEZ)内で操業し、深刻なあつれきを生じるケースが続いている。これらの漁船は中国政府からの強い後押しを得て活動している。そこには、漁獲量を増やしたい漁業者側と、自国の権利主張を強化したい政府の思惑の一致がある。また中国では、漁業者などが「海上民兵」として軍組織に組み込まれ、監視や埋め立て活動の支援など海洋権益確保のためのさまざまな活動に従事する歴史がある。
◆中国の海洋進出の先兵として働く中国漁船
中国は「国家海洋権益を断固として守り、海洋強国を建設する」ことを国の方針としている。南シナ海での強硬な振る舞いはこの方針に基づく。ハード面では人工島の埋め立て・建設が目を引くが、人的活動のソフト面では中国漁船による漁業活動がその先鋒(せんぽう)だ。「中国当局は漁師と漁船団を、係争海域での中国のプレゼンスと権利主張の拡大の重要なツールとみなしている」と、シンガポールの南洋理工大学ラジャラトナム国際研究院(RSIS)の張宏洲アソシエイトリサーチフェローがワシントン・ポスト紙(WP)で語っている。
以下 要訳/編集!〜、