台湾新政権の親日路線の足かせに? 馬総統の置き土産、「沖ノ鳥島は岩」発言の狙いとは?
NewSphere(2016年5月16)
台湾は今月20日、現在の国民党・馬英九総統から、民進党・蔡英文新総統への政権交代を迎える。馬総統は任期の終盤に、南シナ海・スプラトリー(南沙)諸島だけでなく、沖ノ鳥島について、台湾の見解をはっきりと主張するようになった。沖ノ鳥島は、国連海洋法条約(UNCLOS)で言うところの「島」ではなく「岩」だとの主張だ。周辺海域での自国の漁業を正当化するというのが第一義だが、日本との間に解決しなければならない課題を設定することで、新政権の政権運営に縛りを与える効果も持ちそうだ。馬総統のこれらの動きは中国を利する可能性がある。
◆南シナ海問題で自国の立場を主張。中国の援護にも?
スプラトリー諸島に関しては、中国やフィリピン、台湾などが権利を主張している。台湾は同諸島中、天然地形としては最大の太平島を実効支配している。台湾はこの太平「島」の周囲に排他的経済水域(EEZ)を将来設定したいと考えている(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。
一方、フィリピンは、南シナ海での中国の権利主張の一部が法的に無効だと確認する狙いで、ハーグの常設仲裁裁判所に国際仲裁手続きを申し立てている。その中で、スプラトリー諸島について、同諸島の地形はいずれも「島」ではないという主張も行っている。これは台湾にとっては受け入れられないものだ。「島」でなければ、周囲にEEZは認められないからである。
そこで、馬総統は1月に自ら太平島を訪問、また3月には海外メディア記者を上陸させるなどして、太平島が「島」の要件を満たすことをアピールしてきた。
以下:要約/編集〜