2022年4月30日土曜日

習近平氏の唐突な『全世界安保構想』が国際社会を不吉な暗雲で包む!・・・ 


習近平体制下支那では外国人への
       監視が極めて厳しい!〜、
武漢ウイルス対策での入国規制も
     世界一ともいえる厳格さである!・・・
そのような事情が相俟って最近、支那ウオッチを重要な任務とする各国の外交官らが東京に集結しつつある。
その支那通の彼らさえ首を傾げる支那国家主席、習近平の壮大(大風呂敷、虚仮威し)な提言があった。
博鰲(ボーアオ)アジアフォーラムの21日のオンライン演説で提唱した『グローバル安全保障イニシアチブ』である。

      博鰲アジアフォーラムでオンライン演説をする習近平国家主席
             (21日、中国・海南省博鰲)


全世界を包み込む安全保障――。まるで、かつて中華世界の全てを仕切った皇帝を思わせる大ぶりな話だけに、各国に駐在する支那通の外交官らは本国から、『一体どういう意味なのか』と解読を迫られている。とはいえ習自身の説明が、抽象的な漢語、成句の羅列にすぎないため、思うように分析できず、面食らうばかりなのだ。

 ウクライナの外交・安保関係者も注目:
東欧関係筋によると、習提言の中身を大いに気にしているのは、ウクライナの外交・安全保障関係者も同じだという。彼らは、習とロシア大統領、プーチンの親密さに厳しい目を向けながらも、ロシアに一定の影響力がある支那の立ち位置を逐一、観察している。停戦交渉を含めた中長期的なウクライナ情勢に影響するからである。

ウクライナのゼレンスキー大統領(中央)をはさんで立つ米国のブリンケン国務長官(右)とオースティン国防長官(24日、キーウ)=ウクライナ大統領府提供・ロイター


 支那共産党政権/習近平が提案した
    『グローバル安全保障イニシアチブ』
◼︎〚一国主義、覇権主義、強権政治の脅威が増し、平和、安全、信頼、ガバナンス(統治)の欠如が目立ついま、人類が直面する安保分野の試練は大きく厄介になった。習主席は全人類の前途、運命を考える視点からグローバル安保イニシアチブを打ち出した。これは支那が提供する新たな国際公共財で、人類運命共同体という理念の安保分野での生きた実践である』、・・・・

支那外務省報道官による事後説明も!〜、
          すんなり頭に入ってこない!・・・
まさに言語明瞭、意味不明。得体(えたい)の知れない中身だからこそ、ウクライナを含む関係者の視線を集める不思議な現象が起きているのだ。

予備知識抜きに習演説を聞くと一見!〜、
ウクライナを蹂躙するプーチンと距離を置くサインにも感じられる!・・・
だがそれは見せかけに過ぎず、… そもそも支那は米欧主導の対ロシア制裁に正面から異を唱えている。支那の外交用語上、一国主義、覇権主義、ダブルスタンダードなどを批判する場合、名指ししなくても米国による『一極支配』構造への非難と考えて間違いない。

      モスクワでの会議に参加したロシアのプーチン大統領(25日)=ロイター

習は、支那が米国に対峙する大国として参画する多極化世界の実現へ、米国の力を徐々にそぐ壮大な長期戦略について、支那的な語彙で説明している。
秋の共産党大会でトップ3選を狙う『箔付け』という内政上の必要性も絡んでおり、外国人の頭にすんなり入ってこないのは当然!となる。
理解するのは支那人的な思考回路を有しなければ到底に無理な事となる。

✺ どの国も反対できない大枠を提示:
◼︎〚支那は常とう手段として、まず、どの国も反対できない大きすぎる枠組みを
  ドーンと提示する。万一賛同しなくても、少なくとも反対だけはできないよう
  関係各国に圧力をかけた後、得意の囲碁の攻め方で米国という大きな敵を
          追い詰める戦略だ〛、・・・
支那人特有の深謀遠慮!であり、これが支那の外交の特質と言える。

支那近隣国の外交・安全保障関係者の解釈は傾聴に値する。

習は中学生の頃からの囲碁の愛好者!〜
国家主席に就いて間もなく、北京大学で囲碁の試合を観戦した際、ある学生の強烈な攻め手に感心し、『支那外交もこの学生を見習うよう希望する』と語った!・・・

耳にした支那外務省幹部らは肝を冷やした。支那外交の攻めの甘さを批判されたも同然なのだから。後に目立つようになった支那の『戦狼外交』にみえる強硬さは、習近平の意に沿っての事と言える。

習近平の提唱に反対できない大きな枠組みは!〜、
         全世界を包み込む安保である!・・・
過去に習が誰も反対できない言葉として提唱済みの『人類運命共同体』の延長線上にある。支那外務省は『習近平外交思想』を持ち上げる政治的な決まり文句でもある人類運命共同体を、すでに支那のイニシアチブとして国連の関連文書などに相当数、押し込んでいる。
それらも支那の深謀遠慮外交の賜物!と言えるだろう。

囲碁の例えで習に尻をたたかれた支那の外交官らは!〜、
生き残るために必死なのだ。特異な支那の内政は、
        国際政治にまで影響を及ぼしている!・・・
だが、誰も反対できない言葉だけに、些細な事些事として見過ごされてきただけであり、… 得体の知れない習イニシアチブの本当の中身を推測できる大きなヒントとなる出来事が最近あった。
習演説の直前、支那が南太平洋のソロモン諸島と結んだ安全保障協定であるが、こちらも具体的な中身は公表されていない。

だが支那軍の派遣や艦船寄港を認める内容を含むとみられ!〜、
南太平洋への軍事進出につながる恐れがあるとして米国が強く反発している!・・・
ソロモン諸島のガダルカナル島は第2次大戦中、日米両軍が激突し、攻守の転換点になった歴史的な場所だ。

旧日本軍を支那軍に置き換えて考えれば!〜、
太平洋の戦略上の要衝を巡って米支両軍が将来、
      激突する危険性がゼロとは言い切れない!・・・
演説で高らかに平和をうたった習だが、衣の下から鎧(よろい)がのぞいている。

        22日、ソロモン諸島の首都ホニアラに到着した米国の
    キャンベル・インド太平洋調整官=オーストラリア放送協会提供・AP


同じ目線で習演説をつぶさに観察すると!〜、
 ソロモン諸島との安保協定に関連する別の側面が浮き彫りになる!・・・
太平洋を巡る経済権益に触手を伸ばし、米国に対抗する強い意志である。
ひとつは、習が触れた『デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)』。
さほど注目されていないが、支那は2021年11月、DEPAに加盟申請している。

シンガポール、ニュージーランド、チリが20年に合意した協定で、支那としては人工知能など先端分野の基準づくりへの参加によって域内貿易で存在感を高めたい。DEPAの3カ国はブルネイと共に環太平洋経済連携協定(TPP)の原型をつくった。
支那は21年9月、TPP加盟を正式申請している。習はボーアオ演説でTPP加盟への意欲も語った。

 DEPA、シンガポール、ニュージーランド、チリ3カ国、吹けば飛ぶような国々である。それに支那が加盟する目的は一目瞭然であり、… DEPAを支配して将棋の駒のように動かして米国への嫌がらせ、牽制球をいつでも投げられるようにする算段なのであろう。 特にニュージーランドは近来支那への傾斜が目立つ様になり、南太平洋諸島をいくつかを支配下においており、… 今後支那が南太平ソロモン群島の様に協定を結ぶ事が目にみえている。

今回、支那が提起したグローバル安保イニシアチブとTPP、DEPAへの加盟意欲はすべてつながっており、一体なのだ。しかも、都合のよいことにTPP、DEPAの両枠組みとも米国の存在感は薄い。加盟を果たせば、巨大な市場を持ち、国際政治・経済上の発言力も強い支那の独壇場になる可能性は非常に高い。

支那がユーラシア大陸の西に向かって進めてきた広域経済圏構想『一帯一路』は、ウクライナでの戦争も障害となって滞る可能性がある事は否めない。
支那の東側にある広大な太平洋に進出できれば、『一帯一路』での苦境をカバーできるというソロバン勘定は支那的には理に叶う。

✺ 激安スーパーのような支那の大宣伝:
◼︎〚(一帯一路など)過去の中国の対外戦略から類推すると、それはテレビ、
  インターネットで激しく宣伝する激安通販に似ている。
  宣伝文句を聞くと、今すぐ買わなきゃ損をすると思って申し込んだり、
    受け入れたりしてしまうが、後からかなり高く付く〛、・・・

支那を長く観察してきた東アジア有力国の外交官は!〜、
経済的な要素も併せ持つ不気味な習提案(世界制覇)に警戒感を隠さない!・・・

支那メディアは連日!〜、
『世界が習主席のイニシアチブを評価し、歓迎している』と
          大々的に報じている!・・・
然し、その実支那国内の受け止め方にさえ温度差がみられる。
ロシアによるウクライナ侵攻の予想外の長期化で、『親ロシア色』を強く打ち出してきた支那がジレンマに陥っている以上、手放しでは喜べないだろう。

支那がウクライナ侵攻の予想以上の長期化でジレンマ?!、冗談はよして欲しい。
長期化で最も『漁夫の利』を得るのは支那であるのは明白と言える。
米欧、白人国家軍が互いにウクライナ支援で巨額な軍事資金、武器供与で多大な出費を余儀なくされている。ロシアも疲弊するが、欧米、勿論日本も疲弊する。
支那は悠然と構え、欧米がウクライナに注力している間、着々と軍事力を増幅させ、それを武器に東アジア、南アジア、南太平洋に影響力増大できる。
ジレンマなどは感じてはいないでしょう。
疲弊するかしないか?株式市場を俯瞰すれば、答えは自ずから得られる。
NY市場は金曜日の大暴落で、本格的なBearマーケットに突入。
株価は将来の経済動向を映す鏡である。その鏡が米国経済は疲弊する!と示唆している。

      25日、上海株式市場は5%超という歴史的暴落になった=ロイター

『グローバル安保』という表面上、希望に満ちた提言だが!〜、
裏にはとてつもなく不安な(習の)心理状態が隠されている!・・・
いま支那は、簡単には動けない。当面は様子を見るしかない。
支那の外交・安保関係者は冷静に分析する。習の不安は国際情勢だけではない。
新型コロナの再拡大で上海の都市封鎖も予想以上に長引き、経済に多大な影響が出始めた。25日、上海株式市場は、総合指数が5%超下がる歴史的な大暴落となった。外交、内政ともにトップの心配の種は尽きない。

支那簡単に動けない!、ではなくて動く必要がない。
上海株式市場の暴落は世界株式市場の潮流である。
支那の株式市場だけを語るのは愚の骨頂である。

それだけウクライナ危機が!〜、
世界経済に大きな暗雲を投げている証である!・・・

人民統制が容易くできる、支那国体の方が遥かに有利である。
加えて支那は米歴代民主党政権、閣僚、たの政治家の弱みを握っており、米国の政治家共は暴露されるのを恐れて戦々恐々としている。
こんな米国に何が期待できようか?!・・・