孵化後海に向かうアオウミガメの赤ちゃん(インドネシア・スカマデ) Agence France-Presse/Getty Images
【マニラ】どうしてウミガメが南シナ海の領有権問題の火種になったのか。絶滅危惧種は、戦うに値するからと主張する人々も少なくないだろう。
世界の7種のウミガメのうち5種が生息するフィリピンでは、ウミガメの密猟は犯罪行為だ。密猟者には、カメの種類によって最長10年の禁錮刑と最大2万2500ドルの罰金が科される場合がある。それでも、密猟者たちは肉と甲羅を求めてカメを探す。カメの肉は一部の国で精力を増強させると信じられているほか、甲羅は宝飾品に使われている。
フィリピン当局は7日、南シナ海の係争地域である南沙(英語名スプラトリー)諸島付近で密猟者がいるとの報告を受け、中国漁船の乗組員を逮捕した。警察によると、中国漁船には500匹前後のウミガメがおり、一部は既に死んでいた。これに中国当局は反発、乗組員の釈放をフィリピン当局に求めた。
近年、カメのほか、二枚貝やアリクイなどの絶滅危惧種を密猟したとして中国の漁師がフィリピン当局に拘束されるケースがほかにもある。
フィリピン環境天然資源省生物多様性管理局の幹部は、「たとえこれらのウミガメがフィリピンで捕獲されていなくても、(容疑者は)フィリピンで訴追される可能性がある。ウミガメは世界的に保護されている動物だからだ」と述べた。
フィリピンは密猟の温床となっている。同幹部によれば、同国に生息する5種全てのウミガメが絶滅の危機に瀕していると考えられているが、タイマイとオサガメは特に厳しい状況に置かれている。タイマイとオサガメの甲羅は宝飾品などに使われるため、高く評価されているからだ。
比海軍が中国漁船から押収したアオウミガメ(2011年12月) Palawan Council for Sustainable Development/Associated Press
そのほか、フィリピンではヒメウミガメ、アオウミガメ、それにアカウミガメの生息が確認されている。同国で生息が確認されていないウミガメは、ケンプヒメウミガメとヒラタウミガメの2種。オサガメとタイマイは絶滅の危険度が最も大きいとみられている。
ウミガメが成熟するまでには何十年もかかる。雌は成熟して初めて産卵し、産卵した海岸に戻ってくる。人間を含む自然界の天敵のほか、生息地の減少やその他の環境的な脅威が理由で、ふ化したカメのうち成熟するのは1000匹にせいぜい1匹程度しかない。1匹の雌は1回に最大150個の卵を産めるほか、1シーズンに数回産卵できる。
世界自然保護基金(WWF)によると、カリフォルニア州だけで約3万匹のアオウミガメが密猟されている。このほか東南アジアと南太平洋で5万匹以上のウミガメが殺されている。1960年代には、メキシコで100万匹以上のヒメウミガメが殺された。
WWFによると、幼いウミガメは多くの国ではく製にされて観光客に売られている。またウミガメの卵は中国などの一部の国で精力増強効果があると考えられており、バーやレストランで生食されたり、スナックとして売られたりしているという。
中国やその他の東アジアの国の料理には、スッポンの肉、皮、内臓を使ったスープがある。カメはまた、漢方薬にも使われている。
日本はウミガメの甲羅の主な輸入国だ。同国ではカメの甲羅が「べっ甲」と呼ばれている。
ウォールストリート・ジャーナル日本語版(2014 年 5 月 7 日)
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304155604579548623538045470?tesla=y
筆者考:
【フィリピン当局は7日、南シナ海の係争地域である南沙(英語名スプラトリー)諸島付近で密猟者がいるとの報告を受け、中国漁船の乗組員を逮捕した。警察によると、中国漁船には500匹前後のウミガメがおり、一部は既に死んでいた。これに中国当局は反発、乗組員の釈放をフィリピン当局に求めた】:
✦ 世界の7種のウミガメのうち5種が生息するフィリピンでは、ウミガメの密猟は犯罪行為だ。密猟者には、カメの種類によって最長10年の禁錮刑と最大2万2500ドルの罰金が科される場合がある!・・・
✦ 近年、カメのほか、二枚貝やアリクイなどの絶滅危惧種を密猟したとして中国の漁師がフィリピン当局に拘束されるケースがほかにもある!・・・
✦ フィリピン環境天然資源省生物多様性管理局の幹部は、「たとえこれらのウミガメがフィリピンで捕獲されていなくても、(容疑者は)フィリピンで訴追される可能性がある。ウミガメは世界的に保護されている動物だからだ」と述べた!・・・
“一寸の虫にも五分の魂!”を身を以って、世界軍事力はロシアを凌駕して米国に迫りつつある大国の支那に対して示すフィリッピン政府!。 なんとも羨ましい限りの「胆力・気骨」であり、・・・南シナ海権益拡大に狂奔する支那を恐れずに、立ち向かう姿には感動さえ、筆者は覚えます。
勿論、フィリッピン政府の毅然とした対応は・・・
【米軍、再びフィリピン駐留 首脳会談で協定署名 中国抑止の狙い】:
産経ニュース(2014.4.28)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140428/asi14042822190007-n1.htm
アジア4カ国を歴訪中のオバマ米大統領は28日、最後の訪問国となるフィリピンに到着、アキノ大統領と会談した。両国は会談に先立ってフィリピンでの米軍派遣拡大を可能にする新軍事協定に署名した。会談では、南シナ海への進出を強める中国を念頭に、安全保障でのさらなる協力を確認した。新協定で米軍は、フィリピン軍の基地内に独自の施設を建設できるようになる。
この協定署名が背景にある事は容易に考察できるが、だからと言ってフィリッピン政府の対応の評価を損なうものではない。