https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE042B30U3A900C2000000/?n_cid=BMSR2P001_202309041503
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を巡り、設計変更を承認しなかった県に対する国の是正指示の違法性が争われた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は4日、国の指示は「適法」とする判決を言い渡した。県側の敗訴が確定した。
埋め立て予定地で見つかった軟弱地盤の改良工事を進めるには知事の承認が必要となる。この日の判決で辺野古移設を巡る法廷闘争は事実上終結し、承認の法的義務を負った県側の対応が焦点となる。
県がなお承認しなかった場合、国は県に代わって承認する「代執行」の訴訟を起こせる。裁判所が「著しく公益を害することが明らか」と認めれば、国の承認で工事を再開できるようになる。
同小法廷は判決理由で、知事による不承認を国が取り消す裁決をした場合、知事が同一の理由で再び承認しないのは地方自治法に違反すると判断した。裁判官5人の全員一致の意見。
判決を受け、国土交通省は「最高裁判決に沿って県において適法に処理されると考える」とのコメントを出した。沖縄県の玉城デニー知事は「極めて残念。判決内容を踏まえ、今後の対応について検討する」と述べた。
辺野古の埋め立て工事を巡っては、予定海域に軟弱地盤が見つかり、防衛省沖縄防衛局が2020年4月に県に設計変更を申請。県は調査不足などを理由に承認しなかった。同局からの審査請求を受け、国は県の不承認を取り消す裁決をし、承認を求める是正指示も出した。
県は22年8月、裁決と是正指示の取り消しを求めて福岡高裁那覇支部に提訴。同支部は23年3月、いずれも県側敗訴とした。最高裁は8月、不承認を取り消した国の「裁決」については既に県側の上告を退けていた。