■【戻る観光客、広がる宿泊税の導入議論
産経新聞(2023/11/8 10:00配信)
ホテルや旅館の宿泊客に課税する「宿泊税」の導入を目指す自治体が増えている。新型コロナウイルスの5類移行後、訪日外国人客(インバウンド)ら観光客の回復傾向を契機に、下火になっていた導入議論を再開するケースが目立つ。オーバーツーリズム(観光公害)対策を含め観光地の基盤整備に充てる新たな財源の確保が狙いだが、乗り越えるべき課題も少なくない。
最も議論が活発なのは北海道と札幌市など道内7市。ただ、早ければ令和8年度の導入を目指す道が示した税額案に異論が噴出し、足並みがそろわない。
道内の足並み乱れ:
道の税額案は宿泊料金(1人1泊)に応じて税額が異なる「段階的定額制」。1万円未満の場合は100円、1万円以上5万円未満は200円、5万円以上は500円-という内容だ。年60億円規模の税収を見込み、観光地振興に用途を限定する方針だ。
これに対し、道内7市は難色を示す。うち小樽市と富良野市は独自の宿泊税として宿泊料金に関係なく1人1泊200円の「一律定額制」を打ち出す。富良野市の担当者は「一律定額制の200円に、道の宿泊税が加わると、1泊当たり最大700円が宿泊料金に上乗せされる」として二重課税による客離れとともに、徴収する宿泊施設の業務負担増を懸念する。
ただ、足並みの乱れで導入が遅れるのを心配する札幌市は道の「段階的定額制」に同調する姿勢をみせており、道内7市の間に温度差がある。
「安定的な観光財源の確保に向けて引き続き検討する」。宮城県の村井嘉浩知事は9月、新型コロナ禍で一時見送っていた宿泊税導入議論を再開する方針を表明した。県とともに議論を休止していた仙台市の郡和子市長も同月、独自財源の確保策として検討再開の考えを示した。今秋に方向性を固めた上で令和7年度の導入を目指す。
「竿燈(かんとう)まつり」で有名な秋田市、さらに「弘前さくらまつり」や「弘前ねぷたまつり」で知られる青森県弘前市も9月、宿泊税導入の検討に着手。先行する導入自治体の税額などを参考に、観光関連団体や宿泊業者らでつくる協議体を設ける方針だ。千葉県は10月下旬、新型コロナ禍後の観光需要の増加を踏まえ、宿泊税導入議論も含めた研究会を新設した。
競争力低下の懸念:
市によると、地元の宿泊業者側からは「導入に反対する声は少ない」(担当者)という。だが、宿泊客にとって既存の消費税、入湯税に宿泊税が導入されれば「三重課税」になりかねず、他の観光地との競争力低下を懸念する。
市は「魅力ある熱海」の維持には宿泊税導入が必要と訴えるが、宿泊業者の理解がどこまで得られるのか見通せず、導入時期を明確に示すことができない。
これは地方分権が保証されている連邦共和国の制度で、立憲君主制のものではりません。
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