2024年2月3日土曜日

『かつての住民』を演じるカカシたち ‼ … 徳島県三好市にある過疎の集落・名頃(なごろ)!・・・

住民約20人だけどカカシは約350体…
米紙記者が徳島県・名頃を取材
『人間より人形が多い』日本の限界集落の幸せのかたち

徳島県の名頃地区で開かれた運動会に参加する地元住民と人形たち
Photo: Nadia Shira Cohen / The New York Times

徳島県三好市にある過疎の集落・名頃(なごろ)は、
カカシの数が住民数をはるかに超えることで一躍名を知られるようになった。
米紙『ニューヨーク・タイムズ』の記者が現地を訪問し、集落存続の希望を人形に託した住民たちの声を取材した。

徳島県の山間の集落・名頃(なごろ)で、最後の子供が生まれたのは18年前のことだ。
現在、わずか20人強の住民がこの辺境の地で暮らしている。村の小学校は、最後の生徒が6年生を修了した2012年に閉鎖された

   閉校になった学校に置かれた人形たちを見学する観光客

だが、ある晴れた秋の日曜日、綾野月見(70)はその学校を生き返らせた。人形の力を使って。


『かつての住民』を演じるカカシたち:

綾野は日本の重要な年中行事である「運動会」を再現するため、閉鎖された学校の敷地に40体を超える手作りの人形を配置した。
 実物大の子供の人形が、徒競走をしたり、ブランコに座ったり、
ボールを投げたりしている。

この集落で子供を見ることはありませんと綾野は言う。
彼女は名頃で生まれ、過去7年間にわたり毎年開催されている
『人形祭』の演出をしてきた。

       人形の仕上げをする綾野月見(70)

名頃にもっと子供がいたらなあと思ったんです。生活がもっと
 明るくなるなあって。だから、子供の人形を作ったんです〛、…

日本では少子高齢化が急速に進んでいる。雇用機会の減少と不便な生活様式のせいで出生率が低下の一途をたどる農村ほど、それを実感する場所はない。かつては名頃にも診療所やパチンコや食堂があった。だが、いまは一軒の店もない。

ここには若者のためのチャンスがありません。
       仕事がありませんから〛、…と綾野は言う。

綾野と彼女の友人らが製作した約350体の人形は、いまでは人間の住民の数を上回り、その比率は10:1を超えている。

彼女は名頃の集落全体に、人形を飾っている。
人形は木材とワイヤフレームで作られており、なかには新聞紙が詰められている。人形たちは日本中から寄付された古着を着て、かつてこの村に住んでいた住民を想起させるような生活シーンを演じている。

     綾野(左)は人形を集落の至る所に配置している

ある年老いた女性の人形は道端にある墓の手入れをし、
     別の女性の人形は車椅子に座って休んでいる。

休憩中にタバコを吸っている建設作業員や、バス停に並ぶ人形もある。父親の人形は子供の人形を一杯に乗せた荷車を引いている。いたずらっ子の人形は、木をゆすって栗を落としている。

学校では、人形が階段の吹き抜けでウロウロしたり、『永遠の講義』をしている教師の話を聞いたりしている。綾野は、多くの人形にいたずらっぽい振る舞いをさせて、遊び心のある感じに仕上げている。

     コスモス畑に腰かける老女。これも人形だ

人形に支配された集落の印象は、当初予想していたような、
        不気味なものではなかった。

取材中に出会ったフランス人ファニー・レイノー(38)も、
      『気味が悪いとは思いません』と話す。

看護師のレイノーは夫とバイクで日本中を旅しているところだった。彼らは名頃の人形について書かれた旅ブログを読んで、
       名頃に立ち寄ったのだという。

村を再び生き返らせるには、素晴らしい方法だと思います〛、…
 とレイノー。

だが、学校の教室の黒板には辛辣なメッセージを残している訪問者もいた。

生きている人間はどこにいますか?〛、…

     名頃の集落のすぐそばを流れる祖谷川

8億円の校舎に生徒は38人:

杉に覆われた秘境・祖谷(いや)渓に位置する名頃は、決して広くはない。綾野の子供時代でさえ、人口はわずか約300人だった。

1950~60年代、この地域は林業や道路建設、水力発電用のダム建設で栄えていた。だが、ダムが建設されると多くの住民がこの村を去った。スーパーマーケットや病院に行くには、狭く曲がりくねった道を1時間半かけて運転しなければならない。

ここで暮らすには、山での生活が本当に好きでないと〛、…
 名頃で最も若い住民マツウラ・タツヤ(38)は言う。

    コミュニティセンターに飾られた人形たち‼…
     人形目当てに訪れる観光客もいる。

マツウラは、名頃から約10kmの距離にある
    剣山の登山者向け宿泊施設の3代目だ。
 だが、3年前に彼は経営していた宿泊施設と雑貨店を閉めた。

東京大学の教授で元岩手県知事の増田寛也は、
      日本の過疎化の現状を次のように説明する。

もし私たちが過去10~20年間歩んできたのと同じ道を行くので
 あれば、農村は減り続け、人々は都市に流入し続けるでしょう。
 そうなったら、多くの地方共同体がいずれは消滅します』、…

名頃の住民の40%以上が65歳以上だ。育児補助金、医療費の割引、
住宅支援があるにもかかわらず、この地域はUターン・Iターンを増やすことができなかった。

地元の地方自治体は複数の学校を統合し、新しい校舎の建設に800万ドル(約8億8000万円)以上の資金を投じた。
     だが、学校に在籍する生徒数はたった38人だ。

ほとんどの生徒はもっと大きな町の高校に通う。
そして、進学や仕事のために完全にこの地域を離れるのだ。
東祖谷小・中学校の校長ムカイ・ヒロミは、
      この状況について次のようにコメントした。

生徒たちには、自分の望む人生を選択してほしいと思っています。
      それは避けられないことですから〛、…

『人形がいれば孤独じゃない』:

4人の兄弟姉妹のなかで最年長の綾野は、父親が大阪の食品会社で職を得た12歳のときに名頃から引っ越した。
  彼女はそこで夫に出会って結婚し、2人の子供を育てた。

彼女の父は退職後、病弱な義理の父の介護と腎不全を患う妻の看護をするため、名頃に戻ってきた。
 そして16年前、綾野は名頃で最年長の住民である父親(90)の
      世話をするために故郷に帰ってきた。

         綾野の父。名頃で最年長だ

彼女は自宅前の畑に大根とえんどう豆の種を植えた。
   鳥がその種を掘り起こしたので、
      彼女は父の姿に似せた『カカシ』を作った。

そのカカシは、本物の人間のように見えました。
    だから、鳥避けにすごく効果があったんです〛、…

彼女は、畑の草むしりをする女性の人形を3~4体追加した。
するとあるとき、通りがかりの旅行者が
     人形に道を尋ねているのを目撃。
それを愉快に思った綾野は、それから終日、人形を作りはじめた。

彼女はときおり、村の古い保育園につくった自分のスタジオや他の集落で人形作りを教えている。ある日の午後、綾野は高知県の土佐市から来た女性グループに、人形の眉毛にする布の角度を変えることで、怒った表情や優しい表情を作る方法を教えていた。
縫い目を追加して、頬骨やシワを表現する場合もあるという。

他県から注文を受けることもある。
妻をガンで亡くしたある医者は、綾野に妻の人形を2体作ってほしいと頼んだ。1体は居間に置き、もう1体を寝室に置くのだという。

綾野も、自分の車の助手席に祖母に似せた人形を置いている。
食料雑貨店に行く1時間半のドライブ中に彼女はこう言った。

私は決して孤独ではありません〛、…

人形と一緒に綱引き:

古い学校で運動会を開催する前日、綾野は大学のボランティアグループ、数人の住民、九州から来た彼女の妹と義理の弟に手伝ってもらって、運動会のさまざまな場面を制作した。

暗くなるまで綾野は人形の腕や髪、衣服を正しい位置に慎重に縫い付けていた。さらに夜通しの雨の後、彼女は夜明け前から作業を再開した。

運動会の開始時刻までに日が昇った。住民らは焼きそばやフライドポテト、たこ焼きを出す屋台を設置した。祖父母を訪ねたり、見物しに来たりした近隣の街の子供たちの姿も見えた。

    運動会で綾野たちの作った人形と手を取り合う子供

地元の建設会社のオーナーであるツヅキ・オサム(73)が開会の辞を述べる。

住民、そして300体以上の人形を代表して、
     私たち全員が参加者のみなさんを歓迎します〛、…

綱引きには住民と、綾野がロープに縫い付けた人形たちが参加した。
     人間の子供はあまりいなかったが、
     80歳代の競技参加者らは一生懸命に綱を引いた。

徒競走の後、山のふもとの介護施設で暮らすヤマモト・ヒロユキ(82)は、走るコースのひとつに置いてある人形の頬を撫でた。

とてもかわいいですね。
   私はこの子に話しかけたいと思っていたんです〛、…

だが、名頃が住人よりも人形で知られるようになったことを悲しいと言う人もいる。綾野が作った人形のひとつに似た孫がいると話してくれたある女性(67)は、運動会を見物しながら私にこう言った。

もし人形が本物の人間だったら、
      名頃は本当に幸せな場所なのにね〛、…

© 2020 New York Times News Service

引用元:

https://courrier.jp/news/archives/187822/?utm_source=mail&utm_medium=step3&utm_campaign=nagoro



これが、未来の日本の数多の過疎地の姿のか?
日本の政治の荒廃が齎したのか?
戦後のGHQの洗脳工作、WGIPが日本の家族制を破壊!、… 米国の社会的な風習が美化され、
       日本に押し着せた結果なのか?

何れにしても深刻な問題であり、下手すれば、将来の日本の過疎地が外国人に二束三文で売りに出され、日本人は案山子になって仕舞うのか?・・・

悲観的な観念に取り憑かれて仕舞いました‼・・・