2022年3月29日火曜日

海洋温度差発電がいよいよ実用化される!

商船三井が海洋温度差発電 25年稼働、洋上風力より安く 

      まず4月から沖縄県で設備運営を始める(沖縄県産業政策課提供)

大きく変わる点を利用して発電するもので、再生可能エネルギーの一つだ。2025年ごろに出力1000キロワット規模の発電所の稼働を目指す。既存設備を活用することで発電コストを洋上風力より安くする。多くの場所に展開できればエネルギー源の多様化につながる

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は同方式による潜在的な発電能力が年470億キロワット時に上ると試算する。国内発電量の約5%に当たる。大規模な実用化は国内で初めて。米ハワイ州やマレーシアなどでも研究が進んできた。

商船三井は4月、沖縄県が持つ設備の運営を始める。温かい海水で代替フロンを蒸発させタービンを回す。蒸気を冷たい海水で冷やして再利用する仕組みだ。運営を踏まえ1000キロワット規模の発電所を造る。建設費用は数十億円規模となる見込みだ



海洋温度差発電はコストが課題だった。今回は養殖業向けなどの取水管を活用することで発電コストを1キロワット時あたり20円程度に抑える計画だ。経済産業省の試算によると30年時点の洋上風力や石油火力よりも安い水準となる。悪天候でも発電量が変動しない点を生かし、安定電源として利用する。

一段のコスト低減を目指すには発電設備の大型化や発電機の量産などが必要になる。海洋温度差発電を含め海洋エネルギーを使った発電は固定価格買い取り制度(FIT)の対象になっておらず、企業が参入しやすい環境整備も求められる。

沖縄では県が久米島に小規模設備を設置し、13年から実証試験した経緯がある。

商船三井は将来はインドネシアなどでも海洋温度差発電所の建設を目指す。海面に浮くタイプの発電機の技術開発のほか、波を使って発電する技術の国内展開も検討している。海運事業での知見を生かし海洋エネルギー発電を普及させたい考えだ。

海洋エネルギーを使った発電はイギリスや米国などでも開発が進む。再生エネの中でも海洋エネルギーは太陽光や風力に比べて活用が遅れており、普及すれば新たなエネルギー資源になる


                                                      


海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion) :
最新の技術であるかのように思えるが!〜、
   OTEC技術は新しいものではない!・・・
19世紀後半から始まり間歇的に進歩してきたものである。

► 開発の軌道:

◼︎ 18881年、フランス人の物理学者ジャック=アルセーヌ・ダルソンバールが
     海洋の温度エネルギーの開発を提案した。

◼︎ ダルソンバールの教え子のジョルジュ・クロードが最初のOTECプラントを
  建設した。クロードは1930年にキューバにプラントを建てた。
     このシステムは低圧のタービンで22KWの電力を作り出した。

◼︎ 1935年、クロードは ブラジルの沖に停泊させた10,000トンの輸送船を使った
  別のプラントを建てた。両方ブラジルのプラントは正味電力を生成できるよう
  になる前に、天候と波によって破壊されてしまった。
  (正味電力とは生成した電力からシステムを動作させるのに
       必要な電力を引いたものである)。

◼︎ 1956年、ふらんすの科学者たちは、コートジボワールのアビジャンに設置する
  ために別の3MWのOTECプラントを設計した。しかし、そのプラントは
   非常に高価なために完成することはなかった。

◼︎ 米国政府は、1974年ハワイのコナコーストにあるケアホール・ポインツ
  ハワイ州立自然エネルギー研究所(NELHA) でOTECの研究に着手した。
  この研究所は世界のOTEC技術を先導する実験施設となった。

インドでは
タミル・ナドウの近くで1MWの浮体式OTECプラントを試験的に稼働した。インド政府はは浮体式OTECの開発など様々な研究に対して出資を続けている。

日本政府もまたOTEC技術の開発研究への資金提供を継続している。

► 日本の取り組み:

佐賀大学の上原春男教授のグループが1994年にアンモニアと水の混合媒体を冷媒に用いた『ウエハラサイクル』を発明した。
従来の《ランキンサイクル(媒体に純アンモニアを用いる)》と比較して50 - 70%サイクル熱効率が向上し、実用レベルの効率を持つ海洋温度差発電プラントを実現できるようになった。

 日本の領土で唯一北回帰線より南にある沖ノ鳥島は、島のすぐ近くで急激に深くなる海底地形も含め、海洋温度差発電の適地であるとして、島が属する東京都の知事である石原慎太郎(当時)は、島に実験的に発電プラントを建設する計画があることを明らかにしている。沖ノ鳥島は経済活動を行えない岩礁であるという支那の主張に対抗するため、佐賀県選出の元参議院議員陣内孝雄ら自民党の議員も推進していたが未だ実現には至っていない。


2013年6月16日、沖縄県久米島で佐賀大学海洋エネルギー研究センターの研究チームが開発し、沖縄県が主体となり建設した『海洋温度差発電実証プラント』(出力50kw)が試験運転を開始した。

2015年3月、久米島で3年間の実証事業が終了するにあたって、さらに2年間の追加プロジェクトで技術開発を継続することが決定。

2015年4月、久米島での2年間の次フェーズプロジェクト開始。
発電効率を向上させるための技術開発に加えて、発電後の深層水を利用したコスト削減の手段の開発にも取り組む。


2016年10月、佐賀大、神戸製鋼所、沖縄県、久米島町などは出力を100キロワットにあげ、発電効率を1割以上高め、海洋深層水の二次利用も開始する実証第2段階に移ると発表した。

参考文献:

                                                     


商船三井は4月、沖縄県が持つ設備の運営を始める。
運営を踏まえ1000キロワット規模の発電所を造る。
建設費用は数十億円規模となる見込みだ。

1000キロワット(1メガワット)は!〜、
 概算で300世帯電力消費量を賄える!・・・

300世帯で、建設費用数十億円を何年掛かって取り戻し利益がでるか?
効率良い投資となれば、後続の企画開発が目白押しとなる。

然し、投資還元率だけではなくて、維持費、悪天候(台風)などで施設の損傷などを考慮しなければならない。
種々の課題が残るが、商船三井が成功すれば世界は瞠目するでしょう。
期待しましょう!。