2023年9月16日土曜日

フランスで日本語ブーム フランス語になった日本語!・・・

漫画をはじめとした日本のニュー・カルチャーが!〜、フランスに進出すると同時に、ここ10~20年で日本旅行に出かけるフランス人の数はぐっと増えた!・・・

それに伴い、以前は耳にもしなかった日本語が、フランス語の会話に混ざるようになってきた。
そのなかにはなるほどと頷けるものもあれば、思いもよらないものもある。


➤ あるサイトが選んだ28語とは?:

フランス語の正しいつづり情報を提供するサイト『プロジェ・ヴォルテール』が、フランス語に入った日本語28語を紹介する記事を掲載した

そこに選ばれた語は、おそらく40年ほど前から知られていたkamikaze(神風)、judo(柔道)、karaté(空手)、kimono(着物)、hara-kiri(腹切り)、samouraï(侍)、sumo(相撲)、geisha(芸者)、saké(酒)から、もう少し後に入ってきたwasabi(わさび)、tsunami(津波)、tempura(天ぷら)、futon(布団)、sakura(桜)、yakitori(焼き鳥)、manga(漫画)、ramen(ラーメン)、otaku(おたく)、bonsaï(盆栽)。さらに時を下り今世紀に入ってから耳にするようになったsudoku(数独)、émoji(絵文字)、Nippon(日本)、kawaï(可愛い)、konbini(コンビニ)、bento(弁当)、tofu(豆腐)、kakémono(掛物)、origami(折り紙)だ。
どうだろうか。いずれも予想通りだったろうか? なかには少々説明を要するものもあるので解説致しましょう。

➤ 本来の意味に近づいたもの、
          いまだにずれているもの:

saké(酒)は、かなり以前から使われてはいたが!〜、
その頃は支那の蒸留酒である白酒(バイジウ)を指していた!・・・
 清酒の認知度が上がり、醸造酒である日本酒を指して使われるようになったのはごく最近のことだ。

このsakéは、時を経て本来の意味に近づいた例だが、なかにはいまだに少し使い方がずれているものもある。

kamikaze(神風)がその代表で!〜、
     特攻隊の意味しか流布しておらず、
未だに自爆テロリストの意味でしか用いられていない!・・・

また、これも昔から知られる語であるkimono(着物)は!〜、
       和装のことも意味するが、
むしろナイトガウンを指して用いられてきた!・・・
しかも、柔道や空手の道着もkimonoと呼ばれている。

然し、現今の北米では柔道や空手を習得しようとしている人々は、
Kimonoとは読んではいず、道着と呼んでいます。

➤ 意外な人気の単語や派生した意味:

『日本』のことはフランス語ではJapon(ジャポン)と言うが、最近市民権を得ているのがNippon(ニッポン)で、新聞などのメディアでも普通に使われる。
これだけ知名度が上がってきたのだから、公式にフランス語名も、英語名もNipponにすれば良いのではと思うのは筆者だけだろうか。

最近聞くようになったもののなかでは!〜、
    bento(弁当)の人気に驚いている!・・・
弁当箱も非常に人気で、弁当箱専門の店が誕生したほどだ。
また、bentoを店名に使ったレストランまで登場している。

折り紙は、origamiという単語より先にpliage(紙を折ること)としてフランスで広まった。それがいつの間にかorigamiも使われるようになり、折り紙で作っていなくてもそう見えるものもorigamiと呼ばれることがある。たとえば、エルメスが売り出したキーホルダーは、絹製だが折り紙の馬の形をしているため、origamiという商品名がつけられている。

➤ ビジネスで使われる言葉:

上のリスト中にあるkakémono(掛物)は、掛軸の意味を含まないわけではないが、フランスでは企業内や販売店で主に使われる言葉だ。それが指すのは、お店の壁やスタンドにかけられる縦長のポスターのことだ。

 上述のリストにある言葉以外にも、経営やマネジメント分野に入り込んだ日本語は多い。その一番手はkaizen(改善)だ。改善のための5つのS―seiri(整理)、seiton(整頓)、seiso(清掃)、seiketsu(清潔)、shitsuke(躾)―、気をつけるべき3つのM―muda(無駄)、mura(むら)、muri(無理)―も合わせて使われる。主にトヨタ自動車の経営管理法として説かれており、かなり広く普及している印象だ。

 同様に、kanban(かんばん)も企業内で広く流布している言葉だ。ボードにカードを貼るなどして、仕事の処理や流れを可視化する方法を「かんばん方式」と呼び、やはりトヨタのやり方として広まったものだ。従って、いわゆる「看板」とは少し意味が異なる。

 正直、「おはよう」も知らないフランス人から「カイゼンが必要だよね」と最初に言われた時は、二度聞きしてしまう驚きだった。

➤ サブカルチャーからの流入:

漫画人気から、shonen(少年)、shojo(少女)、seinen(青年)という単語も、漫画のジャンルを表す言葉としてフランス語に入っている。すでに本屋へ行けば、shonenやshojoと明示された棚が存在するくらいだ。

 ゲームから広がった言葉としてはkaizo(改造)がある。ゲームファンらが手を加えて難しくしたものをkaizoレベルと呼ぶのだ。特に有名なのがKaizo Mario(改造マリオ)だ。

 また、80年代終わりにリリースされた格闘ゲームから広がった言葉にhadoken(波動拳)がある。これは、必殺技というような意味で、ゲーム好きの仲間同士の会話では今でもそのまま用いられる。

 『北斗の拳』はフランスでも漫画発行に続いてアニメで放映された作品だが、このなかに出てくる『お前はもう死んでいる』と『なに?』というセリフは、フランスでも有名になった。
いまでも、ネット上で『Omae wa mou shindeiru』と検索すれば、
数多くのフランス語サイトがヒットするほどだ。
余談だが、この文を使えば結果を表す『~ている形』の説明が随分楽だろうなと思わずにはいられない。

➤ グルメ分野での躍進:

そのほか、グルメ部門で用いられる日本語も増えた。
たとえばumami(旨み)は、新しい「味」として何度もメディアに取り上げられているし、チョコレート店やパティスリーの店に行けば、yuzu(柚子)やmatcha(抹茶)などの単語が当然のように用いられている。最近では、ふわふわの日本のパンケーキが流行し、hottokeki(ホットケーキ)が併記されるケースさえ目にする。

 健康に気を配る人が増えたことも、日本食材名の流布に貢献したように思う。オーガニック専門店に行けば、tofu(豆腐)以外にも、shoyu(醤油)、miso(味噌)、azuki(小豆)、mirin(みりん)などが普通に通じる時代になった。

➤ 日本的な価値観への共感:

フランスに漠然とした憧れを持つ日本人がいるように、極東の国の日本に憧れを抱くフランス人も一定数存在する。
 大きく立派なものよりも小さく細やかなもの、永遠に続くものよりも儚いものに美を感じることが多い日本人の感覚に、共感を覚えるフランス人も少なくない。

 おそらくはそういう人たちを通してであろうか、日本で昔から使われてきたエコロジーな品や技もフランスに入って来つつある。
それがたとえばfuroshiki(風呂敷)であったり、kintsugi(金継ぎ)であったりする(20minutes紙、3/5)。

コロナ鎖国が解かれた途端、日本旅行を予約した(し直した)人が数多くいる。その多くは40代以降だ。主にネットを通して日本を知る若い世代と、日本旅行で日本を知る中高年世代。
 彼らが、次はどんな日本に目を留め、どんな言葉をフランスに持ち込むのか、楽しみな気がする。


参考文献:

■【日本ブームで次々と? フランス語になる日本語たち】:

https://newsphere.jp/national/20230914-1/

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