経団連の次期会長に就任する東レの榊原定征会長。本日開催の会長・副会長会議で報告され内定、6月の総会で米倉弘昌・住友化学会長からバトンを引き継ぐ。2代続けて素材業界からの選出。本命視された人材の固辞で経団連副会長OBが呼び戻されるという慣例破りの事態。経済人としての知名度の低さや東レの事業規模の小ささなどを不安視する声も上がるが、同氏と同社のバックグラウンドを見ると、今の経団連が抱える2つのパイプ詰まりを解消する潜在力を秘めている。
■交渉の達人
第一の詰まりは時の政権とのパイプ。経団連会長でありながら政権与党の総理となかなか会えない状況は、現在の米倉会長だけでなく、先代の御手洗冨士夫氏(キヤノン会長兼社長)の頃から続いており、政経の関係緊密化は悲願だ。榊原氏は政府の産業競争力会議の民間議員を務めており、会議では「科学技術振興費を拡充すべきだ」という持論を強力に展開。弁の立つ論客との評が政府の中では急速に広がっているという。
榊原氏は対外的には先端素材の炭素繊維を東レの看板事業として育成したことで知られており、技術研究開発分野に通じていると評される。しかし、真骨頂はそこではない。社内では米国などでの樹脂事業のM&A(合併・買収)と、1990年代のバブル崩壊後のリストラを経営企画担当として取り仕切ったことを実績として挙げる者が多い。「あるときは理路整然に、あるときは感情に訴える交渉のエキスパート。政府との意思疎通を強める役割が期待されているのなら、もってこいなのではないか」(東レOB)
第二は、尖閣諸島や歴史問題で目詰まりを起こしている中国、韓国とのパイプだ。政治と経済を切り離す「政経分離」が可能であれば問題はないが、安倍晋三首相の靖国神社参拝で、日本と中韓の政治の緊張は企業活動に悪影響を及ぼすレベルまで高まっている。
日本はアベノミクスによる景気回復の追い風があったとしても、中長期的には人口減少や少子高齢化による労働力の減退などで内需拡大が期待できない。海外、とりわけアジアでの事業拡大は、日本企業の共通課題。経団連に課されるのは、民間経済交流をこれまで以上に活発にして、少なくとも政冷経熱の状態まで戻すことにある。
榊原氏は、潜水艦の艦長だった父親を太平洋戦争で亡くしており、戦争遺族の悲しみを安倍首相や中韓の経済人に、自身の体験として語ることができる。
さらに、東レは政冷経熱を地で行く数少ない企業の代表格だ。中韓では長年、繊維や電子機器向けフィルム、機能性樹脂などを展開。政治の緊張を横目にさらなる事業拡大に意欲的で、昨年9月には韓国で水処理膜の会社を約400億円で買収することを決めたほか、昨年12月には中国四川省で樹脂コンパウンド新工場の開業式典を催した。関係者によると、現地では反日感情の高まりの影響は全くないどころか「東レ熱烈歓迎」の雰囲気だという。
■韓国から最高位の勲章
40年以上かけて培った現地での信頼関係とブランド力がベースにあるが、中韓が秋波を送り続ける最大の理由は技術力だ。例えば東レは逆浸透膜(RO膜)と呼ぶ海水の淡水化技術で世界最高レベルを誇る。膜の表面には直径ナノ(ナノは10億分の1)メートル単位の微細な穴が多数あり、海水を通すと塩分や不純物は通過できず、淡水が出てくる仕組みだ。飲料用や工業用純水をつくる用途に加え、下水や工業排水から有害物質を取り除くことも可能。水質汚染が深刻な中国の地方都市が、こぞって東レの工場誘致に積極的なのもうなずける。
韓国では榊原氏はVIP扱い。積極的な技術交流や事業展開が評価され、社長時代の2010年4月に韓国政府から「産業勲章」を受章している。しかも金、銀、銅、鉄、石の5等級あるなかの「金塔」。ビジネスパーソンに対する勲章としては最高位だ。
榊原氏は、こうした自身と出身企業の背景をどう生かすことができるのか。様々な業種の企業からなる経団連では時として内部で利害が対立、政府と見解が食い違う局面もある。際だった長所は、使い方を間違えれば弱点にもなり得る。
(電子報道部 石塚史人)
日経新聞電子版 (2014/1/14 10:00)
筆者考:
先日、2014年1月10日金曜日の更新記事!・・・【経団連会長に東レ会長の榊原氏内定 6月就任へ】に次いで、東レの榊原定征会長を余りにも日経新聞が嬉しさの余り浮かれ騒いでは提灯記事を連発しているので再度、取り上げる事にしました。
企業人としては超一流である事は過去の実績が如実に物語っていますが、一企業のお山の大将で収まっているなら何らの問題はないでしょうが、・・・経団連の会長となれば、有る程度の国家観を有していなければなりませんが、残念ながら過去の歴代の会長は押しなべて無国籍企業出身であり、国家観などは全く欠如していたので、東レの榊原定征会長も同様に期待できない!と筆者は思っています。
支那、南朝鮮でVIP待遇をうけて大喜びする人物には日本国の前途など全く考慮はしないでしょう。カッティング・エッジ(時代最先端の技術)の炭素繊維はいまや日本の物作りの顔であり。 加えて逆浸透膜(RO膜)と呼ぶ海水の淡水化技術で世界最高レベルでは、支那も南朝鮮技術を掠め取る事に専心して東レの榊原定征会長を上にも下にもおかずの最高級の待遇で迎えるは当然過ぎる程に当然です。
東レの榊原定征会長が経団連会長就任後は経団連の安倍政権への圧力が増して、支那、南朝鮮への経済支援や技術移転に民主党政権下と同様に拍車が掛かるでしょう。
勿論、日経新聞が側面から援護するは目にみえている。