2014年12月12日金曜日

原油価格の暴落は世界経済にとって「吉!」か「凶!」か?・・・


原油価格の暴落で反米産油国が大打撃。地政学上のバランスは激変か?


原油価格の下落が止まらない。背景には米国のシェールガス革命という供給要因があり、長期的に下落傾向が続くとの見方が強い。原油価格の下落は、基本的には世界経済にプラスだが、石油の輸出に依存する産油国にとっては打撃となっている。一部の国では財政破たんを懸念する声も出始めている。

12月8日のニューヨーク原油先物市場は、1バレル63.05ドルで取引を終えた。終値ベースでは約5年半ぶりの安値である。
 原油の価格下落は、世界経済の失速懸念がきっかけだったが、根本的には米国のシェールガス革命による大幅増産という供給要因がある。米国は近い将来、エネルギー源のすべてを自給できる見通しであり、中東からの原油の輸入が大幅に減ると予想されている。

 産油国は本来、減産で対応するのだが、サウジアラビアが減産に否定的だったことから、OPEC(世界石油輸出国機構)では最終的に減産を見送った。これによって原油の価格下落に歯止めがかからなくなっている。

原油価格の下落は、基本的には世界経済全体にとってプラス要因だが、資源国は収入の減少につながるためマイナス要因となる。サウジアラビアは圧倒的な埋蔵量と価格競争力を持っているため大きな問題は発生しない可能性が高いが、ロシアやベネズエラなど、経済が脆弱な産油国にとっては大打撃となる可能性が高い。

 ロシアは1日あたり1000万バレル、ベネズエラは260万バレルの石油を生産している。両国は産出した石油の多くを輸出しており、原油価格の下落は、国家財政を直撃する。
 原油価格が100ドルから65ドルに下落すると、ロシアは年間で11.5兆円ほどの損失に、べネズエラは約2.8兆円ほどの損失になる(ロシアの場合には天然ガスの輸出もあるので、さらに影響が大きい)計算だ。ロシアのGDPは約250兆円、ベネズエラのGDPは約27兆円なので、原油価格下落の影響はロシアの場合GDPの約4.6%、ベネズエラの場合には10.4%にも達する。

 両国は経済基盤が非常に脆弱であることから、原油価格下落による輸出の激減は、金融危機や財政危機を引き起こすリスクがある。ロシアはウクライナ問題で経済制裁を受けており、資金の国外流出が加速している。原油価格の下落はこうした状況にさらに拍車をかける可能性が高い。
 両国は反米的なスタンスで知られているが、両国が経済的苦境に陥れば、地政学的なバランスも大きく変化することになるだろう。

両国に対する債権の額などは、グローバルな金融マーケットから見れば、微々たるものである。だが一部で信用リスクなどが顕在化することになれば、金融市場にはちょっとしたショックとなるかもしれない。経済全体としてはプラス要因の原油安だが、金融市場では少々警戒が必要な水準となってきている。


ニュースの教科書 (2014年12月11日)

                                        


筆者考:

◼︎ 原油価格の暴落(で反米産油国が大打撃。地政学上のバランスは激変か?・・・
◼︎ 原油価格の暴落は世界経済にとって「吉!」か「凶!」か?・・・
◼︎ 原油価格の暴落は諸刃の剣の側面を持っているのは否めない!・・


✦【OPEC:2015年原油需要見通し、12年ぶり低水準に下方修正】:

 12月10日(ブルームバーグ):石油輸出国機構(OPEC)は10日、2015年のOPEC産原油需要見通しを12年ぶり低水準に引き下げた。米国でのシェールオイルの供給増と世界の消費見通し引き下げが理由。

✦【米EIA:2015年の原油価格予想を下方修正】:

 12月9日(ブルームバーグ):米エネルギー情報局(EIA)は、来年の原油価格の予想をバレル当たり15ドル下方修正した。北米での原油生産が増加する中、石油輸出国機構(OPEC)が11月に生産目標の据え置きを決定したことが背景にある。

✦【イラン:OPEC連帯崩壊なら原油は1バレル40ドルに下落も】:

  12月9日(ブルームバーグ):石油輸出国機構(OPEC)の連帯が崩れ価格競争が激化すれば、原油価格が1バレル=50ドル台を割り込み、40ドルまで下落する可能性があると、イラン石油省の石油市場分析責任者が指摘した。

✦【世界のシェール革命への野心しぼむ-価格競争で原油下落】:

 12月8日(ブルームバーグ):石油輸出国機構(OPEC)が生産目標据え置きを決定したことで、原油価格は世界的な金融危機以来の低水準に下落し、価格競争が始まっている。このため、米国のシェール革命を再現しようとする世界各地での取り組みが脅かされている。

✦【水圧破砕請け負う石油サービス会社の利益、3600億円減少か】:
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NGCKBB6K50Y101.html

12月9日(ブルームバーグ):シェール層での油ガス井の掘削や水圧破砕を手掛ける油田請負企業は、手持ち現金が落ち込んでいる顧客企業の運営を継続させるために請負価格を最大20%引き下げる必要があるとの見方が広がっている。

これにより、アナリストらが予想する世界の4大石油サービス会社の2015年の利益が計30億ドル(約3600億円)余り減少する可能性がある。4大石油サービス会社は米シュルンベルジェ とハリバートン 、ベーカー・ヒューズ 、スイスのウエザーフォード・インターナショナル 。







  WTI Crude Oil
$63.82 ▲0.77 1.21%

2014.12.09 end-of-day
本日(2014年12月10日)のWTI 1月先物の価格!・・・

CommodityUnitsPriceChange% ChangeContractTime(ET)
Crude Oil (WTI)USD/bbl.60.79-3.03-4.75%Jan 1514:06:40
Crude Oil (Brent)USD/bbl.63.92-2.92-4.37%Jan 1514:07:02
TOCOM Crude OilJPY/kl47,880.00-2,200.00-4.39%May 1513:59:55
NYMEX Natural GasUSD/MMBtu3.72+0.06+1.73%Jan 1514:06:47

1バレル $60.79 で5年ぶり(2009年$61.69)の安値をつけました。
現在の処は底が見えない!、・・・エネルギー関連企業は収益が大幅に縮小して赤字決算になる可能性に頭を抱える可能性は非常に高いでしょう。

原油の暴落で最も経済的な被害を被るのは『シェール層での油ガス井の掘削や水圧破砕を手掛ける油田請負企業』であることは明白であり、・・・

✦【Shale Permits Fall As Low Oil Prices Start To Bite】:
http://oilprice.com/Energy/Oil-Prices/Shale-Permits-Fall-As-Low-Oil-Prices-Start-To-Bite.html

According to DrillingInfo, an industry data firm, permits for new wells dropped 15 percent across 12 major shale formations in October, after doubling in the period since last November.

シェール層での油ガス井の掘削や水圧破砕を手掛ける油田請負企業のデーターによると、新規の掘削や水圧破砕許可書申請は12箇所のシェール層に亘り、昨年の11月の最盛期に比較すると15%減少した。

◼︎【オイル&ガス産業界が如何に米国の経済回復に寄与しているか】!:
https://www.linkedin.com/pulse/article/20140324230731-27307105-state-of-oil-and-gas-we-re-creating-the-jobs

➤ The nation’s lowest unemployment rate – 2.7 percent – is in North Dakota, home of the Baaken oil field.
米国内で最も低い失業率を誇る、ノース・ダコダ州はバッケン油田を抱える。
➤ Oilfield employment is so high in North Dakota that housing is in short supply, with rents in Williston, a city of only about 15,000 people, topping those in New York City and Los Angeles.
油田を抱えるノース・ダコダの雇用者数は多く、Williston(ウイリストン)市では住宅不足が深刻で、これは15.000人の人口ながらニューヨーク市やロス市の住宅不足を超えるものである。
➤ Midland, Texas, an oil and gas hub, has become one of the wealthiest towns in North America.
石油&ガスの中心地でテキサス州・ミッドランドは北米で最も富裕な都市である。
 The oil and gas industry is now responsible for 10 million jobs, both direct and indirect.
石油&ガス産業は現在、直接⧸間接的に100万人の雇用を創出している。


◼︎ニュースの教科書の記事は!:


➤ ❮原油価格の下落はロシアやベネズエラなど、経済が脆弱な産油国にとっては大打撃となる可能性が高い。 両国は経済基盤が非常に脆弱であることから、原油価格下落による輸出の激減は、金融危機や財政危機を引き起こすリスクがある。ロシアはウクライナ問題で経済制裁を受けており、資金の国外流出が加速している。原油価格の下落はこうした状況にさらに拍車をかける可能性が高く、反米的産油国が大打撃、地政学的なバランスも大きく変化することになるだろう❯・・・

反米的な産油国が経済が大打撃を蒙り、地政学的なバランスが大きく変化すると述べているが、米国も産油国であり、原油価格の下落の影響は大である。
上述されているように此処数年来の米国経済の回復基調はシェール革命と喧伝されている。 地下深く眠っているオイル&ガスを新しく開発された新掘削技術で取り込むことにで業界が潤い、勢い雇用を増加させたのが大きな要因である。

油ガス掘削作業員の報酬は高給であり、その為に油ガス業界の従事者は消費力(購買力)も高いのは周知の事実です。
米国の車販売数が増加を続けている、・・・特にトラックが突出しているのは掘削作業員が購入しているのが大きな要因です。
シエール革命の恩恵を受けている全米各地の都市では住宅不足が顕著になり、住宅着工率、住宅販売数が増加の一途を辿っている。これが恩恵を受けている都市だけではなくて連鎖的変動効果で全体的に住宅価格が上昇し、連れて販売も増加する。
こうなると住宅建設業界が潤い不動産業界が多大な恩恵を受けるは必然となる。
住宅建設現場で働く職人(大工、左官、配管工、電工など)が増加して、連れてトラックやSUVが飛ぶように売れる。
此処数年来の米国自動車販売が順調に伸びて、先月などはサブプライム金融危機の以前の販売数に戻りました。これもシェール油ガス革命の恩恵です。

因みにカナダは、特にアルバータ州はカナダ経済の牽引車ですが、・・・主要産業はオイル、ガス、タールサンドであり、原油価格が暴落すると経済がたちどころに壊滅的な打撃を蒙る脆弱性を持っている。  既に此処数日間、原油価格の暴落に嫌気をさした投資家たちが投げ売りを始めTSE(カナダ・トロント)が急激な下げに転じて、数兆円の金融資産が消滅した凄まじい結果に繋がっている。
米国も同様に株価が急激な下げに転じています。

このように原油価格の暴落は反米的な産油国だけではなくて米国、カナダにも被害を齎します。故に筆者は ❝原油暴落は諸刃の剣である!❞と唱える所以です。

原油価格が金融不安を惹起させ、債務危機に陥る産油国が続出し、・・・産油国だけではなくて投資している欧米の銀行や機関投資家が損失を蒙り、此れが世界経済の足を引っ張り大規模な景気後退に繋がる可能性は否めません。
既に此れを見越しているのか!、連日株式市場は下げ足を加速させているは不吉な兆しと筆者は言わざるを得ません。

比較的に打撃を蒙らなくて済むのは日本国かも知れません!・・・。

日本国の経済は南朝鮮や支那とは違い内需型の経済構造なので原油、ガスが下落すれば電力会社が息を付ける(赤字が決算が改善出来る)円安で被る傷を原油安が癒してくれるでしょう。
経常収支も黒字になり大幅に改善する!、・・・原油安は日本国にとっては確信ははありませんが、 ❝吉!❞と出る可能性は限りなく高い!と筆者は期待しています。


◼︎【石油価格の下落はロシアの意図? 狙いは米国の“ドル崩壊”か】:

➤ ❮ニュースディープスロート: ベンジャミン・フルフォードの読み❯・・・

✺ Q.G20での孤立に、原油価格の低迷。ロシアは苦境に立たされている?
  ↓
 G20の独ロの密談に注目! 原油価格暴落によりドル崩壊するアメリカが苦境に立っている!

実は15日夜、プーチンと独メルケル首相は、2人きりで4時間にもわたる密室会談を持っている。。ちなみにモスクワに戻ったプーチンは、18日にドイツの外相と75分にわたる会談を行っている。EU-ロシアの関税を撤廃する「リスボンからウラジオストクまでの自由貿易圏構想」について話し合いが進められているものとみられる。
 アメリカに同調し、8月に本格的に対ロ制裁に踏み切ったEUは経済が疲弊し、ロシアとの関係改善の道を模索していた。EUにとって、この構想は渡りに船。ロシアと最も太いパイプを持つドイツが交渉役を務めたのだ。「アメリカ外し」を画策するプーチンにとってもこの構想は魅力的だ。実現すれば、EUという大口顧客をアメリカから奪うことができる。


✺ プーチンはG20でもう一人、別の人物とも密談した。サウジアラビアのサルマン皇太子だ!・・・

 米系メディアは最近、「エネルギー価格の低迷は、中東やロシア経済にマイナスの影響を与えている」と盛んに伝えている。しかし、すでに油田・ガス開発の初期投資を回収した中東やロシアにとって、ダメージは限定的なのだ。
私(ベンジャミン・フルフォード)は、エネルギー相場の低迷はむしろロシアの意図に基づくものだと見ている。目的は、エネルギーの相場を下げ、シェールガス採掘の採算を合わなくさせることだ。サルマン皇太子との会談でも、原油価格の抑えこみについて話し合いが持たれたのではないか。エネルギー相場の暴落は、産油国よりも“石油本位制”をとる米ドルにより大きな被害をもたらすのだ。

※ 筆者註:ベンジャミン・フルフォード

ジャーナリスト ’61年、カナダ生まれ。米経済誌『フォーブス』の元アジア太平洋支局長として活躍。その後、日本を拠点に、タブーなきフリーランスの外国人ジャーナリストとして執筆活動を展開。著書に『暴かれた9.11疑惑の真相』、『日本を支配する「鉄の五角形」の正体』(扶桑社刊)など多数。『ファイナル・ウォー』(扶桑社刊)が絶賛発売中。



ベンジャミン・フルフォードは反米的な思想(反ユダヤ)が強く極端、短絡、陰謀説などが色濃い見識をもっていますので、・・・
◼︎【石油価格の下落はロシアの意図? 狙いは米国の“ドル崩壊”か】:
の記事の中で唱えられている見識を全面的に信ずる事は出来ませんが、・・・『鋭い目(指摘)は大変に参考にはなる!』と筆者は思いましたので拙ブログに取り上げました。

訪問客の皆様方、のご考察は如何でしょう?・・・。


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