「今でも人が飛び込んでくる夢見る」と経験者】:
日常の中で、人身事故による鉄道の遅延や運転見合わせのニュースを見聞きしたことがある人は少なくないだろう。
「乗客にけがはなかった」「列車に最大〇時間の遅れが出た」といった情報が流れる中で、運転士の気持ちを考えたことはあるだろうか。
事故のショックから体の不調に悩まされたり、離職したりするケースもあるという。事故を経験した元運転士に当時の心境をたずねるとともに、どのような心のケアが必要なのか専門家に聞いてみた。
午後9時半ごろ、特急列車を運転していたところ、通過駅のホームに立っていた人が小走りに列車に駆け寄ってくるのが見えた。
「あれ?」と思った次の瞬間、ぴょんと線路に。警笛を鳴らし、非常ブレーキをかけたものの、ドーンという大きな音を立てて、正面ガラスの下にぶつかった。
周囲の列車に緊急無線で事故の発生を伝え、安全を確認した上で、駅員らとともに負傷者を線路の外へ。その後も現場検証、上司への報告、警察署での事情聴取などがあり、全ての事故対応を終えた時には、翌朝午前9時を回っていたという。
周囲の列車に緊急無線で事故の発生を伝え、安全を確認した上で、駅員らとともに負傷者を線路の外へ。その後も現場検証、上司への報告、警察署での事情聴取などがあり、全ての事故対応を終えた時には、翌朝午前9時を回っていたという。
「その時は気持ちが張り詰めていたが、その後どっと疲労感が出た」とKOHさん。事故を経験した後は1カ月近くは、ホームにいる人が全員怪しく見え、「飛び込んでくるのでは」という不安があったという。
人身事故を経験した同僚の中には会社をやめた人もいた。
正面ガラスを破って人が飛び込んだことでけがをし、そのことがトラウマになってしまったという。
「今でもホームから飛び込んでくる人の夢を見ることがあるし、駅で人身事故の情報に接すると心が痛む」と語る。
KOHさんは運転士の仕事への理解につながればとの思いから、元運転士として経験したことをYouTubeで発信しており、事故のことも話せる範囲で伝えている。「運転士がこんな経験をしているなんて知らなかった」「運転士を事故に巻き込んでほしくない」といったコメントや、現役運転士からも「理解してくれる人がいて、励みになる」と声が寄せられているという。
「事故後、運転が怖いと感じる運転士もいる。配置転換など希望を聞いてもらえる体制を整えてほしい」と願う。
鉄道会社に、事故を経験した運転士にどんなメンタルケアをしているか聞いた。JR西日本、東日本ともに「必要に応じて産業医による面談を行っている」とし、JR西日本は「ケースにもよるが、事故発生直後に運転士の精神的負荷を考慮し、他運転士に運転を交代するなどしている」、東日本は「事故発生直後は、乗務列車に指導員などが添乗するなどして、精神的フォローを行っている」としている。
事故を経験した運転士にどのようなケアが必要か識者に聞いてみた。事件事故など、悲惨な現場に遭遇して生じる精神的ショック「惨事ストレス」に詳しい筑波大名誉教授の松井豊さん(69)は、都内の私鉄でカウンセリングの助言をした経験がある。
ケアとしては必要に応じて運転士の交代や休んでもらうことを挙げるとともに、経験者が仲間として支援する「ピアサポート」を提案する。「カウンセリングや傾聴訓練を受けた経験者が、自身のケースを打ち明けたり、当事者の話を聞いたりすることで安心感が芽生える。『こんなに大変な経験をしたのだから、つらいのは当たり前』と伝えることが大切」とする。
事故を経験した人に対して周囲はどのように対応すれば良いかもたずねた。「精神がしっかりしていれば事故の経験が乗り越えられるといった『根性論』を押し付けないでほしい。
そして、相手の疲れや負担を考慮して心配するのは良いが、あたかも気持ちが分かったかのように声かけをすることはしないでほしい」と注意を促す。
その様子を見て、鉄道飛び込み自殺の惨たらしさには耐えられず、その後2日ばかり就寝中に悪夢に魘された事を、いまでも覚えています。
子ども心にも、鉄道自殺は絶対にしてはいけない‼、…と思ったものでした。
後片付けをするJRの職員の方々はどんな気持ちで遺体の回収をするのか?と思うと心が痛み!、… また事故時に車両を運行していていた運転手の方も衝撃を受けるのも無理がない事です。
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