https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0472E0U2A200C2000000/?n_cid=NMAIL007_20220207_A&unlock=1
日本の新型コロナウイルス対策の厳しい水際規制が企業活動に影響している。
シーメンスは外国籍社員が入国できず機械関連の企業との共同プロジェクトが止まったほか、一部の投資案件も保留した。日本法人は社員の10~15%が外国籍で、入国待ちは「かなりの数」(同社)に上る。幹部は「日本市場の成長見通しを見直すことにもなりかねない」と危惧する。
ボッシュも31人の外国籍従業員とその家族37人が入国できていない。埼玉県の工場では自動車部品の新製品ラインの立ち上げが停止した。カーナビ大手のフォルシアクラリオン・エレクトロニクスも、親会社の仏フォルシアの役員や技術者など長期滞在予定で入国できたのは1割にとどまる。
日本政府は21年11月下旬に変異型「オミクロン型」が確認されると外国人の新規入国を原則停止した。出入国在留管理庁によれば、21年12月の外国人の新規入国者数は2783人と前年同月比95%減った。
主要国で外国人の新規入国を原則禁止するのは日本のみで、ビジネス環境の悪化は鮮明だ。政府観光局によると、海外からのビジネス客流入は21年1~10月で前年比9割減。20年よりも減少幅が拡大した。米国が底入れしたのと対照的だ。
外国人労働者の中には来日を諦め、他国に向かう動きが出ている。
技能実習生の監理団体、関東スタッフ協同組合(さいたま市)では約250人の実習生が来日できず待機している。鶴田博和常務理事は「1年半も待機させている間に来日を断念する実習生が増えている。収入がない状況でつなぎ留めは難しい」と話す。ビル内装業などで受注できない例も出ている。
アルバイトの約3割を留学生に頼っていたある大手居酒屋チェーンは、深夜営業の見送りを余儀なくされた。外国人IT(情報技術)人材を日本企業に派遣するヒューマンリソシア(東京・新宿)ではインドなどで約200人が入国待ちで、一部辞退が発生している。
産業の将来の担い手候補となる人材育成にも影を落とす。「留学」資格での新規入国者数は、21年1~11月に約1万1千人と19年同期比で9割減った。一方、米国国際教育研究所によると18年9月~19年8月に米国が受け入れた留学生は約26万9千人だったのに対し、20年9月~21年8月は約14万5千人とほぼ半減にとどまる。
日本人学生の派遣にも影響が出ている。南山大学は提携先の米大学から交換留学の一時停止を打診された。日本に留学生を送り出せないためだ。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は「『コロナ鎖国』を貫けば企業の事業継続に深刻な影響が出る」と警鐘を鳴らす。
日経新聞の愛国心のなさは!・・・