豪が中国の台頭を歓迎する国防白書を発表。安倍政権の世界観から真っ向から対立
オーストラリア政府は5月3日、国防白書2013を発表した。中国の台頭について脅威と見なしていた前政権から180度方針を転換し、中国の影響力拡大を歓迎する内容となった。
安倍政権はアジア太平洋地域において中国包囲網を形成する外交政策を目指しているが、それとは真っ向から対立する形となった。
白書ではまず、米中関係について触れ、米中関係はアジア太平洋地域のみならず、グローバルな視点において、もっとも重要であると定義している。
さらに中国に加えてインドの影響力が増大していることに触れ、アジア太平洋地域ではなく、インド太平洋地域という新しい戦略的「弧」が出現しているとしている。
さらに中国に加えてインドの影響力が増大していることに触れ、アジア太平洋地域ではなく、インド太平洋地域という新しい戦略的「弧」が出現しているとしている。
あっさりとした表現になっているが、これは従来のアジア太平洋地域の地政学的解釈を根本的に変えるインパクトのある出来事である。
地政学の世界では、旧ソ連というランドパワーの国をシーパワーの国(米国を中心とした同盟国)が円弧の形で包囲するという形を基本的理解としていた。旧ソ連を中国に置き換えれば、従来と同様、中国包囲網を形成することが基本戦略ということになる。現在の安倍政権は基本的な世界観として中国包囲網を念頭に置いている可能性が高い。
地政学の世界では、旧ソ連というランドパワーの国をシーパワーの国(米国を中心とした同盟国)が円弧の形で包囲するという形を基本的理解としていた。旧ソ連を中国に置き換えれば、従来と同様、中国包囲網を形成することが基本戦略ということになる。現在の安倍政権は基本的な世界観として中国包囲網を念頭に置いている可能性が高い。
だがインド太平洋地域という新しい「弧」が出現しているという表現は、米国による中国包囲網という考え方が根本的に成立しなくなっている可能性を示唆している。
白書では「オーストラリア政府は、米中のどちらか一方を選択する必要はない」とし、「中国は敵国とみなさず、平和的台頭を促すことを基本政策とする」と明言している。
白書では「オーストラリア政府は、米中のどちらか一方を選択する必要はない」とし、「中国は敵国とみなさず、平和的台頭を促すことを基本政策とする」と明言している。
米国は日本から海兵隊を撤退させ、オーストラリアへの再配備を進めている。またシンガポールには最新鋭の沿岸海域戦闘艦の配備を開始した(本誌記事「米国がシンガポールに最新鋭艦を配備。その地政学的意味とは?」参照)。これはいわゆる 対中国シフト(リバランス戦略)の一環ということになるが、この動きは必ずしも中国を敵国と見なし完全包囲する事を目的とはしていない。
中国を敵として封 じ込めるのではなく、交渉相手と見なし、局地的な海洋権益が保護できれば十分というレベルに米国の基本戦略が後退している可能性がある。オーストラリアが 米中双方との関係を重視するとした今回の白書の表現も、その延長線上にある。
ギラード首相は国防白書の発表に合わせて「中国の影響拡大を歓迎する」と発言し、中国を敵国とは見なさいと繰り返し強調した。
安倍政権は、米国を中心に、オーストラリア、東南アジア、インドとの連携を強化し、中国を封じ込める戦略を描いている。だが少なくともオーストラリアの現政権にはその意向がないことがはっきりした。中国と日本が基本的に利害の対立する国であることは、歴史的に見てもはっきりしている。だが少なくとも、米ソ冷戦時代の世界観をベースにした対中外交は完全に行き詰まったといってよいだろう。
夏の参院選を無事乗り切ることができた場合には、長期政権の可能性も見えてくる。日本は中国敵視を貫き孤立外交も辞さないのか、中国に対してはある程度妥協するのか、そろそろ、現実的な安全保障政策の青写真を提示すべき時期が近付いてきている。
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<オーストラリア>国防白書「対中関係も重視」
筆者考:
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130503-OYT1T00591.htm
上記の様なニュースが話題を呼んでいる反面!・・・豪州政府が支那の台頭を歓迎する国防白書を発表するとは、加えて上記の記事の執筆者は何者なのか?豪州の国防白書に対しの解説に偏向性が感じられて違和感を持たずには居られない。
そこで筆者は★【オーストラリアの安全保障政策=国防白書】
http://www.nids.go.jp/publication/east-asian/pdf/eastasian2013/j03.pdf#search='%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A2%E6%94%BF%E5%BA%9Cno%E5%9B%BD%E9%98%B2%E7%99%BD%E6%9B%B82013'
のサイトを検索したが、残念ながら!・・・『豪州政府が支那の台頭を歓迎する』文面を発見する事は出来なかった。
今回の豪州政府の発表は豪州最大の交易あいての支那を刺激する事を避けるリップ・サービス的な意味合いを持っている!と筆者は判断しています。
何故なら!・・・
1)【日本貿易振興機構によれば、2011年の中豪の輸出入は、国別で、中国がオーストラリアの輸出額全体の25.3%を、また輸入先としても18.7%を占め、いずれも第1位となっている。中国との深まる経済関係はオーストラリアにとって安全保障上大きな含意をもつものである。特に、オーストラリアはウラン、鉄鉱石、天然ガスなどの天然資源の産出国であり、中国などに対してこれらの資源を安定的に供給することが地域の安定に資すると考えている】と
『オーストラリアの安全保障政策=国防白書』に書かれているからです。
2)【近年オーストラリア国内ではアジア諸国、なかんずく中国の台頭と、米国の相対的な衰退が指摘され、米国の地域における今後の役割について白熱した議論が展開されている。その中には、米国の一極時代はすでに終焉しつつあり、新たな地域秩序としてアジアの大国間協調を模索すべきという議論や、米国が衰退しているからこそ同盟を強化するべきであるといった議論、あるいは、同盟の価値が低下しているとして、より自主的な国防政策を追求することを提言する議論などが存在する】
3)【オーストラリアが、中国の台頭に関して最も懸念していることは、ひとえに米中関係であるといえる。スミス国防相は、米中関係の今後の見通しについて豪政府は楽観的であるとしつつも、仮に米中関係が「うまくいかなければ、我々は問題を抱えることになる」と明確に述べ、※米中関係が安定的に推移することが地域の安定の「核心」であると指摘している。
オーストラリアは米国との同盟関係と最大の貿易相手国である中国との関係の間で選択をしなければならなくなるとの懸念である。もちろん、現在オーストラリアはこの 2つの大国との関係をうまく両立させることに成功しているが、これを将来にわたって継続することができるのかという点についてはオーストラリア国内で長年にわたって根強く議論され続けている】・・・要するに豪州は独自に率先して支那の台頭を歓迎している訳ではなくて米国のオバマ大統領とケリー国務長官の意中を察してアイバイ工作の如きの発表ではなかったのか?、筆者は洞察している。
※ 1) 2) 3) は【オーストラリアの安全保障政策=国防白書】引用
豪州としても支那が最大の交易相手国である上に!・・・最も重要な同盟国の米国が、軟弱コンビ(オバマ大統領、ケリー国務長官)が支那重要視政策を推進しているのでは、支那を警戒、及び牽制する国防白書を発表する訳にいかなかったのでしょう。
近来、米国、カナダ、英国、EU諸国、豪州などの最高指導者達が支那の人権問題、各自治区(チベット、ウルグイ、モンゴル)への民族淘汰などを一切非難しなくなった。
其れよりも支那の経済破綻を極端に恐れている観がある。此れは一見、奇異な感を与えるが!・・・決して奇異ではない!と断言出来る。
現在は世界同時株高(NYダウは連日歴史的な新高値を更新している)で株式市場は湧きに湧いているが!・・・株式市場の上昇率と実態経済の差が危険な程の段差が形成されている。
勿論、此れは人為的に操作(度重なるQE=金融緩和が齎した金余り現象で資金が依りよい還元を求めて株式市場に洪水の如く流入)されたものであり、天井をつけた時の惨状は “山高かれば谷深し!”で多くの投資家が深い傷(特に米国の60%以上の人口が401Kなどに老後の薔薇色の引退生活を夢見て株に投資しており、株が暴落した時の損失は計り知れない)を負うことになる。
各国の為政者達は此れを極度に恐れていると言っても決して過言ではない!・・・詰まり支那経済の破綻は己等の国の経済の破綻!となるを恐れている事に他ならぬ。
米国などは株式市場が下落すると、FRBは慌ててQE継続を発表するは始末は滑稽でさえあるが、QEは経済麻薬で常習性があり、結局は死ぬまで止められぬのでしょう。
2013年、特に第3、第4四半期の経済動向は予断は許さず・・・経済動向に依って米国のアジア政策も大きく変幻すると思われる。
今回、豪州政府が『支那の台頭を歓迎する国防白書』も結局は表面は好調に推移している経済とは裏腹で水面下は激しい渦(リッセンション=不景気)が捲いて居る事を念頭に置いていたのでは?と思わずにはいられない。
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