高市早苗経済安全保障担当相の「捨て身の告発」が波紋を呼んでいる。経済安全保障の核となる機密情報の取り扱い資格「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」の制度化をめぐり、テレビ番組で、政府内の〝抵抗勢力の存在〟や〝親中派との闘争〟を示唆したのだ。岸田文雄首相は30日朝時点で、この件に沈黙している。高市氏の「真の狙い」とは。
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注目の「告発」は28日夜、BSフジ「プライムニュース」で行われた。
今年5月に成立した経済安保推進法では、「セキュリティー・クリアランス」制度の追加が焦点となっており、司会者はこの点を質問した。
高市氏は「経済安全保障推進法の改正案として、これを入れ込んだものを出したい」と強い意欲を示し、こう続けた。
「この秋は(提出は)全然間に合わない。それと、担当相に就任した日に『中国という言葉を出さないでくれ』と、『来年の通常国会に提出するとは、口が裂けてもいわないでくれ』といわれた」
高市氏は以前から、「経済安全保障推進法にスパイ防止法に近いものを入れ込んでいくことが大事」「(セキュリティー・クリアランスを)しっかりやらないと欧米のサプライチェーンから外される可能性もある」などと重要視していた。
それだけに、今回の「告発」には、永田町でも憶測を呼んでいる。
ある与党議員は「経済安保の懸念の筆頭は、『中国の脅威・浸透』だ。軍事的威圧だけでなく、官民の情報や先端技術の流出、サイバー攻撃も深刻な問題だ。高市氏の発言が事実なら、(政府内に)中国に配慮をして、法改正を妨げている存在がいることになりかねない」と警戒する。
ただ、政府関係者は「法改正は中国を刺激せずに、粛々と進めていく狙いがある。岸田首相は最重要施策と考えている。手法の違いではないか」と語った。
高市氏はBS番組で、「サイバーセキュリティーは経済安全保障の一環だ。『必要な法改正も、私の担当にしてください』と岸田首相に申し上げて、断られてしまった」「セキュリティー・クリアランスは、どうしても法改正して出したいというのが私の強い希望だ。しかし、内閣府の長は総理大臣だ。法律案を書きなさいと役所の人に命令する権利はない」とも語った。
首相周辺からは、「任された役回りに不満があるのかもしれない」との声もあがる。高市氏は番組で一連の発言後、「明日クビになったらすいません。ごきげんよう」と笑顔で一礼した。
高市氏は、サイバーセキュリティーも含めて経済安全保障の第一人者である。岸田首相は国益第一で、抵抗勢力を排除すべきではないか。
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