2022年7月、トヨタが主導する商用車の共同技術会社「CJPT」とヤマト運輸は、共同で商用のバッテリー交換式EVの開発と、そのためのバッテリーの規格化の検討を開始すると発表しました。
商用EVのバッテリーを交換式にすることによって、コスト低減や充電時間の短縮などのメリットを掲げており、実現すれば、現在の固定式バッテリーEVの課題をクリアすることが可能。はたして実現は可能なのか、また、実用化された場合、乗用モデルのバッテリーEVも、交換式にすることはできるのでしょうか。
支那メーカーを除けば、EVのほとんどはバッテリー充電式:
バッテリーEVは、一部の中国メーカーを除けば、ほとんどはバッテリー充電式を採用しています。バッテリーは日々進化を続けていますが、現時点のバッテリー充電式EVの課題は、バッテリーのコストが高い、航続距離が短い、充電時間が長いことです。
CJPTとヤマト運輸は、一般的なバッテリー充電式EVからバッテリー交換式EVにすることで、次の4つのメリットがあると発表しています。
・搭載バッテリーの容量を必要十分な容量に減らせるので車両価格が低減
・ドライバーの充電にかかわる負担が軽減
・バッテリー交換式によって、充電時間が短縮できるので運送効率が向上
・車両が稼働中にも交換用電池の充電が可能なので、電力需要が平準化
バッテリー交換式にすることで、充電時間は1/10に短縮
現在、日米欧の大手メーカーのバッテリーEVは、ほぼすべてバッテリー充電式です。バッテリー交換式を採用しているのは中国メーカーで、なかでも新進EVメーカー「NIO(ニーオ)」がその筆頭です。
NIOは、「パワースワップ(バッテリー交換)ステーション」を設置して、電欠となったバッテリーを充電済みバッテリーへ交換するシステムを構築しています。すでに200万台のバッテリー交換の実績があり、車両価格はレンタルとすることで100万円ほど安価に、バッテリー交換費用は月額1万~1.5万円に設定されています。バッテリー交換時間は約3分、充電式では急速充電でも30分はかかるので、充電時間は1/10に短縮、スタンドでの給油並みの時間で済むことになります。
NIOは、バッテリー交換式によって、バッテリーEVの課題である車両価格を下げ、充電時間の大幅な短縮を実現しています。ただし、バッテリー交換式が普及するためには、交換ステーションの設置に加えて、安全なバッテリー交換技術、そしてバッテリーの規格化が必要です。
中国はバッテリーEVが市場に投入された当初から、バッテリー交換式EVを政府が強力に支援してきました。バッテリー交換ステーションの設立など、政府補助によって初期投資などが抑えられるために、中国では成立しているのです。
最大の難関はバッテリーの規格化
現在バッテリー交換式を採用している日米欧の大手メーカーはありませんが、過去にはテスラなど数社がバッテリー交換式にトライして、上手くいかずに断念しています。
2012年に発売された米国テスラ社の「モデルS」は、当初はバッテリー充電式とともにバッテリー交換式にも対応していましたが、短期間で断念しました。当時は、まだバッテリーのエネルギー密度が低く、モデルSは航続距離を確保するため、何と500kgもある大容量バッテリーを搭載していたのです。品質を保証しつつ、これだけの重いバッテリーを交換するのは技術的にも難しく、また莫大な交換費用が掛かったため、断念となりました。
現在は、当時に比べれば格段にバッテリーの性能は上がり、課題は徐々に軽減されてはいますが、今なおバッテリー交換式の普及を妨げているのは、バッテリーの規格化です。バッテリー交換式を成立させるには、基本的にはバッテリーの構造と性能、かつ脱着構造を規格化によって統一し、交換にかかわる費用を低減しなければいけません。
しかし、バッテリーの技術はまだ開発途上、様々なバッテリーが開発されている過渡期。バッテリーはEVの差別化を決定づける競争領域でありますが、メーカー単独で規格化すれば、バッテリーの進化やEVの開発に大きな足かせとなり、技術進歩に取り残されるリスクが発生します。中国では、政府主導で自動車メーカーとバッテリーメーカーがタイアップして、技術進化にも対応できるバッテリーの規格化ができていますが、そのほかの国では中国のようにはいかないのです。
商用車なら成立する可能性あり
実は、すでに神奈川県の川崎市をはじめとする複数のゴミ収集車でバッテリー交換式EVが活躍しています。川崎市のゴミ収集車は、日産のトラック「アトラス」に容量40kWhのバッテリーを搭載して交換式EVに仕立てています。航続距離は50km程度ですが、専用のバッテリー交換ステーションで電池パックを約3分で充電済みのバッテリーに交換可能です。
このように、ゴミ収集車や定期バス、走行ルートの決まったトラックのような商用車は、決まった経路や範囲を走ることが多いので、バッテリー交換ステーションの設置場所が決めやすく、交換バッテリーの数量も推定しやすいので、車両が大きくても航続距離が短くても、バッテリー交換式の採用が可能。ただし、事業として成立するためには、車両価格と交換費用がユーザーにとってリーズナブルであり、さらにメーカーとして収益が得られるビジネスモデルが必要です。
CJPTがバッテリーの規格化を推進して、安価なバッテリー交換式商用EVを数多くユーザーに提供できれば、商用のバッテリー交換式EVがカーボンニュートラルに向けた一つの解になるかもしれません。
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充電時間が大幅に短縮できるバッテリー交換式EVは、乗用車ではなかなか難しいものの、走行経路や走行範囲が限定される商用車であれば、不可能ではないと思われます。CJPTによる試みは、バッテリーEVの新しいビジネスモデルへの挑戦であり、期待したいですね。
商用車だけではなくて、普通車にも適用できる技術を開発して欲しいものですね!。
電池交換式のEV商用車は既に川崎市などは日産『アトラス』をゴミ収集仕様にして活躍しているが、これでは販売台数も限られ利益がでない。
50キロの走行で電池交換では、余り普及は期待できません。
商売の神様!、トヨタが主導する今後の開発の結果で、
出遅れた日本のRVに光明が差すでしょう!。
日の丸技術が世界を驚愕させるか?
楽しみにして待ちましょう!。
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