2013年9月19日木曜日

FRBが量的緩和縮小を見送り。市場にとってはまったくの「想定外」

米FRB(連邦準備制度理事会)は9月18日のFOMC(連邦公開市場委員会)において、量的緩和策の継続を決定した。ほとんどの市場関係者が9月の緩和縮小を予想していただけに、大きなサプライズとなった。18日のダウはFRBの決定を受けて急騰し、最高値を更新して引けた。
  FRBのバーナンキ議長は6月のFOMCにおいて、経済指標が良好であればという前提条件付きではあるものの、9月からの量的緩和縮小を匂わせる発言をしていた。実際、8月の失業率は前月より0.1ポイント改善して7.3%となり、製造業の景況感指数も上昇していたことなどから、市場は完全に9月の緩和縮小を織り込んでいた。
 だが今回のFOMCでは、まったく予想外の緩和継続となり、市場は混乱した。18日のダウ平均株価はFOMCの声明が発表された直後から急騰し、終値は15,676.94ドルと市場最高値を更新して引けた。為替市場ではドルが売られ円が急騰、午前中99ドル台で取引されていたドルは、声明と同時に一気に下落し、一時は97円台を付けた。
 バーナンキ議長は緩和縮小を見送った理由として、失業率が高止まりしていることやインフレ率が目標以下であることなどをあげた。失業率などの指標が完全に回復するまでは、多少、市場に混乱を起こしたとしても、緩和を継続するという姿勢をよりはっきりさせたというわけである。
もしバーナンキ議長の意図をそのまま解釈すれば、名実ともに良好な経済指標が出てこない限り、緩和を継続するということになるのだが、市場関係者の中には、今回の決定が今後のFRBの選択肢を狭めてしまっていると指摘する人もいる。
 確かに米国経済の現状は、多少まだら模様となっている。良好な個人消費に支えられ内需は堅調だが、思いのほか失業率は低下していない。しかも職探しを諦めてしまった人が多く、見かけ上、失業率が低下しているだけとの指摘も多い。だが90年代の米国がそうであったように、米国の産業構造は大きく変化しており、失業率が高止まりしたまま経済が回復する、いわゆる「ジョブレスリカバリー」が発生している可能性がある。もしそうだとすると、失業率の数字は容易に改善しないことになる。
 失業率という政策目標に縛られてしまうと、いつまで経っても緩和縮小を決められず、そのうち緩和継続の弊害の方が大きくなってきてしまうことを市場関係者は危惧している。
 いずれにせよ各種経済指標が1~2カ月で劇的に改善する可能性は低く、量的緩和の縮小開始は早くても今年12月以降にズレ込む可能性が濃厚となった。株式市場からは早くも年内にダウが1万6000ドルを突破するという声も聞こえてきている。先行きに対する不透明感が増す中で、株価だけが上昇するといういびつな状態がしばらく続くことになるだろう。
ニュースの教科書 2013年9月19日)
                                                               

筆者考:
FRBの量的緩和の縮小の見送りは!・・・全くの想定外で各金融機関、経済学者、証券アナリストが10~20%の縮小を予想していたのが、此れが見事に外れとは!。筆者が1980年代後半に証券市場、債権市場、商品市場に興味を持ち常にウワッチャーとして、時には投資し始めてから、これほどまでに専門家の予想が外れた事は一度としてありませんでした。
経済史上で歴史的な出来事であり!・・・此れは吉兆なのか!、亦は不吉な前兆か!、判断に苦しみます。
今回のFRBの量的緩和縮小の発表には!・・・伏線2013年9月17日, 米FRB(連邦準備制度理事会)次期議長の最有力候補であったサマーズ元財務長官が、候補者からの辞退を表明した。サマーズ氏には民主党内部から根強い反対論があり、仮に指名されても上院の承認手続きが難航することを危惧したと考えられる。オバマ政権はもう一人の有力候補であるイエレンFRB副議長を中心に調整を進めるが有り、サマーズ氏は量的緩和の縮小を強く主張していた事で知られいた。
量的緩和縮小の謂わば強硬派であるラリー・サマーズ元財務長官がFRB議長候補から外れた事に加えて経済が足踏み状態!失業率も期待通り一向に改善されず!量的緩和縮小を睨んで長期金利が上昇していたモーゲッジ・レート(住宅ローン金利)も上昇して住宅販売が鈍化しつつある経済の動向に暗雲が広がり始めた】・・・これ等が今回のFRB議長ベン・バナンキの「量的緩和縮小の見送り!」の発表の複線であり、筆者は或いは期待されている金融緩和縮小はないのでは!との予感を感じていたので驚きはしませんでした。

9月に入ってからのNYダウ平均の動き(一本調子の上げ!)も量的緩和縮小見送りを発信していました。
収縮見送りの後は株式市場高騰して!・・・瞬間高値15,709.58つけて、
終値15,676.94(147.21高⇔史上最高値)でNY市場は引けました。

此処数年来、7月中旬~8月下旬は株価が軟調で暴落の気配を見せ始めると!・・・FRBは慌ててQE(量的緩和続行)を発表する。まるでFRBの視線はウオール街に釘付けとなっているのでは思われる程、又は株式市場に鼻面を掴まれいく先を決めている。つまり金融政策などと言える代物ではなくて、「株価下落恐怖症候群!」の患者がFRBであり、単なる株価下落を阻止する目的に成り代わっている。
このQE続行の発表は絶大なる効果があり、軟調下落続きの8月期の株価は9月に入ると、期待感が株価を押し上げる。今年も例に漏れずにQE緩和の続行の匂いをか嗅ぎ分けた臭覚鋭い投資家は株式市場へ投資を9月に入ると積極的に開始しており、FRBバナンキ議長の発以前にすでに史上最高値を伺っていた。

まぁ!~、米国民の65%近くが薔薇色の引退生活のを夢見て株式市場へ投資しているのが現状である。“薔薇色の引退生活は株投資から!”これが風潮となり根付い仕舞った観を呈しているのが米国であり、・・・故に株価の大暴落は米国経済の根底が崩壊するだけはなくて、国民の大半が薔薇色の引退生活、加えて企業年金の積み立て金もの運用損失で年金支払いが先細り、惨憺たる様相となる事は想定は容易に出来る。

FRBが量的緩和を見送った最大の要因は「失業率の改善が遅々として進まず!」です。
発表中の模様がテレビ(CNBC)で放送されましたが、バナンキ議長の表情は終始おどおど!としていて、自信喪失の観を見せていました。
《量的緩和の停止は失業率が5%台に低下したら実施する!》を繰り返し発言している様は自ら手枷足枷を嵌める愚かな金融政策で柔軟性が全く感じられませんでした。

ニュースの教科書( 2013年9月19日)の記事で述べられている、・・・米国の産業構造は大きく変化しており、失業率が高止まりしたまま経済が回復する、いわゆる「ジョブレスリカバリー」が発生している可能性がある。もしそうだとすると、失業率の数字は容易に改善しないことになる。
※「ジョブレスリカバリー」雇用拡大をともなわない景気回復のこと。
 失業率という政策目標に縛られてしまうと、いつまで経っても緩和縮小を決められず、そのうち緩和継続の弊害の方が大きくなってきてしまうことを市場関係者は危惧している

この緩和継続の弊害はどんなものか?・・・現状では明確に把握は困難です、なにせこれだけ大規模で長期間に亘った財政出動、量的緩和は過去にはなかったもので、それだけに予測は困難となる。
唯、ひとつ言えることは株式市場は次の緩和縮小の気配が見えるまで、上昇を続ける事は想定できますが、これは富の偏在を意味するもので、国民の不満が蓄積される歪んだ社会が構成され、新たなる問題がが惹起される!と筆者は考察しています。