2025年1月29日水曜日

インド・ヒマラヤ山岳地帯に住む部族がユキヒョウの保護のために戦っている!…

世界最高峰のヒマラヤ山脈における『コミュニティ森林イニシアチブ』は、かつて絶滅の危機に瀕していた捕食動物の繁栄を助けている。

世界で最も神秘的なネコ科動物の 1 つであるユキヒョウは、その隠密性とカモフラージュの巧みさから『山の幽霊』として知られている。
嘗ては、インドのヒマラヤ州ヒマーチャル プラデーシュ州の『冷たい砂漠』ラホールとスピティ地区の住民は、ユキヒョウを殆ど見つける事が出来なかった。

然し、最近は、ユキヒョウの姿が目立つようになった。地元の牧畜民の参加により、獲物と捕食者の個体数が大幅に増加し、ユキヒョウの目撃数が増えている。

インド政府の 2024 年のユキヒョウに関する報告書では、インドのヒマラヤ州全体でユキヒョウの個体数が 400 ~ 700 頭と推定されていたのに対し、ユキヒョウは 718 頭と健全な数になっている



地元の人々は、脆弱なヒマラヤ地域の
       生物多様性を保護する為!〜、
       インド北東部の
  コミュニティ森林保護区モデルに倣っていいる!・・・
このモデルは現在、スピテ​​ィ渓谷で実施されている。

この取り組みは、この地域の動植物を保護するだけでなく、ユキヒョウやヒマラヤオオカミなどの頂点捕食動物や、アイベックス、ブルーシープ、有蹄類などの獲物の繁栄にも貢献している。

繁栄した個体群は、この捕まえにくいユキヒョウをカメラに収めようと、…野生動物愛好家を惹きつけており、観光客の来訪により、スピティの『寒冷砂漠』に住む地元の部族住民は、ユキヒョウが狩りに出てくる冬の間に副収入を得る恩恵に与っている。

インドのヒマラヤ山脈、スピティ渓谷の自然石の
岩山の生息地に、鋭い牙をみせながらユキヒョウが
座っている。

        ムニブ・カニアリ:

   牧畜生活と野生生物保護の接点で活躍する学際的研究者


自然保護財団(NCF)の学際的研究者である
        ムニブ・カニアリ氏は!〜、
コミュニティ森林モデルでは《地元住民は野生の獲物の為に谷を
残し、その土地を家畜の放牧には使用しない》と語る!・・・

更に、野生の獲物が草原で草を食んでいるのを見かけたら、牧畜民は野生生物を邪魔しないように、その牧草地を隣接する地域に移す。
《このモデルは、ヒマラヤ地域の生物多様性を回復する上で画期的な出来事となる可能性がある》、…とカニアリ氏は語る。

NCFや他の住民とともに過去10年間キャンペーンの先頭に立ってきた地元住民のテンジン・トゥクテン氏は、このモデルは森林局の官僚機構によって承認されたと語る。

《最初は、地元住民とその代表者をこの取り組みに参加させ、野生生物のために確保された谷について説明しました」と同氏は語る。「私たちは毎年この活動を行っており、スピティ渓谷の野生生物の動きを記録するためにカメラトラップも設置しています》、…


環境保護団体ヒムダラのプラカシュ・バンダリ氏は、森林権の実施、あるいは個人やコミュニティの権利の付与は、自然の豊かさをよりよく保護することにつながる可能性があると語る。

《然し、問題は個人やコミュニティの森林所有権の取得に留まるものではありません。コミュニティは、森林の動植物の保護と維持に重点を置く必要があるからです》とバンダリ氏は述べた。
《こうした取り組みは、丘陵地帯の気候変動と闘うために必要です。なぜなら、丘陵地帯は最も大きな影響を受けるからです。昨年のシッキムでの自然災害は、将来起こりうる悲劇の例です》、…

地元の人々と彼らの先住民の知識が気候危機への対応に重要な役割を果たすことができることは、過去にも見られてきました》、…
と彼は述べた。《今こそ、気候変動との戦いにおいて私たちの伝統を引き継ぐべき時です》、…

先住民の知識の役割は、国連の2021年報告書『先住民の持続可能性の課題と機会』でも強調された。

《先住民は長年にわたり世界の生物多様性の管理者として成功しており、彼らの知識、革新、慣行は生物資源の持続可能な利用、炭素隔離、食糧安全保障、作物の多様性を保証している》、…と報告書は述べている。報告書は、先住民は世界人口のわずか6%を占めるにすぎないが、世界の重要な生物多様性地域の3分の1以上を管理していると指摘している。

それだけでなく、先住民と地域社会が管理する土地の42%は、他の地域よりも生態学的に良好な状態にある。

標高3,400メートルに位置し、雪に覆われた山々に囲まれたサングラ渓谷の最後の村、チットクルで、地元の農民が牛を使って畑を耕している。

トゥクテン氏は、このモデルが導入されて以来、動植物が繁栄している為、ユキヒョウとヒマラヤオオカミ(どちらもIUCNの絶滅危惧種レッドリストに掲載)の目撃数が年々増加していると語る。

これらの『生きている山々』は病気で、もし死んだら何百万もの動物を道連れにしてしまう可能性がある。
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政府の2024年報告書によると、インドのユキヒョウ718頭は、ジャンムー・カシミール、ラダック、ヒマーチャル・プラデーシュ、ウッタラーカンド、シッキム、アルナーチャル・プラデーシュを含むヒマラヤ地域の10万平方キロメートルに分布している。
この調査は、インド環境・森林・気候変動省がインド野生生物研究所、NCF、世界自然保護基金(WWF)と共同で実施した初のユキヒョウ個体数評価プログラムの一環として実施された。

各州に設置されたカメラトラップに基づくと、個体数はラダック(477)、ウッタラーカンド(124)、アルナーチャル・プラデーシュ(36)、シッキム(21)、ジャンムー・カシミール(9)となった。コミュニティ保全モデルが活発に行われているヒマーチャル・プラデーシュ州では51頭が生息していた。

ヒマーチャル州キナウル森林権利委員会のジア・ラル氏は!〜、
    森林の歴史、文化、儀式、動植物を保護し、
       記録したいと考えている!・・・

《森林の富を部外者に引き渡すことは、
  環境に敏感な地域の生物多様性の喪失につながります》、…

《部外者が天然資源の収集に従事すると、常に過剰搾取に
 繋がります。一方、地元の人々は資源の重要性と賢明な
      使用法を知っています》、…と語る。

      
インド、ヒマラヤのスピティ渓谷


トゥクテン氏は、新たな問題として野良犬を指摘した。
《スピティでユキヒョウが家畜を襲う事件は大幅に減少しましたが、今では野良犬の襲撃に直面しており、野生ではユキヒョウの獲物さえも襲っています》、…とトゥクテン氏は述べた。

参考文献:

■【These tribes are fighting for ‘ghosts of the mountains’ to survive. They may yet lose】:

https://www.rt.com/india/611126-ghosts-of-mountains-himalayan-tribals/


                                            

部族グループは野良犬問題に対処するために地方政府に働きかけているが、将来的に問題が悪化し、ユキヒョウなどの捕食動物とその獲物の自然な関わりが妨げられる可能性がある為である。

然し、専門家は、地元住民に補償を与えたり、そのような取り組みをより積極的に採用するよう奨励したりする為に、政府の資金をさらに増やす必要があると感じている。

このモデルに従う地元コミュニティには、政府によるインセンティブや補償が不可欠となる。何故なら、彼らは伝統的な放牧地を変えたり、伝統的な放牧地を放棄したりする必要があるからです。
 こうした取り組みを奨励する事で、森林地帯の近くに住むコミュニティが自然資源や生物多様性をよりよく保護するよう促し、気候変動の影響を緩和するのに役立つでしょう!。




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