2022年4月20日水曜日

人工で掘られたふかーい!、ふかーい穴 世界8篇

 


 世界にはスケールの大きな穴が点在する。街の一部を丸ごと飲み込んでしまうほど巨大なものや、エッフェル塔を3つ重ねた長さよりさらに深い穴など、想像すら難しい穴が実在する。

 深い穴はどこか神秘的であると同時に恐怖の対象ともなりがちだが、それぞれの人工穴にはれっきとした目的と歴史が存在する。ある穴は莫大な富をもたらし、別の穴は人類に科学の叡智を与えてきた。世界の知られざる深い穴8選をお届けしよう。

► 1)ダイアヴィク・ダイヤモンド鉱山
         (カナダ)180メートル:
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 カナダのダイヤヴィク・ダイヤモンド鉱山は2003年から稼働しており、採掘の深さはすでに180メートルを超えた。露天掘りと掘削坑を併用し、年間1.5トンのダイヤモンドが採掘されている。
北極圏までわずか200キロという僻地にあるため、気象条件の整った日に飛行機でのみ到達できるという特殊な立地だ。
 北極ツンドラ域付近の豊かで原始的な生態系を保護するため、採掘は野生生物の生態系への影響を抑えるよう配慮されている。採掘完了後には穴を囲っている堤防が除去され、穴は湖の底へと沈む。


► 2)キンバリー・ダイヤモンド鉱山
    (南アフリカ共和国)460メートル:
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はじめは穴というよりも、むしろ小高い丘だった。ただの農場だった現地で1866年にダイヤが発見されるとダイヤモンド・ラッシュが起こり、海外からも採掘に加わろうとする人々が押し寄せるようになる。



 48年間にわたり5万人以上の鉱山労働者たちがツルハシで土を掘り続けた結果、
幅1.5キロ以上の巨大な穴が形成された。これまでに、累計およそ3トンのダイヤを産出している。1914年に閉山されたあとも、『ビッグ・ホール』の名で観光名所として親しまれている。


► 3)バークレー・ピット(アメリカ)520メートル:
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こちらも鉱山だが、ダイヤではなく銅の露天掘り鉱山だ。米西部・カナダ国境付近のモンタナ州に位置し、1955年から1982年まで稼働した。
累計3億トン近くの銅鉱石が採掘されている。鉱山の開拓により周囲に住宅需要が湧き起こり、鉱山を擁するビュートの町は「地球上で最もリッチな丘」の名をほしいままにした。


 
一方、閉山後に坑内は水没し、採掘作業によって生じた重金属など有害物質が溶け出している。1990年代に300羽以上の鳥が死んでいるのが発見されて以来、 動物が立ち入らないよう対策がとられている。


► 4)ミール鉱山(ロシア)520メートル:
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 ソ連時代のスターリンの命を受け、ダイヤモンド鉱山として開拓された。
1955年に採掘が始まり、いまでは150階建ての高層ビルがすっぽりと収まるほどの巨大な穴となっている。あまりに深いことから上下の気温差で乱気流が生まれ、ヘリコプターの飛行に影響を与えるとの説があるほどだ。2001年に露天掘りでの採掘を終了し閉山となったが、2009年からは地下での採掘活動を中心に操業が再開している。



 閉鉱後はお椀型の地形をガラスの天蓋で覆い、未来都市として再利用する計画も提案されている。計画が実現すれば荒れ果てた鉱山は一変し、森林や垂直型の農園などに囲まれた緑豊かな住宅地に変貌するという。
 あくまで草案段階であり実現性は高くないが、10万人以上が居住する大深度都市のアイデアは興味深い。


► 5)ビンガム銅鉱山(アメリカ)1200メートル:
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 ユタ州・ソルトレイクシティの南西に位置し、人工的に掘った穴としては容積で最大規模を誇る。幅4キロ、深さ1.2キロほどだ。1906年から現在に至るまで銅の採掘が続けられているのと同時に、いまではアメリカの国定歴史建造物に指定されている。併設のビジターセンターでは、鉱山の歴史に触れることが可能だ。



 2013年には露天掘りの山肌が崩落し、火山由来でない地滑りとしては北米史上最大の規模となった。各地にまたがる地震観測網が揺れを観測するほどの大規模なものであったという。


► 6)アイスキューブ・ニュートリノ観測所
      (南極大陸)2820メートル:
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 南極の観測点であるアムンゼン・スコット基地の地下に、ニュートリノを観測する目的で設けられた。気温が上昇する南半球の夏を狙い、ホースを使って温水を高圧で流し込み、7年がかりで氷を掘り進めた。


 
穴のうちニュートリノの観測に用いられる範囲は地表下1450メートルから2450メートルで、この部分だけでもエッフェル塔3つ分に達する。
深層で得られた観測データは、86本の光ケーブルが地表に届けている。


► 7)コラ半島超深度掘削坑
        (ロシア)1万2000メートル:
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地上からみえる穴の直径は約23センチと非常に小さいが、その下には深さ1万メートル超の空間が広がっている。
1970年からロシアの科学者たちが掘り始め、その後20年を費やして掘削を進めたことで世界で最も深い穴となった。
長さではカタールの油田が27メートルほど上回っているが、本掘削坑の方がより垂直に近い角度で掘られているため、深度としては依然世界一を保っている。



 地球の内部構造にまつわる膨大な地質学的データをもたらしてきたが、地熱により穴の先端は180度の高温となり、それ以上の掘削が困難となった。
 2008年に閉鎖され、現在開口部はボルトで固く閉ざされている。


► 番外編:ちきゅう:
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ちきゅうは穴そのものではなく、研究用途で海底を掘削するための日本の科学ミッション船だ。最大で1万メートルを掘り進むことができるため、海底7000メートル以深に広がるマントルにさえ到達可能だ。
 海の部分では地殻が薄いため、船の形態で洋上で掘削することに利点がある。



深部からの採取物は、鉱石、微生物、地震などの研究に役立てられている。
2017年には青森県沖の水深1200メートル地点でちきゅうが土を採取し、そこから
キノコが発芽した。太古の昔に陸地であったころの胞子が海底で悠久の時を過ごし、2000万年ぶりに地上に戻されたことで芽生えたと考えられている。

驚愕の一語に尽きる。
水深1200メートル地点土を採取、その土からキノコの胞子が2000万年振りに発芽!とは。その生命力、神秘さ、・・・


引用元:
■【世界の深い人工穴8選 ソ連が1万2000メートル超掘った穴も】:

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